UFCファイトナイト・モンクトン見どころ:ライトヘビー級の明日を占う注目の一戦が実現!

UFCファイトナイト 見どころ
UFC 220:ダニエル・コーミエ vs. ヴォルカン・オーズデミア【アメリカ・マサチューセッツ州ボストン/2018年1月20日(Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
UFC 220:ダニエル・コーミエ vs. ヴォルカン・オーズデミア【アメリカ・マサチューセッツ州ボストン/2018年1月20日(Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
日本時間10月28日(日)に開催されるUFCファイトナイト・モンクトンは、カナダ東部の海沿いにあるニューブランズウィック州で初めて開催されるUFCイベントだ。

秒殺王“ノータイム”再始動

メインイベントではヴォルカン・オーズデミア(スイス)対アンソニー・スミス(アメリカ)のライトヘビー級マッチが行われる。

UFC初のスイス人ファイター、オーズデミアのUFCデビューは2017年2月のこと。試合直前に舞い込んできた代打出場のオファーに飛びつき、2週間で16 kgという急激な減量をやり遂げ、トップ10ファイターのオヴィンス・サン・プルーに番狂わせのスプリット判定勝ちを収めたのだった。

次いで5月には、当時8連勝中で人気評判とも急上昇中だったミシャ・サークノフをまさかの28秒で撲殺。さらに7月のUFC 214では強打者ジミ・マヌワを42秒でノックアウトし、デビューからたった5カ月で事実上のトップコンテンダーの座に上り詰めたのである。この活躍を受けて、UFC公式サイト、2017年新人トップ10ランキングでオーズデミアは堂々の第1位に選出されている。

“ノータイム”というニックネームはこの頃につけたものだ。「タイトル奪取まで待っている暇などない、すべての試合をさっさと終わらせる、という意味を込めている。ちなみにミシャ戦が自分の最短記録というわけではないからね」とオーズデミアは語っている。もっともこのニックネームには、約束の時間に決して遅れず、無駄な時間を極端に嫌うという、時間に厳しいオーズデミアのスイスの人らしい性格も反映されているらしい。

UFC 220(2018年1月)で実現したタイトルマッチでは、王者ダニエル・コーミエのさすがの横綱相撲に寄り切られてしまい、快進撃も小休止となった。

「敗戦を受けて、新しいことを学び、より強くなることができるよう、俺はすべてのことを考え直し、やり直してきた。おかげで今は気分もいいし、負けた経験を前向きに捉えることができている」とオーズデミアは今回の試合への抱負を語っている。

本を読むのが大好きで(特に第2次世界大戦史)、将来は作家志望だという一面も持つオーズデミアだが、今は日々のトレーニングと身体のメンテナンス以外は一切ノータイム、移動中の車の中でオーディオブックを聞くのが唯一の息抜きだ。最近のお気に入りは、ナポレオン・ヒルの『思考は現実化する』である。

この試合で勝てば、現在ランキング2位のオーズデミアにとって、もはや倒すべき相手は3人に絞られる。ジョン・ジョーンズ、コーミエ、アレクサンダー・グスタフソンの3人だ。トップ戦線で伍(ご)していくためにも、こんなところでつまずいている時間はない。

レジェンドキラー、スミスの正念場

対するランキング10位のスミスは過去6戦で5勝、しかもすべてノックアウト勝ちしたフィニッシャーだ。今回、オーズデミアに勝てば一気にタイトル戦線に進出するビッグチャンスである。

乗りに乗っているスミスではあるが、自身の『Twitter(ツイッター)』の一番上には、昨年2月にチアゴ・サントスにノックアウト負けを喫した直後の自分の写真を掲載している。

「あの試合では、減量に苦しみながらのブラジルへの移動がきつくてね、試合中はどこか自分を見失い、散漫だった。あれはそんな時に撮った写真なんだ。すごくこたえる敗戦だった。2度と繰り返したくないと思って、あえて掲載してあるんだ」

「振り返ってみれば、あの敗戦は自分にとって最高の出来事だった。おかげで自分はライトヘビー級に階級を上げることとなり、技術的にも精神的にも成長できたんだからね」

今年6月の階級転向初戦では、元王者ラシャド・エバンスをわずか53秒でノックアウトした。エバンスはこの試合を最後に、引退を発表している。さらにくしくもオーズデミアの代役として出場した今年7月のUFCファイトナイト・ハンブルク(ドイツ)では、やはり元王者のマウリシオ・ショーグン・フアと対戦し、こちらも89秒でノックアウトしている。

「たった2カ月で、自分は2人のアイドルを倒してしまった。昔はテレビでショーグンの試合を見ていて、何から何までうらやましくて、こんな選手になりたいと憧れていたんだよ。そんな選手を倒すなんて、本当にクレイジーなスポーツだよね」

サントスには苦杯をなめたスミスだったが、実はその試合もベストファイトボーナスを受賞しており、勝っても負けてもエキサイティングなフィニッシャーであることは証明済みだ

「性格的に、ダメージを回避しつつ慎重に判定勝ちを狙うような試合ができない。そこまでの辛抱強さがない」と自己分析するスミスは、今回の試合も、結局は火の出るような殴り合いに持ち込んでしまうだろうと予想している。

闘魂炎上、渦中の人ロボフ

UFCファイトナイト・モンクトンのセミメインイベントに予定されるのはマイケル・ジョンソン(アメリカ)対アルテム・ロボフ(ロシア)のフェザー級マッチだ。

ロボブにとっては2017年10月にアンドレ・フィリに負けて以来の試合となる。2018年4月に決まっていた試合は、チームメイトのコナー・マクレガーによるバス襲撃事件の影響でキャンセルされてしまった。そして今回の試合も、予定されていた対戦相手はハビブ・ヌルマゴメドフのチームメイト、ズバイラ・ツクゴフだったところ、UFC 229での場外乱闘の結果、欠場に。ジョンソンが急きょの代打出場を決めたおかげで、ようやく試合にありつけることとなったのだ。

「とにかく試合をしたい。こんなに試合間隔が開いたことはない。待ちきれないんだ」と語るロボフは爆発寸前だ。

ちなみにバス襲撃事件の原因、ひいてはUFC 229での場外乱闘の遠因は、4月に舞台裏でヌルマゴメドフがロボブのことを「チキン」と呼んだことに端を発している。いろいろあった後だけに、「気持ちの奥底で、いつもよりモチベーションが高まっている。闘魂が燃えさかっている!」と、ロボフのメートルは上がるばかりだ。

「口が達者なヤツらが多すぎる。でもケージの中では、自分のガッツとスキル、相手のガッツとスキルをぶつけあうだけだ。そして試合の後には、どちらのハートが大きかったのか、結論が出るのさ」と語るロボフが、たまりにたまったフラストレーションを“ロシアン・ハンマー”で破壊する。

【文 高橋テツヤ】
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