ムニョス、スミス、シウバ、ベリチコビッチが快勝

UFCファイトナイト 試合レポート
UFCファイトナイト・ストックホルム:ペドロ・ムニョス vs. ダミアン・スタシアク【スウェーデン・ストックホルム/2017年5月28日(Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
UFCファイトナイト・ストックホルム:ペドロ・ムニョス vs. ダミアン・スタシアク【スウェーデン・ストックホルム/2017年5月28日(Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
バンタム級 5分3ラウンド 
ペドロ・ムニョス vs. ダミアン・スタシアク


前回、ジャスティン・スコッギンズにギロチンチョークで一本勝ちを収めたブラジルのムニョスはUFC2連勝中でランキング12位に付けている。対するポーランドのスタシアクもUFC2連勝中。前の試合ではデイビー・グランドに腕十字で一本勝ちを。

第1ラウンドは両者オーソドックスで幕開け。ムニョスが強烈な右ローやミドルを放ってペースを握った。ローの被弾を嫌がってかスイッチを繰り返すスタシアクは、やがて突進してのテイクダウンを見せるが、ムニョスは得意のギロチンで切り返す。しかし、スタシアクも頭を抜いて離れてみせた。その後もムニョスは右の蹴りを軸に前に出て攻撃。スタシアクも下がりながらのカウンターを返していった。

第2ラウンドでプレッシャーをかけ続けたムニョスは、カウンターを狙うスタシアクに逆に強烈な左カウンタージャブを当てる。ムニョスの右ミドルを捕まえたスタシアクはそのまま回してのテイクダウンを狙うも、ムニョスはギロチンで切り返しながらがぶり、バックに回った。スタシアクがそれを振りほどいて試合がスタンドに戻ると、ムニョスはさらにローをヒット。効いた素振りを見せ始めたスタシアクだが、ときに強烈なカウンターのアッパーを当てる場面もあった。

第3ラウンドではムニョスが前に出ると、スタシアクのカウンターのタックルを潰して上へ。だが、スタシアクも距離を取って立ち上がった。スタンドに戻ると、前に出て右の蹴りを放つムニョスと、サークリングしながらカウンターを狙うスタシアクという展開が続く。後半再びスタシアクのタックルをがぶったムニョスは、そのまま背後に。スタシアクが立ち上がろうとするたびにリフトして投げつけ、危険を回避した。残りわずかのところでスタシアクが振りほどくと、両者は激しい打撃の交換に出る。

判定は3-0 (30-27、29-28、29-28)で終始前に出たムニョスに軍配が上がった。勝者は「相手はタフだったよ。でも僕は自分がベストであることを証明するために戦っているんだ。来週にはジムに帰ってトレーニングするつもりだ。相手は誰でもいい。2週間で次の試合ができるようになるよ」と語っている。


ミドル級 5分3ラウンド 
トレバー・スミス vs. クリス・カモッツィ


スミスはこれまでUFCで4勝4敗。前回はアンドリュー・サンチェスに判定0-3で敗れている。対するカモッツィはUFC3勝3敗で、ターシス・レイチ、ダニエル・ケリーらに連敗中だった。

第1ラウンド、サウスポーのカモッツィに対し、オーソドックスのスミスは左を見せてからダブルレッグに入ってテイクダウンに成功。カモッツィは下からオモプラッタを見せるが、スミスは腕を抜いて背後から覆い被さった。その後カモッツィは立ち上がるが、スミスはしつこく組み付いて再びテイクダウンする。そのままスミスが上の優位な状態でパウンドを落としてラウンドを終えた

第2ラウンドもテイクダウンに成功したスミスはカモッツィのガードの上からパウンドを落としてゆき、カモッツィが動いてもしつこく上をキープ。削られたカモッツィの顔面からは流血が見られた。

第3ラウンドでカモッツィはセコンドの指示通りにジャブを放つが、スミスもジャブを返して組み付いてはカモッツィをケージ際に押し付ける。やがてシングルレッグから引き回してテイクダウンを奪ったスミスは、ハーフの上で胸を合わせてカモッツィをコントロールし、このラウンドも優勢なまま試合を終えた。

判定は3-0 (30-27、30-26、30-26)で、グラインド戦法で圧倒したスミスが勝利している。

ライト級 5分3ラウンド 
レザ・マダディ vs. ジョアキム・シウバ


イラン出身ながらも地元ストックホルムに拠点を置く38歳のマダディ。UFCでの戦績は3勝3敗で、前回はジョセフ・ダフィーに判定0-3で敗れた。対するブラジルのシウバはこれまでUFC2戦2勝で、前回はアンドリュー・ホルブロックに1RKO勝利を収めている。

両者オーソドックスで始まった第1ラウンド、距離を詰めてくるマダディに対し、シウバはカウンターの右を当てた。やがて逆にシウバが前に出て来ると、マダディは左を見せてからダブルレッグでテイクダウン! と同時に会場からは大歓声が沸き起こるが、シウバもすぐに立ち上がってみせた。しかし、マダディは再びシウバの前進に合わせてカウンターのテイクダウン。今度はしっかりとキャンパスに背中を付けさせて、ガードの中に入っている。シウバは下から三角締め等を狙うが、会場の「レザ」チャントを味方につけたマダディはそれをしっかり防いで上のポジションをキープした。

第2ラウンドで前に出たシウバは、左ハイを放ってガードの上からマダディのバランスを崩す。対するマダディも右ストレートを返すと、再びシウバが前に出てきたタイミングでダブルレッグを決めるが、シウバはすぐに立ち上がった。スタンドで前に出たシウバが強烈な左ハイと右ミドルを当てれば、マダディもバックスピンを当て、また組んでから離れ際の右をヒット。お互い強烈な打撃を当てながら、怯むことのない激しいスタンドの攻防が続いた。

第3ラウンド、猛然と前に出たシウバは、マダディをコーナーに詰めて左右のコンビネーションを放つが、それをしのいだマダディは逆に突進してダブルレッグでテイクダウンに成功。立ち上がったシウバに膝を入れると、さらにクラッチを組んでリフトし、再びテイクダウンを奪う。シウバのガードの中に入ったマダディだが、シウバの距離を取って立ち上がった。

スタンドでプレッシャーをかけていくシウバに対して、やや疲れの見えるマダディはバックスピンを見せるが、バランスを崩して転倒。シウバはすかさず背後についてパウンドを放ち、さらに飛びついてチョークを狙う。マダディはそれを上に落としつつタックルに移行して倒しにいくが、スクランブルでシウバガが上になった。シウバは胸を合わせてパウンドを放ったものの、マダディもスクランブルから再びタックルに。そこから強引に投げてのテイクダウンを狙ったマダティだが、シウバは身体を預けて上へ。最後はシウバが優位なポジションで試合が終了したが、死力を尽くした両者の攻防に場内からは大歓声が上がった。

両者が力を出し尽くした激闘の判定は、2-1(29-28、28-29、29-28)でシウバに。スタミナに勝り、後半のスクランブルの攻防を制したことが勝因となった。

ウェルター級 5分3ラウンド 
ニコラス・ムソークvs. ボヤン・ベリチコビッチ


UFCで3勝2敗のムソークは地元ストックホルムのファイター。前戦はアルバート・ツメノフに判定0-3で敗れている。対するセルビアのベリチコビッチはUFC1勝1敗1分で、前回はスルタン・アリエフに判定1-2で惜しくも敗北を喫した。

第1ラウンド、オーソドックスのムソークに対し、ベリコビッチはサウスポー。前に出てきたベリチコビッチに組み付いたムソークは、リーチの長さを利用してボディロックから外掛けでテイクダウンに成功する。しばらく上をキープした後、ベリチコビッチの立ち上がり際に細かいパンチを入れた。その後も地元の歓声に乗って右を入れたムソークは、終盤のベリチコビッチのテイクダウン狙いも切ってみせた。

第2ラウンドでベリチコビッチが身体を振って前に出てワンツーやローを放てば、ムソークも右のハイでこれを迎撃。ベリコビッチがタックルのフェイントや、スライティングしての下段後ろ廻し蹴り等のトリッキーな攻撃を見せると、ムソークは綺麗な右ストレートを当てている。後半ベリチコビッチがダブルレッグでテイクダウンに成功し、ムソークの立ち際に細かいパンチを当てた。スタンドに戻ると今度はムソークがベリチコビッチのハイをつかんで倒し、逆にその立ち際にパンチでお返ししてみせた。

第3ラウンド、ベリチコビッチが強烈な左のインローを当てれば、ムソークは前に出てテイクダウン狙い。それを切ったベリチコビッチがチョークを狙うも、ムソークも素早く反応して頭を抜いて立ち上がる。その後も一進一退の攻防が続いたが、残り30秒、パンチで前に出たムソークに対してベリコビッチが下がりながら放った返しの右フックがヒット!  完全に効いてふらついているムソークを押し倒したベリコビッチがさらにパウンドを打とうとしたところ、4分37秒でレフェリーが試合を止めた。

ベリチコビッチはこの勝利をマンチェスターの事故の被害者に捧げるとともに「この試合に向けて本当に必死で練習してきた。コーチや仲間たちには感謝してもしきれないよ。別にKOしようとは思ってなくて、3ラウンドでも5ラウンドでも戦うつもりだった。いつもそうやってトレーニングしているんだ」と語った。
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