UFC 232見どころ:名勝負再び、ジョーンズ対グスタフソン! さらに夢の女子王者対決!

UFC PPV 見どころ
UFC 214:ダニエル・コーミエ vs. ジョン・ジョーンズ【アメリカ・カリフォルニア州アナハイム/2017年7月29日(Photo by Josh Hedges/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
UFC 214:ダニエル・コーミエ vs. ジョン・ジョーンズ【アメリカ・カリフォルニア州アナハイム/2017年7月29日(Photo by Josh Hedges/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
日本時間12月30日(日)に開催されるUFC 232では、5年前に世紀の名勝負を演じたジョン・ジョーンズ(アメリカ)とアレクサンダー・グスタフソン(スウェーデン)が再び相まみえるUFCライトヘビー級王者決定戦、そして女子部門史上初のチャンピオン対決、女子フェザー級王者クリスチャン・サイボーグ(ブラジル)と女子バンタム級王者アマンダ・ヌネス(ブラジル)の年忘れ豪華ダブルタイトルマッチが実現する。



お騒がせジョーンズ、最強の証明

UFC 165(2013年7月)で行われたジョーンズとグスタフソンの初戦では、下馬評で圧倒的に不利とみられていたグスタフソンが蓋を開けてみれば大健闘、王者をこれまでにないほど追い詰めたものの、結果はジョーンズがさすがの底力で判定勝ちを拾った。身長193 cm、リーチ215 cmと恵まれた体格で対戦相手を圧倒してきたジョーンズに対し、グスタフソンも身長195.5 cm、リーチ200cmと引けを取らず、力負けをしないスリリングな真っ向勝負が印象的だった。

現在31歳のジョーンズは弱冠23歳にしてライトヘビー級タイトルを獲得、以降、防衛回数8回を誇る9年間無敗の絶対王者だ。しかし、2015年にはひき逃げ事件を起こして執行猶予処分を受け、ベルト剝奪。2016年にはUFC 200記念イベントの試合直前に薬物検査で失格、1年間の出場停止処分を受けている。さらに復帰戦となった2017年7月のUFC 214でのダニエル・コーミエ戦でも、いったんノックアウト勝ちを収めたものの、再びの薬物検査失格が判明、試合結果がノーコンテストに変更され、獲得したライトヘビー級ベルトも剝奪、15カ月の出場停止処分が科せられていた。

ジョーンズは出場停止期間が明けた心情を、「しばらく試合から遠ざかっている間に、自分にとって格闘技がどんなに大きな存在なのかが身にしみて分かった。俺はもう、試合を軽く考えたりしないし、これまでのように試合前にパーティで大騒ぎしたりもしない。自分は成長した。それが大事なことなんだ」と明かしている。

UFC 165でのグスタフソン戦苦戦は、自身の準備不足が原因だったとジョーンズは振り返る。

「前回の試合では、メディアが『アレクサンダーはジョーンズに似ている。身長が高くて動ける選手だ』と盛んに報じていたが、俺は内心、自分に似ているからといっても、ヤツは俺とは同じではない、と高をくくっていた。だから本来すべきだったトレーニングをしなかった。全く準備不足だった。彼のことを見くびっていたんだ」

「今回は、前回の準備不足を踏まえた入念なトレーニングを積んでいる。前回とは全く違った戦略、全く違った試合をお目にかけたい。圧倒してフィニッシュしたい」

3度目の正直、グスタフソンのリベンジ

一方、前回は地元スウェーデンのメインイベントでグローバー・テイシェイラをノックアウトした後(2017年5月、UFCファイトナイト・ストックホルム)、オクタゴン上で恋人にプロポーズをして成功するなど、我が世の春を謳歌(おうか)したグスタフソン。その後、肩の手術を受けたこともあり、ジョーンズよりむしろご無沙汰の19カ月ぶりの実戦復帰となる。

繰り返されるジョーンズのリング外での失態を、「自分たちはロールモデルでなければならないし、このスポーツをリスペクトしないといけない。だから俺はジョンのファンではない。でも、自分は戦うために来ているのであって、友達を作るためではないから、別に気にしない」と突き放すグスタフソンは、今回3度目となるタイトル挑戦への意気込みを次のように語っている。

「肉体的にも精神的にも準備万端だ。時が来た。俺は前回とは全く違うファイターになっている。技は全部強化されているし、全局面で強くなった。スピードもアップしているし、よりスマートに戦えるようになっている。前回は事実上、俺が勝っていた。今回もジョンを同じ目に遭わせてやる」

なお、現在のライトヘビー級チャンピオンはヘビー級との2冠王者コーミエであるが、コーミエにライトヘビー級タイトルの防衛予定がないことから、UFC 232のメインイベントが予定通りに開始された時点でコーミエは王座を退き、ジョーンズ対グスタフソン戦の勝者が新王者に認定される運びとなっている。

人類最強女子決定戦はブラジリアン対決!

2005年から実に20連勝中というサイボーグは、Strikeforce、Invicta FC、UFCと、出場した団体で軒並みベルトを奪取してきた絶対王者だ。今回もヌネスを上から目線のトラッシュトークでかわいがっている。

「1年前にアマンダは私の名前を出して挑発した。私はすぐに試合を受諾したのに、彼女は準備期間に9カ月が必要だとした。他人の名前を出して挑発するなら、準備が済んでからにしなさい。相手をそんなに待たせてはいけない。しかも実際には12カ月も待たせた。罰を受けてもらうことになる」

「あなたは試合をドタキャンすることがあるから、まずはしっかりと稽古を積んで、試合には出場するように。あなたがケージに登場し、扉が閉まった時、あなたのことを信じましょう」

「アマンダはプレッシャーをかけるのが得意だけれど、プレッシャーをかけられるのは苦手だとみている。私はプレッシャーそのものだ。彼女は思い知ることになる」

一方、ロンダ・ラウジー、ミーシャ・テイト、ワレンチナ・シャフチェンコら、トップ中のトップを皆殺しにし、センターポジションを主張してやまないヌネス。1階級軽量のヌネスが体格面で不利であることが予想されるが、実はMMAデビュー当時のヌネスはフェザー級で6連勝を記録した実績もある。このスーパーファイトには、フェザー級のタイトルがかけられるため、ヌネスが勝てば、女子初の2階級制覇王者となる。

「下馬評で不利であることは私にとって好都合よ。誰も私に期待をしていないという状態がいい。失うものなど何もなくて、ただ勝てばいいだけ。そういう時の私は強い」

「サイボーグに勝てば女子史上最強を名乗ることができると思っている。私は最強の2冠王者として殿堂入りを果たしたい」

それぞれの階級で挑戦者を一掃、向かうところ敵なしのブラジリアン最強女王同士が、いよいよ骨のあるライバルを得て、本領発揮に腕を撫(ぶ)す。

設立25周年アニバーサリーイヤーの掉尾(とうび)を飾る、メガファイト連発のUFC 232。格闘技ファンならこれを見ずして年など越せないはずだ。

【文 高橋テツヤ】
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