UFCファイトナイト・オクラホマシティ見どころ:場外大乱闘の2人がオクタゴンで危険な再会

UFCファイトナイト 見どころ
UFCサマーキックオフ記者会見:マイケル・キエーザとケビン・リー【Photo by Josh Hedges/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images】
UFCサマーキックオフ記者会見:マイケル・キエーザとケビン・リー【Photo by Josh Hedges/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images】
5月12日(現地時間)、UFCは米テキサス州ダラスで5月から7月にかけて行われるUFCイベントに出場予定の合計16選手が一堂に会した記者会見“サマーキックオフ”を開催した。ダニエル・コーミエ、ジョン・ジョーンズら大物が幅をきかせたこの記者会見で、ある意味で主役の座を奪う活躍を見せたのが、日本時間6月26日(月)開催のUFCファイトナイト・オクラホマシティのメインイベントで激突するケビン・リーとマイケル・キエーザのコンビだ。

動画:キエーザとリーが一触即発! 「母さんの話はするな!」

上機嫌のリー、「マクレガーはオレに憧れている」

大半の選手がスーツなどの改まった衣装で参加する選手する中、1人だけサングラスにバンダナ、胸が大きくはだけたド派手なシャツにネックレスという、まるで一昔前の悪役プロレスラーのような分かりやすい出(い)で立ちで、壇上でひときわ目立っていたケビン・リー。記者から「ずいぶん楽しんでいますね」とたずねられたリーは、立て板に水で次のようにコメントしている。

「オレは昔からこういうプレス対応の場が大好きなんだよね。髪型も(キエーザの)ダサいマレットヘアに比べて、めちゃくちゃ決まっているだろ。(派手なコスチュームを見て)オレがコナー(・マクレガー)の真似(まね)をしていると早速ツイートしているヤツもいるけど、オレはコナーとは全然違うぞ。というより、向こうがオレのようになりたいんだ。コナーがブラックカルチャー、ヒップホップカルチャーに憧れているのは一目瞭然だからな。若くて裕福な黒人ほどいいものはない」

「ヤツらはちょっとマリファナを吸って、ラッパーとたむろして、それでブラックカルチャーを気取っているが、オレは20年間そういう環境で育ってきた本物なんだ。本物とフェイクの違いは分かっている。一緒にするな」

これに対し、ランキングでは格上のライト級7位につけるキエーザは同12位のリーの印象についてこう語っている。

「ヤツのことは、フランシスコ・トリナウドを倒した時に俺のアンテナにちょっと引っかかった程度だ。タフな選手なのかもしれないけど、あのくだらない格好を見てみろ。あんなものはウッドストックから追放されたチンピラにすぎない」

記者会見で乱闘勃発、「ママの話をするな!」と怒り爆発のキエーザ

リーも応じる。

「キエーザはいつも対戦相手のことを殺してやるとか言うくせに、実際には30戦もして15回も負けている(訳注:キエーザの戦績は実際には14勝2敗)。その上、まだ1人も殺したことがない」

「何週間練習をしても、キエーザはオレにはかなわない。勝ち目のない試合をよく引き受けたものだと思うよ。ヤツに勝ち目があるとすれば、オレがヘマをやらかした時くらいだろ。この大会を背負っているのはオレだ。キエーザがメインイベントに立てるのはこのオレのおかげなんだ。この試合のあとには、ヤツはまた前座に戻る。オレとしてはキエーザが試合に出てくることだけを祈る。だって、ヤツのママもチケットを買っているんだぜ」

するとここで、それまで落ち着いた様子で対話を楽しんでいたように見えたキエーザがいきなり立ち上がって、「おい、黙れ。ママのことを言うな。言うんじゃない。おい、言うのをやめないと今すぐ殴るぞ」と激昂。それでもリーがしゃべることを全くやめなかったところ、マイクを置いたキエーザが壇上で本当にリーに殴りかかろうとしたのである。あわててセキュリティが2人を分けるが、一瞬のもみ合いの中で、応戦したリーの右パンチが1発、キエーザの顔面にヒット。会場騒然の中、両者退場処分となったのである。

因縁の始末はオクタゴン上でつける

騒動後のリーは「メガネが壊れたじゃないか。カルティエ製なんだぞ。あのメガネを作るのには水牛2頭が必要なんだ」と悪ふざけモードのまま。ちなみにこれは、かつてマクレガーが自らの高価な腕時計のことを、「これを作るのに人が3人死んでいる」と語っていたことへのオマージュである。リーがマクレガーに相当憧れていることがうかがい知れる。

他方のキエーザは、「騒がせたことは謝る。ただ、選手がトラッシュトークをしたり、試合をプロモートしたりするのはいいと思うけど、母親のことを持ち出すのは一線を越えている。幸い、もうすぐ俺たちは試合で再会するから、必ずリベンジしてやる。あれがヤツのパンチの威力なら、試合でヤツはひどい目に遭うことになるだろう」と、神妙な面持ちの中にも、青白い怒りの炎が燃え上がっているのだった。

ジ・アルティメット・ファイター(TUF)優勝者で、現在3連勝中のキエーザが勝利をママに捧(ささ)げることができるのか、それとも4連勝中の24歳、戦績15勝2敗のリーの無神経極まりない狂拳がまたしてもキエーザ親子を絶望の底にたたき落とすのか。記者会見でのまさかの乱闘に始まった因縁の行方を見届けよう。

柔術王者B.J.ペン、久々に妙技さく裂の予感

UFCファイトナイト・オクラホマシティにはこのほか、UFC殿堂入りを果たした唯一の現役ファイターであるB.J.ペンがパワーキックボクサーのデニス・シヴァーを迎え撃つ柔術対打撃のスタイル対決に加えて、元ウェルター級チャンピオンで地元オクラホマ州立大学出身のジョニー・ヘンドリックスのがい旋試合を、ベテランのティム・“ザ・バーバリアン”・ボーシュが台無しにしようとたくらむワイルド対決も行われる。

美人コスプレファイター、フェリス・ヘリッグや人気者クレイ・グイダも登場。見どころ盛りだくさんのUFCファイトナイト・オクラホマシティをどうぞお楽しみに!

【文 高橋テツヤ】
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