UFC 239見どころ:王者ジョーンズ&女王ヌネスがそろい踏み、史上最強ファイターの証明へ

UFC PPV 見どころ
UFC 232:クリスチャン・サイボーグ vs. アマンダ・ヌネス【アメリカ・カリフォルニア州イングルウッド/2018年12月29日(Photo by Josh Hedges/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
UFC 232:クリスチャン・サイボーグ vs. アマンダ・ヌネス【アメリカ・カリフォルニア州イングルウッド/2018年12月29日(Photo by Josh Hedges/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
日本時間7月7日(日)に開催されるUFC 239は、メインイベントにUFCライトヘビー級タイトルマッチ、王者ジョン・ジョーンズ(アメリカ)対挑戦者チアゴ・サントス(ブラジル)を、セミメインイベントにUFC女子バンタム級タイトルマッチ、王者アマンダ・ヌネス(ブラジル)対挑戦者ホリー・ホルム(アメリカ)を配した豪華ダブルチャンピオンシップが予定されている。

女王キラー、ヌネス「次はあなたの番」

アメリカのスポーツ界でよく使われる言葉に、GOATがある。これはGreatest of All Time、すなわち史上最高のプレーヤーという意味で、ボクシングならモハメド・アリ、バスケットボールならマイケル・ジョーダン、アメリカンフットボールならトム・ブレイディなど、誰もが納得の歴史に残るトップ中のトップ選手のことをいう。では、UFCのGOATといえば誰であろうか。

「GOATは私。最強の女子ファイターたちを倒してきたんだから、そう考えていいはず」と断言するのが、ヌネスだ。ヌネスは前回、これまで13年間無敗だったクリス・サイボーグをわずか51秒でノックアウトして女子フェザー級タイトルを獲得、女子史上初の2冠王者になった。加えてこれまでにロンダ・ラウジー、ミーシャ・テイト、ワレンチナ・シェブチェンコ(2度)ら、女子格闘技史上の名チャンピオンを軒並み下してきたのだから、ヌネスがそう言うのももっともである。

そんなヌネスが唯一、まだ肌を合わせていないビッグネームが、ホルムだ。ボクシングの世界で3階級を制覇し、18回もチャンピオンに輝いたホルムは、MMA転向後にはラウジーの連勝記録にストップをかけて世界を驚かせ、第2代の女子バンタム級王者に就いた実績もある。

「ホリーは偉大なファイター。動きがいいし、ボクシングもキックもいい。最近は連敗もあったから過小評価されているかもしれないけれど、私にはよく分かる。本当に危険な選手だ」と対戦相手に警戒感を強めるヌネス。それでも、「私は歴史を作っている。次の犠牲者は彼女になる」と、GOATの称号を譲る気はまるでない。

再びの番狂わせへ、ホルムの秘策

女子バンタム級王者としての最初の防衛戦となったミーシャ・テイト戦(2016年3月、UFC 196)で、試合全般を通じて圧倒しながらも、一瞬の隙(すき)を突かれてチョークで眠らされてしまい、ベルトを奪われたホルムにとって、今回はようやく訪れたベルト奪回のチャンスである。

「あの時はチョークを極(き)められながら夢を見ていた。ホリー、起きなさいという大歓声よ。でも、実際にはそれはミーシャへの歓声だった。レフェリーが、何が起きたか分かるか、と聞いてきたので、ええ、締め落とされたみたいですねと答えた。レフェリーは、ああよかった、分かっているんだねと言っていたわ。何がよかったっていうのよ。周囲からは、この世の終わりでもないんだから、と慰められたけれど、私にとってはまさにこの世の終わりの気分だった。あれ以来、私はずっとあの敗戦をモチベーションの源にしてきた」

「ロンダ、クリスに比べ、アマンダはかなりオールラウンドだから、立っても寝ても対応できないといけない」とヌネスを分析するホルムは、「ただ、誰しも長所短所はある」と何やら策ありげだ。

事前番組『UFC 239 Countdown』でホルムの打撃コーチ、マイク・ウィンクルジョンは、本音なのか鎌をかけているのか、次のような興味深いコメントをしている。

「アマンダが大ぶりのパンチを打とうとスペースを作った時、ホリーは見たこともないようなヒジ打ちでアマンダを切り裂くことになるだろう。アマンダは得意のパターンがうまくいかないことにイライラして、そこから崩れていくだろう」

ラウジー戦の大アップセット劇再現で、ベルトだけでなく、GOATの称号まで奪い取ろうとホルムが起死回生を狙う。

「ファンに最高の試合をプレゼントしたい」とジョーンズ

UFCライトヘビー級のレジェンドファイターを次々と力でねじ伏せて、23歳にしてUFC史上最若年チャンピオンになったジョーンズ(31)も、前回のアンソニー・スミス、今回のサントスと、最近ではすっかりニューウェーブファイターを迎え撃つ立場となった。しかし、ジョーンズはまだまだ守りに入るつもりはない。

「俺はまだ、この先10年、トップでやれると思っている。いろいろな経験を積んできたけれど、いまだに初心者のような感覚もあるんだ。学ぶことはまだたくさんある。だから自分の今後にワクワクしている」

7カ月間で3試合目という、これまでにない速いペースで試合に出場することについて、ジョーンズは次のように真情を吐露している。

「俺の試合を楽しんでくれるファンに、最低でも3カ月に1回は試合をお見せすることを目標にしている。自分のようにイメージの悪い選手のファンでいてくれるというのは、おそらく大変なことなんじゃないかと思う。欠場中にも応援してくれた皆さんに対するこれが自分なりの感謝の表現なんだ。ファンの皆さんには最高の試合をプレゼントしたい。俺のTシャツを着てバーで飲んでいる人が、“な、言っただろ“と自慢できるような試合をね」

対戦相手のサントスはライトヘビー級転向後、エリック・アンダース、ジミ・マヌワ、ヤン・ブラホビッチを3連続ノックアウト、爆発的なパワーを存分に発揮し、全ての試合でパフォーマンスボーナスを獲得している。しかし、ジョーンズは「チアゴのパワーは気にならない」と淡々と分析する。

「ノックアウトパワーなら誰でも持っているからね。俺が不安になる相手は、頭のいい選手、ノックアウトパンチに至るまでの課程がスマートな選手、賢いゲームプランを持っている選手なんだ。これまでにもすごいパワーの選手とは散々戦ってきた。自分の力、チームの力を信じて戦えば、全ては収まるところに収まると考えている」

ジョーンズのスマホの壁紙には「13」の数字が表示されている。今回の試合で勝てば、ジョルジュ・サン・ピエールの持つUFCタイトルの最多防衛回数レコード13回に肩を並べることになるのだ。ジョーンズもまた、「自分がGOATであることを証明していくことが大事なんだ」とGOATへのこだわりを見せている。

ヌネスとジョーンズ、2人の偉大な王者がますますの高みを目指し、オクタゴンに足を踏み入れる。

【文 高橋テツヤ】
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