ジム・ウォールヘッドに関するUSADA声明

UFC
UFC 212:ルアン・シャーガス vs. ジム・ウォールヘッド【ブラジル・リオデジャネイロ/2017年6月3日(Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
UFC 212:ルアン・シャーガス vs. ジム・ウォールヘッド【ブラジル・リオデジャネイロ/2017年6月3日(Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
米アンチ・ドーピング機関(USADA)は現地時間2月6日(火)、不純なサプリメントを経由して禁止薬物が検出された英国ラフバラのアスリートであるジム・ウォールヘッドが9カ月の出場停止処分を受け入れたことを発表した。

33歳のウォールヘッドには2017年10月7日(土)に行われた非競技検査でオスタリンおよびその代謝物の陽性反応が出た。オスタリンは蛋白同化薬における非特定物質であり、世界アンチ・ドーピング機構禁止リストを採用するUFCアンチ・ドーピング政策の下で常に使用が禁止されている。

MK-2866やエノボサームとも呼ばれるオスタリンは米食品医薬品局(FDA)の承認を受けていない選択的アンドロゲン受容体(SARM)であり、パフォーマンス増強薬として世界中で違法に販売されている。オスタリンはいずれの国でも処方薬として入手することはできず、認可のない使用は深刻な副作用を引き起こす可能性がある。それにもかかわらず、オスタリンは表示された、および表示のない成分として多くのサプリメントから検出されており、FDAはオスタリンが非認可の新薬であり、この薬品を販売することは連邦食品・医薬品・化粧品法に抵触するとの警告文を特定のサプリメント製造者に対して発行している。オスタリンのさらなるリスクについてはUSADAのアスリート・アドバイザリーで参照できる。

陽性反応の通知を受けたウォールヘッドは問題のサンプルが採取された検査の当時に使用していたサプリメントについての情報をUSADAに提供している。このサプリメントのラベルには禁止薬物の記載はなかったものの、ユタ州ソルトレイクシティに所在するWADA公認の研究所が行った検査にて、独自に入手した未開封の製品がオスタリンを含有していることが示された。未表示の禁止薬物の存在は汚染とみなされる。したがって、この製品はUSADAがオンラインで提供するサプリメントの安全性教育(Supplement 411 リンク先は英語)が擁するハイ・リスク・サプリメントリストに追加された。

UFCアンチ・ドーピング政策と世界アンチ・ドーピングコードにもとづき、汚染された製品が引き起こした違反には制裁が軽減される。汚染が立証された場合、非特定物質が関連するドーピング違反に対する制裁は戒告およびアスリートの過失の度合いによって最少で期限なし、最大で2年の資格はく奪となっている。

USADAは不純なサプリメントの調査が徹底していなかったこと、ならびに禁止物質を含む製品も製造しているサプライヤーからサプリメントを購入することに対して高まるリスクを認識していなかったことを含め、ウォールヘッドの陽性反応に至るまでの状況を考慮した。その上でUSADAはウォールヘッドに対する制裁として9カ月の出場停止が適切だと決定している。

ウォールヘッドの出場停止機関は陽性のサンプルが採取された2017年10月7日に始まる。

UFCアンチ・ドーピング政策に基づき、アンチ・ドーピング政策違反に対する出場停止期間にある全てのUFCアスリートはUSADAに登録された検査対象者にとどまり、それぞれの出場停止期間終了の認可を受けられるよう、検査可能な状態になければならない。

USADAは1年を通じ、独立したアンチ・ドーピングプログラムを全UFCアスリートに対して実施している。USADAは競技の品性を保持して真のスポーツを促進し、クリーンなアスリートの権利を守ることのみを目標とした非営利および非政府機関である。UFCアスリートとそのサポートチームメンバーが彼らに適用されるルールを理解するのを補佐すべく、USADAはUFCアンチ・ドーピングプログラムのウェブサイト(リンク先は英語)で検査プロセスや禁止薬物、必要な医薬品を摂取するための許可取得法、サプリメントやパフォーマンス増強剤ならびにレクリエーショナルドラッグ摂取のリスクや危険性について総合的に案内している。さらに、USADAはドラッグについてのホットラインである“Drug Reference Online(ドラッグ・リファレンス・オンライン)”で教育セッションを提供し、禁止リスト、早見カード、定期的なアスリートへのアラートといった広範囲にわたる教育素材の積極的な配信を行っている。

教育や検査と並び、堅実なアンチ・ドーピングプログラムによって、内部の通報者が発端となる調査が可能になっている。USADAはクリーンなアスリートと公明正大な競技を守るため、スポーツにおけるパフォーマンス増強薬物の乱用に対してさまざまな形での報告を受けつけている。
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