UFCファイトナイト・サンパウロ見どころ:ライトヘビー級に転向したジャカレの新たな挑戦

UFCファイトナイト 見どころ
UFCファイトナイト・フロリダ:公式計量セレモニーに登場したジャカレ・ソウザ【アメリカ・フロリダ州サンライズ/2019年4月26日(Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
UFCファイトナイト・フロリダ:公式計量セレモニーに登場したジャカレ・ソウザ【アメリカ・フロリダ州サンライズ/2019年4月26日(Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
日本時間11月17日(日)に開催されるUFCファイトナイト・サンパウロのメインイベントでは、ジャカレ・ソウザ(ブラジル)対ヤン・ブラホビッチ(ポーランド)のライトヘビー級5回戦が行われる。

ジャカレ、タイトルへの飽くなき挑戦

ミドル級トップ5の常連にして戦歴34戦、キャリア16年の大ベテランであるソウザが今回初めてライトヘビー級に階級変更を果たす。過去6戦、ミドル級でトップ10ファイターを相手に白星と黒星を繰り返していたソウザは4月の前戦で、もともとはヨエル・ロメロ戦が予定されていたところ、ロメロの急病欠場を受けて対戦相手がジャック・ハーマンソンに変更。ソウザにとっては勝って当たり前のハイリスクローリターンな試合で無念の判定負けを喫していた。

この試合の後、ソウザは燃え尽き症候群のようなメンタル面での不調に悩まされていたのだという。

「3カ月練習をしなかった。チームメイトのサポートで久しぶりにジムに行こうと思ったら、ジムに行く車の中で涙があふれてきてね。ああ、自分は一体何をしているんだ、もう格闘技はやめよう、と思ったんだ」

「妻がカウンセラーを見つけてきてくれて、週1回通ったおかげで、すごくよくなった。今は試合に復帰できてとてもうれしいし、前のように練習ができるようになって良かったと思っている。何だか生まれ変わったみたいだ」

ミドル級からライトヘビー級への階級転向といえば、アンソニー・スミス、チアゴ・サントスといった成功例がある一方、ルーク・ロックホールド、クリス・ワイドマンら、苦戦を強いられる者もいる。

「自分はもともとミドル級としては大柄で、通常体重は213パウンド(約96.6 kg)ほどなんだ。普段からヘビー級やライトヘビー級の選手と練習を積んでいるし、大きな選手との試合にも問題はない。柔術の無差別級のトーナメントで何度も優勝しているんだよ」

対する元KSWライトヘビー級チャンピオンのブラホビッチ(ランキング6位)は、過去6戦で5勝1敗と好調、前回は7月のUFC 239でミドル級から転向したロックホールドをKOしている。ソウザにとってはいきなりの強敵だが、勝てばミドル級では果たせなかったタイトルショットに一気に肉薄することになる。

「今はまだそこまでは考えていない。とにかくまずはこの試合で勝つこと。そこから前に進んでいく。やるべきことをする前に今後の話をしてみても仕方ないからね」

ショーグン「今でも試合はデビューの頃と同じくらい怖い」

UFCファイトナイト・サンパウロのセミメインイベントには、日本でもおなじみのマウリシオ・“ショーグン”・フア(ブラジル)が登場する。

2005年PRIDEミドル級グランプリ優勝、元UFCライトヘビー級チャンピオン、そしてダン・ヘンダーソンとの激闘がUFC殿堂入りするなど、どこかすでに勇退した選手のような実績のフアだが、実は過去5戦で4勝とまだまだ元気いっぱいだ。前回は2018年12月にアデレードで新進気鋭のタイソン・ペドロと対戦、両選手の頭がぶつかるアクシデントにより、第1ラウンド途中から一時記憶をなくしていたというフアだが、そこから復活、第3ラウンドにTKO勝ちし、ファイトボーナスを獲得した。

今回がキャリア38戦目となる大ベテランは、同業者から「あなたは自分のヒーローなんです」と憧れの気持ちを告げられることも多くなってきたという。

「まあ、褒め言葉だと受け取っておくよ。格闘家はとても難しい職業だから、自分の実績が他人にとって意義深いものであるのなら、それはありがたいことだと思うからね。でも、大して年齢も変わらないような人から、『子供の頃からあなたの試合を見ていました!』とか言われるのはおかしなものだけれどね」

メディアからも家族からも、そろそろ引退をと薦められているというフアは、引退については次のように語っている。

「確かにいますぐ引退したとしても、神様には感謝しかないほどだ。ただ、反射神経も身体の強さもまだ大丈夫であるうちは、自分は戦い続ける。だって戦うことが好きだし、これが自分の仕事だし、今引退したら5年後には後悔するかもしれないからだ。こういうことは個人的に考えて決めればいいと思う。身体の強さがなくなったと思ったら、その時には引退するよ」

「それにね、試合に臨む気持ちは何も変わらないんだ。今でもデビュー戦の時と同じように怖い。でも怖さは悪いことではないんだ。怖いからこそ積極的になれるし、スピードもアップする。今は神様に、忍耐力をくださいとお願いしている。自分らしく戦うための忍耐力だ。自分にとって今、大事だと思うのはそれなんだ」

フアの対戦相手は、MMA戦績12勝4敗(うち一本勝ちが11勝)のポール・クレイグ(イギリス)。これまで、勝っても負けても判定決着が一度もないというフィニッシャーで、UFCでの4勝ではすべてファイトボーナスを獲得している。激しいファイトが期待できそうだ。

最多一本勝ち男オリベイラ、母国がい旋

また、今回のイベントにはUFCでのサブミッション勝利数13という歴代最多レコードを持つ30歳の若きレジェンド、チャールズ・オリベイラ(ブラジル)も出場する。2017年にライト級に転向してからというもの、戦績は6勝1敗、6フィニッシュと絶好調で、そのうち5試合でファイトボーナスを獲得している。ライト級でタイトル戦戦に参入してきても全くおかしくはない戦績だ。

「もう半年以上にわたって、自分よりもランキングが上の選手と戦わせてくれと頼んできたが、なかなかそうならない。ランク外の選手とあてるのはもうやめてほしい」と訴えるオリベイラではあるが、今回は半年ぶりの試合、しかも地元開催とあって、ノンランカーのジャレッド・ゴードン(アメリカ)戦を引き受けた。「自分の仕事は目の前の相手に勝つこと。強い勝ち方をして、年内にもう1試合したい」と、貪欲(どんよく)に上昇のチャンスを狙っている。

一方のゴードンは、19歳で鎮痛剤依存、21歳でヘロイン中毒、22歳の時には薬物の過剰摂取で2分間心停止、23歳でホームレス、その他実家の焼失、親友の死、うつ病など、あらゆる艱難辛苦(かんなんしんく)に打ち勝ってきた壮絶人生で知られているど根性ファイターだ。窮鼠(きゅうそ)猫を噛(か)む可能性は大ありだ。

【文 高橋テツヤ】
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