大沢ケンジに聞く:UFCファイトナイト・シンガポール見どころ(前編)

UFCファイトナイト 見どころ
UFCファイトナイト・シンガポール:佐々木憂流迦
UFCファイトナイト・シンガポール:佐々木憂流迦
日本時間6月23日(土)に開催されるUFCファイトナイト・シンガポールには、5人の日本人選手が一挙出場、日本のファンにとっては見逃すことのできないビッグイベントとなっている。そこで今回は、テレビなどのMMA解説でおなじみ、かつてはアメリカのWEC(World Extreme Cagefighting、2010年にUFCに吸収合併されたMMA団体)でも活躍された大沢ケンジ氏に、シンガポールでのイベントの見どころを解説してもらった。観戦前の予習に、観戦中のお供にお楽しみいただきたい。

佐々木憂流迦 vs. ジェネル・ラウザ

Q: 大沢さん! 今日はUFCシンガポール大会の見どころを、日本人選手の試合を中心に教えていただきに参りました。まずは佐々木選手の最近の試合ぶりについては、どのように見ておられますか。

大沢: 憂流迦は昔から寝技が強くて、どんな体勢からでもバックチョークを取ってしまう選手でした。それが最近では、まるでキックボクサーのような距離の長い打撃ができるようになりました。かつては線が細くて、打撃でプレッシャーをかけられるとつらそうに見えることもありましたが、今では男らしい戦い方、打撃でも向かっていける選手になっています。強くなっているな、着実に成長しているなと思える選手ですね。

今回の対戦相手のラウザ(フィリピン)も打撃は得意ですが、憂流迦も打撃でいってもいいんじゃないでしょうか。もちろん、組めば力の差はあると思いますよ。何せここは憂流迦にとって負けられない試合、勝たなくてはいけない試合、勝ってくれる試合になることでしょう。

Q: フライ級転向以降の佐々木選手は、強い勝ち方をした後、上位陣に跳ね返されてしまう、ということの繰り返しになっているように見えます。

大沢: 私は、ファイターの実力は何層にも分かれているピラミッドのようなものだと思っています。憂流迦は自分より下のレベルには勝てるけど、上のレベルには阻まれている。これはある意味、自分の実力通りの戦いをしているともいます。実力を底上げしていくしかありません。もともと取りこぼしは少ない選手なので、今回の試合をしっかりクリアした上で、次の試合で壁を越えていってほしいですね。

Q: 佐々木選手は前回、4月に組まれていた試合が対戦相手の都合で急にキャンセルとなり、およそ2カ月後の仕切り直しとなりました。こうしたスケジュールに、やりにくさはないものでしょうか。

大沢: いや、これが1カ月後だと、休みは取れないわ、同じテンションで作りあげていくのはしんどいわとなるかもしれませんが、2カ月弱の間隔があいているんで、そこは問題なく、作り直してきてくれると思いますよ。

井上直樹 vs. マット・シュネル

Q: 戦績が11勝0敗、うち7勝が一本勝ちという井上選手の強みは、やはりグラップリングということになりますよね。

大沢: 寝技がすごく強いんですよ。ねちっこくて、器用で、見ているだけでもすごく面白いです。それに打撃もシャープですね。ただ、レスリングではまだ成長の余地があります。

試合に関しては、打撃は互角だと見ます。シュネル(アメリカ)は結構フットワークがいいので、そこをかいくぐって井上選手がテイクダウンを取れるかどうかが勝負の分かれ目ではないでしょうか。組んで上を取れば、井上選手が有利な展開になっていくと思いますよ!

Q: それにしても20歳にして無敗のままUFCの舞台に上がり、今回のイベント直前に21歳になったばかりの井上選手は本当に将来が楽しみです。

大沢: その通りです。一緒に練習をしたこともありますが、とても真面目な選手です。あの練習時間の長いジムで、幼い頃から訓練を積み重ねてきている。練習でやってきたことを信じて、きっちりと戦える選手です。じっくりと力をつけて、日本を背負って立つような選手へと成長していってほしいですね。

Q: 井上選手は昨年9月のUFCファイトナイト・ジャパンに出場予定でしたが、残念ながら負傷欠場となり、今回が1年ぶりの試合となります。1年も間隔があいたのは井上選手にとって今回が初めてなのですが、俗にいう“試合勘”という面で、心配はないでしょうか。

大沢: 試合勘というのは、久しぶりの試合で負けたくない気持ちが出過ぎるとか、距離が遠くなる、といったことを指すのだろうと思いますが、そういったやりづらさは確かに多少あるかもしれません。ただ、井上選手は練習量が豊富な選手ですし、若いとはいえ競技歴も長いですから、試合への入りは比較的大丈夫なのではないかと思います。

安西信昌 vs. ジェイク・マシューズ

Q: 安西選手の戦い方の特徴・強みといえば、やはりレスリングですよね。

大沢: はい、もちろんそうなのですが、パンチ力も強くて、実際にはノックアウト勝ちが多いんです(MMA戦績10勝2敗、うち7つのKOもしくはTKO勝ち)。だから、打撃とレスリングを混ぜた戦い方が彼の特徴ではないかと思います。

Q: 対戦相手のマシューズ(オーストラリア)と比べると、安西選手は身長で10センチ、リーチで3センチのハンディがあります。

大沢: 自分は届かない打撃の距離でも、相手には届いてしまうわけで、距離の設定が難しいことは確かですが、安西選手の場合はこれまでも大きな相手と戦ってきた経験があります。得意のレスリングを生かして、タックルで潜り込んだり、タックルと思わせて右のオーバーハンドを合わせたりといったことができる選手ですので、体格が小さいということを逆に利用しながら戦ってくれると思います。身長差10センチ程度なら、安西選手であればさほどハンディには感じないのではないでしょうか。

Q: マシューズは前回、タフなリー・ジャンリンから3回もノックダウンを奪うなどして勝利を収めていますから、かなりの強豪です。

大沢: 安西選手が懐に入っていけるかどうかがポイントでしょう。タックルが取れる距離まで入れれば、相手もいろいろと意識して戦いにくくなると思いますから。

Q: ちなみに、安西選手といえば立派なヒゲがトレードマークですが、あれだけヒゲが濃いと、打撃をもらった時のダメージが軽減されるのではないか、という議論がネット上で時折見られます。

大沢: ・・・それはまあ、やっぱりクッションにはなるんじゃないですかねえ、とお答えしておきます(笑)

Q: あれ、急にあいまいなお答えになりましたね(笑)

(続く)

【文 高橋テツヤ】

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