ロンダ・ラウジーが女性として初のUFC殿堂入り

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UFC 207:アマンダ・ヌネス vs. ロンダ・ラウジー【Photo by Brandon Magnus/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images】
UFC 207:アマンダ・ヌネス vs. ロンダ・ラウジー【Photo by Brandon Magnus/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images】
UFCはUFCおよびStrikeforceの元女子バンタム級王者であるロンダ・ラウジーを2018年の受賞メンバーの一人としてUFC殿堂の“現代部門(Modern Wing)”に迎え入れることを決定した。今年のUFC殿堂入りセレモニーは現地時間7月5日(木)にアメリカ・ネバダ州ラスベガスにある『Palms Casino Resort(パームス・カジノ・リゾート)』の施設である“The Pearl(ザ・パール)”を舞台に開催される。

UFC会長のデイナ・ホワイトは「ロンダ・ラウジーなくしてUFCに女性はいなかっただろう」と述べ、次のように続けた。

「ロンダは絶対的なパイオニアであり、私を個人的に助けてきた傍ら、多くの人が格闘技における女性への見方を変えるきっかけになっている。彼女はUFCと共に手がけたもの全てをやり遂げ、その過程で世界的な象徴、もしくはロールモデルとなった。今日、女子の各階級には信じがたいほどの才能があふれ、過去最高の試合を生み出している。ロンダが女性として初めてUFC殿堂入りを果たすことを発表でき、われわれは誇らしく思っている」

これまでUFC殿堂の現代部門に名を連ねたのは、ラウジーの他にフォレスト・グリフィン(2013年)、B.J.ペン(2015年)、ユライア・フェイバー(2017年)のみだ。また、バンタム級から殿堂入りしたのはフェイバーに次いでラウジーが2人目となる。“現代ウイング”はMMA(総合格闘技)の統一ルールで初めてのUFCイベントが開催された2000年11月17日以降にプロになり、最低年齢が35歳、もしくは引退してから1年以上たった選手を対象としている。



「これはとてつもない名誉よ。女性がこのスポーツの最前線にやってくるのを後押ししただけではなく、今やUFC殿堂だもの。多分、私はたくさんの“初”を記録したんでしょうね」とラウジーは語った。

2012年11月にStrikeforceの女子バンタム級チャンピオンに輝いたラウジーは、UFCがStrikeforceを買収して以降に契約した最初の女性ファイターだ。2013年2月23日にはカリフォルニア州アナハイムのホンダ・センターで開催されたUFC 157:ラウジー vs. カムーシュで初めてオクタゴンに足を踏み入れている。この試合の第1ラウンド、アームバーでリズ・カムーシュを打ち破ったラウジーは、UFCで初白星を挙げたファイターとして自己のタイトルのタイトル防衛にも成功した。

5年のキャリアを通じてプロとして14戦をこなしたラウジーは、Strikeforce女子バンタム級最後のチャンピオンにして、UFCで初めて誕生した女王でもある。12勝2敗という戦績を残す中で数々のレコードを打ち立てたラウジーのキャリアを最も彩るのは、6回連続でのタイトル防衛記録だろう。これは女性ファイターとしてUFC史上、最も多い。UFCとStrikeforceでアームバーによるサブミッション勝利を7度達成したラウジーは、UFC殿堂の一員であるアントニオ・ホジェイロ・ノゲイラがUFC、PRIDE、Strikeforce、WECで記録した最多アームバーサブミッション勝利の記録に挑んでいる。

数々のフィニッシュを決めてきたラウジーはUFC女子バンタム級における最速フィニッシュ上位5試合のうち、4つの記録を保持している。ノックアウト(KO)もしくはテクニカルノックアウト(TKO)による3勝という記録は、UFC女子バンタム級において2位。UFC各階級において、最速フィニッシュのトップ5を2度以上記録しているファイターは他にいない。

ラウジーの3分06秒という累積平均ファイトタイムはUFCにおいて2番目に少ない(最少5試合)数字であり、Strikeforceの総合ファイトタイム1分36秒は同団体における最速記録(最少3試合)だ。UFC 184:ラウジー vs. ジンガノでキャット・ジンガノを相手にマークした14秒サブミッション勝利(アームバー)はUFCのタイトル戦およびUFC殿堂の現代ウイングにおける最速記録となっている。ラウジーは2011年8月12日、Strikeforceチャレンジャーズ:グージェウ vs. デュアーテでサラ・ダレリオと対峙した際に25秒というシリーズ史上最速サブミッション勝利記録もマークした。この試合はラウジーにとってStrikeforceデビュー戦だった。

このスポーツにおいて最も完成されたMMAファイターの一人であるラウジーは、ノックアウトでライバルを倒した記録も数多く打ち立てている。UFC 175:ワイドマン vs. マチダでアレクシス・デイビスをノックアウトした際の16秒という記録は、UFCで行われたタイトルマッチにおいて3位に入る速さだ。UFC 190:ラウジー vs. コヘイアではベチ・コヘイアを34秒で、UFC 170:ラウジー vs. マクマンではサラ・マクマンを1分06秒で片づけており、これはそれぞれUFC女子バンタム級史上第2位と第4位の記録にあたる。

UFCで6大会のメインイベントを飾ったラウジー。2015年11月15日にオーストラリア・メルボルンのエティハド・スタジアムで開催されたUFC 193:ラウジー vs. ホルムはUFCの最多観客動員数である計5万6,214名のファンを集めた。

オクタゴン外でもラウジーの世界的な人気は高まり続けている。同業者からもメディアからも認められるラウジーには、スポーツ界で最も名誉ある賞が送られてきた。

2015年には総合格闘技の選手として初めて『ESPN』が主催するESPY賞の “ベストファイター”に選ばれたほか、2014年と2015年にはESPY“ベスト女性アスリート”賞を受けている。元UFC女子バンタム級チャンピオンのミーシャ・テイトを倒した2012年にはESPYの“サブミッション・オブ・ザ・イヤー”にも輝いた。

2015年5月には『Sports Illustrated(スポーツ・イラストレイテッド)』誌によって“世界で最も有力なアスリート”に認定され、ラウジーがこの月の表紙を飾っている。また、同じく5月には柔道のオリンピックメダリストからハリウッドのスターという道筋を辿った自叙伝『My Fight, Your Fight(マイ・ファイト、ユア・ファイト)』を上梓した。

2015年11月にリリースされたゲーム『EA SPORTS UFC 2』では女性として初めて『Electronic Arts(エレクトロニック・アーツ)』社が開発した作品のグローバルカバーに採用される。同じく女性として初めて『Men’s Fitness Australia(メンズ・フィットネス・オーストラリア)』の表紙になったのもこの時期だ。

現役のUFCファイターであると同時に世界的な映画スターにもなったラウジーは『The Expendables 3(エクスペンダブルズ3)』や『Furious 7(ワイルド・スピード SKY MISSION)』、『Entourage(アントラージュ)』といった作品に出演。これらの映画の世界的な売上は計18億ドル(約1,800億円)を超えている。ラウジーは人気テレビショーやプライムタイムの番組にも登場し、2016年に『Saturday Night Live(サタデーナイト・ライブ)』に出演したほか、2017年は『Blindspot(ブラインドスポット)』にカメオ出演している。今年は『Mile 22(マイル22)』でマーク・ウォールバーグやアカデミー賞にノミネートされた俳優であるジョン・マルコビッチと共演する予定だ。

ラウジーの活動はWWE(ワールド・レスリング・エンターテイメント)の世界にもおよび、トップスターとの戦いを披露している。

カリフォルニア州リバーサイド出身のラウジーは11歳のときに母アンマリアと共に柔道のトレーニングを始め、総合格闘技への道を歩み始めた。ラウジーの母は1984年にアメリカ人初の世界柔道選手権で制覇を果たした人物だ。17歳だった2004年には世界ジュニア柔道選手権で金メダルを獲得。2004年にはこの年の最年少柔道選手としてオリンピックに参加した。2006年世界柔道選手権で銅メダルを獲得し、アメリカ人として初めて世界柔道で2個のメダルを手にしたラウジー。柔道家として成長を続けた2007年にはパンアメリカン競技大会で金メダル、世界柔道選手権で銀メダルに輝いた。2008年のオリンピックで銅メダルを獲得したことで、1992年に柔道がオリンピック競技となってから初めてメダルを手に入れたアメリカ人となっている。柔道家としてのキャリアを通じて30を越えるメダルを集めたラウジーは、アメリカチームの代表として12回以上の国際トーナメントを率いた。現在は夫であるUFCヘビー級ファイターのトラヴィス・ブラウンと共にカリフォルニアに居を構えている。

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