UFC 235見どころ:ジョーンズ、ウッドリー、王者が目指す新たな高み

UFC PPV 見どころ
UFC 232:ジョン・ジョーンズ vs. アレクサンダー・グスタフソン【アメリカ・カリフォルニア州イングルウッド/2018年12月29日(Photo by Josh Hedges/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
UFC 232:ジョン・ジョーンズ vs. アレクサンダー・グスタフソン【アメリカ・カリフォルニア州イングルウッド/2018年12月29日(Photo by Josh Hedges/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
日本時間3月3日(日)に開催されるUFC 235のメインイベントでは、UFCライトヘビー級王者ジョン・ジョーンズ(アメリカ)と挑戦者アンソニー・スミス(アメリカ)が対戦するタイトルマッチが行われる。



「あと10年戦い続ける」とジョーンズ

ここ数年のジョン・ジョーンズはオクタゴン外の話題に翻弄されることが多く、試合に復帰することができるのか、なかなか見通しが立たない時期もあった。「泣いてばかりいた。人生のどん底だった。話せることは何もなかった。ただ、明日こそは晴れると信じてやりすごすしかなかった」とジョーンズはストレスの多かった日々を振り返る。

戦いに飢えているからこそ、昨年12月の復帰戦でアレクサンダー・グスタフソンとのリマッチを制してから正味2カ月強という早いペースで、ジョーンズがオクタゴンに戻ってくる。

キャリアが10年を超えた31歳のジョーンズだが、ファイターとしての進化はいまだに止まらないのだという。「まだまだ強くなる。最近も新しいボクシングコーチと、サウスポーポジションでの練習を開始した。まだまだ知らないことがあるんだなと思っている。俺は、あと10年は現役で戦い続けたいんだ」

今回の試合、下馬評はジョーンズが圧倒的に有利だとされているものの、ジョーンズは「だからこそ危険なんだ。謙虚な気持ちでしっかり準備をしないといけない。グスタフソンとの初戦では、相手を甘く見てしまった結果、危うく負けそうになった。だからスミスのことは真剣に警戒している。何しろ彼には俺の倍の経験値があるんだからね」と隙(すき)を見せない。

「今は週に2回のペースで、抜き打ちの薬物検査を受けている。隠すことは何もない。むしろ、自分の身体のことを深く理解できるのでありがたい。今年はアクティブな1年にしたいんだ。少なくとも3、4試合は出場しないとね」と語るジョーンズのキャリアは、新たな高みを目指して生き急ぐかのように再起動する。

雑草スミス、45戦目でUFCタイトル初挑戦

ラシャド・エバンス、マウリシオ・フア、ヴォルカン・オーデスミアを相手に連続KO勝ちを収め、一気にタイトル挑戦権を獲得したスミス。しかし、ここに至るまでの道程は決して順風満帆ではなかった。

2008年にMMAファイターとしてデビューしたスミスだったが、2009年に4連敗を喫するなど多難なキャリア初期を過ごす。6連勝を飾った2011年に軌道に乗ると、2013年にはUFC入りを果たした。ところが、わずか1試合で無念の解雇。そこから次の2年間はインディ団体で7勝1敗の戦績を積み上げ、2016年に念願のUFC再デビューにこぎつけたのだった。そんなキャリアの浮き沈みで習得した雑草魂こそが、自身の強みだとスミスは語っている。

「17歳の頃からUFC王者を目指してやってきて、もう30歳になった。すぐにあきらめてしまうような性格だったら、俺は今この場にいない。まるでジェットコースターのようなキャリアだったけど、他の誰よりもチャンピオンになりたい思いは強かったんだ」

スミスはUFC 232のジョーンズ復帰戦をコメンテーターとしてテレビスタジオで観戦し、試合後にジョーンズへの挑戦をぶち上げている。

「このジョーンズになら勝てる、そう100%確信したんだ。これまでは、まさか自分がジョーンズと戦うことになるとは思っていなかった。ところが今では、ここを攻めれば勝てるという穴が見える」

プロ戦歴が実に44戦(31勝13敗)に上るスミスが、ライトヘビー級に転向してからというもの、わずか4戦目でタイトルに挑戦するというのだから、スミスのキャリアは風雲急を告げているが、スミスは平常心で臨む。

「自信なんて、もともとない。ネブラスカ州の田舎町育ちで、こんな大舞台に立てる方がおかしいんだ。タイトル獲得という夢の過程の、ただの1試合にすぎないと思って、やるべき準備をしているんだよ」

ウスマン、「チャンピオン、これまでお疲れさまでした」

UFC 235のセミメインイベントではUFCウェルター級王者タイロン・ウッドリー(アメリカ)がカマル・ウスマン(ナイジェリア)を挑戦者に迎えるタイトルマッチが予定されている。

3年前にロビー・ローラーを秒殺KOしてベルトを獲得して以来、安定の戦いぶりで今回5度目の防衛戦を迎えるウッドリー。現在のUFCチャンピオンの中で最長期政権を継続中だ。

他方のウスマンは前回、元王者ハファエル・ドス・アンジョスにおおかたの想像を超える完勝を収め、次期タイトル挑戦者にふさわしい実力を満天下に示した。現在13連勝中と完全に勢いに乗っている。

両者はイベント前記者会見で口角泡を飛ばしあった。

ウスマン: あんたは頭を下げてパンチを振り回して、右が1発当たるのを祈っているだけ。そんなことなら、誰にでも簡単にできるんだよ。

ウッドリー: UFCウェルター級史上、俺はノックダウンの記録で三傑に入るのに、おまえは何人をノックアウトしたことがあるんだ? キミは一体どうやって俺に勝つつもりなんだ。言ってみろ。

ウスマン: あんたからベルトを取ったあとで、あんたの耳元で直接教えてやるさ。チャンピオン、長年お疲れさまでした、とな。

ウッドリー: キミがレスリングで来るなら、正面から受けて2度と立てなくしてやる。打撃でも俺はキミをおねんねさせるし、グラップリングならキミの腕を折る。本当に、おまえが俺より優れているのはどこなんだ?

ウッドリーの横綱相撲がウスマンを寄り切るか、それともハングリーなウスマンが力で王位継承を実現させるのか。ゲームマスター同士の一戦の行方は予断を許さない。

アスクレン待望のUFCデビュー

UFC 235では、昨年他団体からトレードでUFC入りしたベン・アスクレン(戦績18勝0敗)のオクタゴンデビュー戦も注目だ。2008年北京五輪出場のレスリングの猛者であり、UFCファンにとっては数少ない“まだ見ぬ強豪”のアスクレンは、「やっと自分よりも格上の相手と戦えることが楽しみで仕方ない。自分を試してみたいんだ」と来るべき戦いに手ぐすねを引いている。

その対戦相手には、前回の試合で膝前十字靭帯を損傷し、15カ月ぶりの戦線復帰となる強打の元王者ロビー・ローラーが指名されたからたまらない。アスクレンにとってはいきなりの試練となるが、勝てばタイトル戦線の即戦力であることを自ら証明できるビッグチャンスでもある。

見どころ山盛りのUFC 235、ファン必見のイベントだ。

【文 高橋テツヤ】
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