UFCファイトナイト・チェコ見どころ:UFCがチェコ初進出、欧伯トップファイターの一騎打ち

UFCファイトナイト 見どころ
UFCファイトナイト・ウィニペグ:ジャレッド・キャノニア vs. ヤン・ブラホビッチ【カナダ・ウィニペグ/2017年12月16日(Photo by Josh Hedges/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
UFCファイトナイト・ウィニペグ:ジャレッド・キャノニア vs. ヤン・ブラホビッチ【カナダ・ウィニペグ/2017年12月16日(Photo by Josh Hedges/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
日本時間2月24日(日)、UFCが初めてチェコ共和国で開催するイベント、UFCファイトナイト・チェコのメインイベントでは、ライトヘビー級ランキングで欧州トップの第4位、ヤン・ブラホビッチ(ポーランド)と、ブラジル勢トップの第6位につけるチアゴ・サントス(ブラジル)が対決する。

ノックアウトアーティスト、サントス

昨年は年間5試合出場(4勝1敗)と大忙しだったサントス。その内容もすばらしく、5試合のうち3試合でパフォーマンスボーナスを獲得。2月には後に次期ライトヘビー級タイトル挑戦者となる実力者アンソニー・スミスを撃破、9月に開催された母国ブラジルのサンパウロ大会では自身初のメインイベントを勝利で飾るとともに、2013年のUFCデビュー以来戦場としてきたミドル級を離れ、ライトヘビー級へのスムースな階級転向も実現させた。

そして前回、UFC 231(2018年12月)でのジミ・マヌワ戦は、アドレナリン全開の爽快極まりない殴り合いを制し鮮やかなKO勝利。試合が終わった後、スタンディング・オベーションで激闘をたたえる観客席を満足そうに見渡すサントスの姿は、今まさに脂がのりきっているファイターそのものだった。

ニックネームの“マヘータ”(スレッジハンマーの意味。ちなみにサントスの胸には大きなスレッジハンマーのタトゥーが彫られている)が示すように、サントスの持ち味は何といってもパワフルな打撃だ。UFCでの12勝のうち10勝がノックアウト勝ち、またミドル級でのノックアウト勝ち数9は、アンデウソン・シウバと並ぶUFC最多記録である。

そんなサントスはほんの7年前まで、ブラジル陸軍のパラシュート部隊に所属、降下訓練を繰り返していたという。

「飛び降りる時には、どれほど経験を積んでいても、いつも怖いんだ。パラシュートがちゃんと身体に装着されているのだろうか、安全に飛べるのだろうかと、いろいろな心配が頭をよぎる。同じように、試合の時にも僕はいつも怖い。だからこそ、自分が制御できる恐怖をきちんと感じて備えておく。そのことが自信につながるんだよ」

軍隊仕込みの強じんなメンタルで、サントスは今年もますますの大暴れを宣言している。

「たくさん試合ができて、ずっとアクティブでいられることはありがたい。ライトヘビー級ではそんなに減量をしなくてもいいから、今年は6試合やりたい。僕はどんな試合も避けないし、どんな挑戦も受ける。そしてチャンスがあれば自分から取りに行く。それが軍隊で学んだことだ。誰もやりたがらない挑戦は、オレが全部引き受けてやる」

タイトルショットを掌中に、ブラホビッチ

対するブラホビッチは、2014年のUFCデビュー以降、最初の6試合を2勝4敗と苦しんだが、2017年10月に地元ポーランドでの大会でデビン・クラークを下してから波に乗り、現在まで4連勝と好調、特に最近2試合ではパフォーマンスボーナスも獲得しており、名実ともに伴って次期ライトヘビー級挑戦者の1人として台頭してきた。

前回のモスクワ大会(2018年9月)では、地元の人気者ニキタ・クリロフに土をつけてロシアのファンを沈黙させたブラホビッチは、上機嫌の試合後記者会見では自信の表れなのか、こんなリップサービスまでしてみせた。

「(当時のライトヘビー級王者の)ダニエル・コーミエとやらせろ。私にはタイトル挑戦の資格がある。準備も万端だ。UFCが試合を組んでくれることを希望する。ただ、コーミエが私の挑戦を受けるかどうかだけが問題だ。コーミエがダメならアレクサンダー・グスタフソンをよこせ、それもダメならブロック・レスナーとやらせろ」

上昇気流に乗っている2人の対決は、中身の濃い充実の一戦となりそうだ。そして勝者が、現王者ジョン・ジョーンズの刺客として名乗りを上げることだろう。

ヘビー級フィニッシャー対決

UFCファイトナイト・チェコのセミメインイベントでは、ステファン・ストルーフェ(オランダ)対マルコス・ホジェリオ・デ・リマ(ブラジル)の一戦が行われる。

身長213センチ、UFCで最も身長の高い“スカイスクレイパー”(摩天楼)ことストルーフェは、弱冠31歳にして39戦28勝11敗、うち25勝がフィニッシュ、17勝が一本勝ちという堂々の戦績を誇る若きベテランだ。スティペ・ミオシッチ、アントニオ・シウバ、アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラといったビッグネームからも勝ち星を奪っている。その巨大な四肢に絡め取られたら最後、タップするしか道はない。

一方のデ・リマは、かつて減量に苦しんだライトヘビー級から、昨年ヘビー級に転向。転向初戦となったUFC 230でアダム・ウィチョレクに判定勝ちを収め、出直しの第一歩を踏み出したところだ。「新しい階級で、自分の強さをハッキリと示すことができた。調子もすごくいい。これからこの階級を荒らしてやる」と語るデ・リマ。MMA戦績21戦(16勝5敗)のうち、判定決着が4試合しかなく、平均試合時間は3分18秒という、勝っても負けても勝負が早いことが特徴のキックボクサーだ。ヘビー級屈指のフィニッシャー対決にして、グラップラー対ストライカーのスタイル対決となるこの試合、まばたき厳禁の一戦となりそうだ。

プディロヴァ、がい旋試合で大物を食うか

近年UFC人気が急上昇中のチェコで、ファンの期待を一身に背負って故郷に錦を飾るのが、現在のところ唯一のチェコ人UFCファイターであるルーシー・プディロヴァ(チェコ共和国)だ。

女子バンタム級で2勝2敗の成績を残した後、今回が女子フライ級でのデビュー戦となるプディロヴァ。前回はUFC 228(2018年9月)でアイリーン・アルダナにスプリット判定負けを喫するも、持ち前の積極的な戦いぶりが評価されてファイトナイト・ボーナスを獲得している。バンタム級としては小柄に見えたプディロヴァだけに、1階級落とすことで一掃の本領発揮が期待される。

対戦相手は、2013年にUFC初の女子戦でロンダ・ラウジーと激闘を繰り広げたベテランのリズ・カムーシュだというから相手に不足はない。現在は女子バンタム級14位のプディロヴァだが、女子フライ級6位のカムーシュを下すこととなれば、一気に女子フライ級の台風の目として台頭してくることになる。ニューヒロインが誕生するのか、それとも世界の壁は厚いのか。場内の熱気を感じながら堪能したい一戦だ。

【文 高橋テツヤ】
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