ティルが快勝、ハゾビックはヘルドから逆転KO勝ち

UFCファイトナイト 試合レポート
UFCファイトナイト・ストックホルム:ダレン・ティル vs. ジェシン・アヤリ【スウェーデン・ストックホルム/2017年5月28日(Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
UFCファイトナイト・ストックホルム:ダレン・ティル vs. ジェシン・アヤリ【スウェーデン・ストックホルム/2017年5月28日(Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
ウェルター級 5分3ラウンド 
ダレン・ティル vs. ジェシン・アヤリ

英国出身にしてブラジルに拠点を置くティルは一昨年5月のUFCデビュー戦でKO勝利を飾り、続く10月に行われた2戦目のニコラス・ダルビー戦で初のドローを経験して以来の登場となる。対するドイツのアヤリは、昨年9月にUFCデビュー戦。ジム・ウォールヘッドに判定2-1で勝利を収めた。ちなみに今回、ティルは規定体重を6ポンドオーバーしている。

第1ラウンド、サウスポーのティルとオーソドックスのアヤリは両者ともムエタイ流のアップライトの構えからジャブを出しつつ様子を見る。やがてティルが何度か強烈な左ストレートを当ててアヤリを下がらせると、組み付いてテイクダウンも奪い、試合を優勢に進めた。

第2ラウンドでは前に出てきたアヤリにティルが左フックをヒット! ダメージを受けたアヤリのタックルを切ったティルは、そのまま上を取り、腕を抜いてアヤリの三角狙いを防ぐと強烈なパウンドを叩き込んだ。アヤリは下からスピンしての腕十字を仕掛けるが、ティルはまたしても腕を抜く。さらに足を効かせたアヤリは、下からティルの身体を蹴って距離を取り、立ち上がることに成功した。

スタンドに戻ると、前に出たアヤリはダブルレッグ狙い。それを堪えたティルの背後に回るが、ティルも振りほどいて距離を取る。その後、前に出て来たアヤリに対して、ティルがカウンターの左ストレート! これで倒れたアヤリにティルは強烈なパウンドやヒジを落としてゆく。絶体絶命と思われたアヤリだが、下から足を効かせ続けてこのピンチを乗り切った。

第3ラウンドが開始し、ハグした両者。ティルは鋭い左をまたしても当てるが、アヤリはひるまない。その後も膝や左カウンターを当ててスタンド戦を有利に進めたティルは、終盤にトリッキーなステップや上半身の動きを見せては左を当て、ペースを握ったまま試合を終了した。

3ラウンドの判定は3-0 (30-27、30-27、29-28)でティルに上がっている。

サウスポーからの見事なムエタイ技術を見せて試合を支配したティルは「アヤリが倒れなかったことには驚いた。脱帽だ。僕は明日でも試合ができる。必ずいつかベルトを獲ってみせるよ」と語り、さらにポルトガル語で現在拠点としているブラジルの家族や仲間にもメッセージを送った。

ライト級 5分3ラウンド
マルチン・ヘルド vs. ダミア・ハゾビック

鳴りもの入りでUFC入りしたポーランドの極め業師ヘルドは、オクタゴンデビュー戦でディエゴ・サンチェスのトップゲームに得意のサブミッションを封じられて敗戦。2二戦目はやはり寝技に定評のあるジョー・ローゾン相手に上から試合をコントロールしたものの1-2の判定負け。しかし、勝利を告げられたローゾン本人が「判定にはまったく賛成できない。僕の負けだと思う」と語るような内容で実力を見せつけた。

対するボスニア・ヘルツェゴビナ出身のハゾビックは、前回のUFCデビュー戦でKO負けを喫しており、今回オクタゴン初勝利を狙う。

第1ラウンド、両者オーソドックス。ヘルドは積極的にジャブで前に出るが、リーチに勝るハゾビックも左右の前蹴りを当てた。タックルに入ったヘルドは、ハゾビックの腰のところでクラッチを組んで押してゆきテイクダウン。すぐに足を超えてサイドを奪い、ハゾビックのガードの中に入ってヒジやパウンドを落とす。

やがてヘルドは得意の足関節を狙って倒れ込んだが、ハゾビックが反応したとみるとすかさず戻って再び上に。すぐにパスしてサイドに回ったヘルドは、さらに流れるような動きでバックを奪い、ラウンド終了まで背後から打撃を入れていった。

第2ラウンド。派手な後ろ廻し蹴りを見せたヘルドは、負けじとハゾビックが膝を出してきたところに合わせてタックルに入ってテイクダウンに成功する。ハゾビックが立とうとしたところでヘルドはバックへ。一方のハゾビックは立ち上がって身体をずらしし、正対に持ち込んだ。スタンドに戻るとハゾビックが左ハイを出すが、ヘルドはそれをキャッチしてまたしてもテイクダウン。そのまま足を抜いてダースチョークに入るが、ハゾビックはなんとか捕らえられている片腕を抜いた。だが、ヘルドはそのままマウントを奪い、さらにバックに回ってラウンド終了まで攻め続けている。

第3ラウンド早々、これまで圧倒的有利に試合を進めているヘルドがワンツーで前に出ると、そのままイマナリロール(日本の今成正和が開発した、スタンドから飛び込んで足関節技を狙う動き)を仕掛けるが、そこにハゾビックの膝がドンピシャのタイミングでヒット! ヘルドは仰向けに昏倒し、07秒でハゾビックが大逆転勝利を挙げた。

グラウンドで圧倒されながらも粘り強く守り、一瞬のチャンスをものにしてみせたハゾビック。それまで優勢に試合を進めていたヘルドとしては、積極的に一本勝ちを狙った派手な動きが仇となってしまった。前回に不可解な判定で敗れたヘルドは、UFCでは力を発揮しながらも気の毒な展開が続いている。
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