UFC 247見どころ:新世代スーパーアスリートのレイエスが番狂わせか? 絶対王者ジョーンズが怒りの迎撃!

UFC PPV 見どころ
UFCファイトナイト・ボストン:ドミニク・レイエス vs. クリス・ワイドマン【アメリカ・マサチューセッツ州ボストン/2019年10月18日(Photo by Chris Unger/Zuffa LLC via Getty Images)】
UFCファイトナイト・ボストン:ドミニク・レイエス vs. クリス・ワイドマン【アメリカ・マサチューセッツ州ボストン/2019年10月18日(Photo by Chris Unger/Zuffa LLC via Getty Images)】
日本時間2月9日(日)に開催されるUFC 247のメインイベントでは、王者ジョン・ジョーンズ(アメリカ)にドミニク・レイエス(アメリカ)が挑むUFCライトヘビー級タイトルマッチが行われる。

レイエス「ジョンは勝てない相手ではない」

昨年10月にボストンで元ミドル級チャンピオンのクリス・ワイドマンを鮮やかにフィニッシュし、ついにタイトル挑戦権を手中に収めたレイエス。MMA戦績12勝0敗、UFC入りしてからも6連勝中で、うち4試合が第1ラウンドでのフィニッシュと、猛威を振るっている。

高校時代から複数のスポーツに打ち込んできたというレイエスはフットボール、野球、レスリング、陸上と、何をやらせても成績はトップクラスだった。高校の野球とレスリングではキャプテンを、ニューヨーク州立大学に進学後は2年間にわたってフットボール部の主将を務めたこともある。

「レスリングではタフネスとバランスを、野球ではハンドアイコーディネーション(反射力、動体視力)を学んだ。俺はアスリートとしてのIQが高いんだ」とレイエスは言う。

「ジョンのこれまでの対戦相手は、スペシャリストばかりだった。コーミエはレスリングの専門家、グスタフソンは打撃専門だ。俺はそういう旧世代の選手とは違う」

「自分の中にはジョンも少し入っているし、ジョセ・アルドも、ドミニク・クルーズも、コーミエも、それぞれ少しずつ入っている。全てを吸収して自分のものにしてきた新世代のアスリートなんだ。正直、ジョーンズがこれまで戦ってきた相手とはレベルが違う」

「ジョンの試合はファンとしてずっと見てきた。彼の長所も短所も全部分かっている。見れば見るほど、勝てない相手ではないと思える」と、レイエスはこれまで誰も達成できなかったジョーンズ打破に自信を見せる。

「ただ、最強王者ジョーンズを倒した男、という称号は、おまけにすぎない。ベルトを奪取できれば、永遠に記録に残る。だからオレにとってはベルトを取ることが全てなんだ」

ジョーンズ「レイエスはエリートにありがちな勘違い野郎」

事前番組『UFC 247 Countdown』で「ドミニクのような男はどうも気にくわない」と、ジョーンズは不機嫌そうに吐き捨てている。

「自分のことをすぐれたアスリートだと思っている。いい大学を出ていて、頭もいい。だから自分は他の人とは違うと思っている。エリートにありがちな勘違いだ」

「ジョーンズにはレスラーやストライカーとの対戦経験はあっても、アスリートとの対戦経験はないなどというのは、最近聞いた中で最もアホらしい話だ」

「コーミエはNCAA決勝やオリンピックに出場した。オヴィンス・サン・プルーはフットボールのディビジョン1でプレーしていた。ライアン・ベイダーは他団体で2冠王だし、リョート・マチダは5歳の時から打撃をやっている。こんな人たちがアスリートではないとでも?」

「レイエスは確かにアップルバレー(カリフォルニア州の地名)では、最高のアスリートの1人かもしれない。雑魚に勝ち続けて、世界有数のアスリートになったと思い込んでいるのだろうが、典型的なお山の大将だ。レイエスがそんなに強いなら、どうしてレスリングで州のチャンピオンにすらなれないんだ? フットボールでもディビジョン1でプレーしていないし、NFLの練習場にすら行けていない。全部が妄想なんじゃないのか」

UFC公式パウンド・フォー・パウンド・ランキング第1位、現在17試合連続で黒星がなく(現役選手中最多)、タイトルマッチでの勝利数は13(ジョルジュ・サン・ピエールと並んでUFC歴代1位)、防衛回数11回、これまでに6人の元王者を倒し、ファイトボーナスを8回受賞、ノックダウンされたことは1度もなく、テイクダウンも2回もらっただけ(テイクダウン防御率95%)という他の追従を許さないパフォーマンスとレコードを誇るジョーンズ。そんなジョーンズが今、目標にしている記録は、前人未踏のタイトル防衛回数20回なのだという。そして、目指す究極の姿は、モハメド・アリなのだ。

「アリは自分で自分のことを“グレーテスト”といいだし、やがては誰もがそう認めるようになった。自分も誰にも破ることができないレコードを打ち立て、グレーテストといえばジョーンズのことだと思われるようになりたいんだ」

「ドミニクのことを軽視しているわけではないが、自分にとって彼は、偉業達成のための道具にすぎない存在だ。勝ちたいのならどこか他の場所に行け。キミは特別な存在ではないんだよ」

シェフチェンコ「私はユニバーサルファイター」

UFC 247のセミメインイベントでは、挑戦者にケイトリン・チョケイジアン(アメリカ)を迎えて、UFC女子フライ級王者ワレンチナ・シェフチェンコ(キルギス共和国)の3度目の王座防衛戦が行われる。

2018年にフライ級に転向して以来、4勝負けなしのシェフチェンコはプリシラ・カショエイラ戦で有効打撃数230対3という大差を付けて一方的な勝利を挙げると、ジェシカ・アイを背筋も凍る一撃ハイキックでKO、そして元ストロー級王者ヨアンナ・イェンドジェイチェクを全局面で圧倒するなど、ただ勝つだけでなく、当面王座は安泰と思わせるほどの圧倒的な強さを見せつけている。

他方のチョケイジアンは過去6戦で5勝と好調。前回はUFC 244(2019年11月)でジェニファー・マイアとの次期挑戦者決定戦を制した。カウンターストライカーのシェフチェンコに対し、チョケイジアンのファイトスタイルはいわばボリュームストライカー。常に前進して手数を出し、フットワークとヘッドムーブメントを駆使して同じ場所にとどまらない。

「私のように動き続ける相手に、カウンターは当たらない」とチョケイジアンは自信を見せる。「だからワレンチナはイライラして、ミスを犯すことになる。しかもスタミナでは私の方が上回っているから、試合が長引けば長引くほど、私が優勢になっていく。試合は私の判定勝ちか一本勝ちになる」

この挑発にはシェフチェンコも、「私をいら立たせてやるというけど、これまで実際にそうなったことは一度もない」と反論している。

「私は5歳の時から格闘技を始めて、もう26年間、毎日練習をしている。だから私は今この位置にいる。ボクシングでもムエタイでもグラウンドでも相手を圧倒できるユニバーサルファイターとして、今回も私が圧倒して勝つ」

【文 高橋テツヤ】
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