UFCファイトナイト・ピッツバーグ:ルーク・ロックホールドが15カ月ぶり復帰戦

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UFCファイトナイト・ピッツバーグ:公式計量セレモニーに登場したルーク・ロックホールド【ペンシルバニア州・アメリカ/2017年9月15日(Photo by Brandon Magnus/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
UFCファイトナイト・ピッツバーグ:公式計量セレモニーに登場したルーク・ロックホールド【ペンシルバニア州・アメリカ/2017年9月15日(Photo by Brandon Magnus/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
日本時間9月17日(日)に開催されるUFCファイトナイト・ピッツバーグはメインイベントで元ミドル級チャンピオン、ルーク・ロックホールドがデビッド・ブランチと対戦する。

世紀のアップセットで王座陥落

前回、UFC 199(2016年6月)でチャンピオンとして防衛戦に挑んだロックホールド。対戦相手には当初、クリス・ワイドマンが予定されていたが、負傷のため欠場することになり、代役としてマイケル・ビスピンが出陣した。実はこの時、ロックホールドもヒザに負傷を抱えていたが、ロックホールドにとってビスピンはすでに完勝を収めている相手であり、与しやすしと見て、試合への強行出場を決めたのだった。

このことが後のミドル級タイトル戦線の長期停滞を呼び込むこととなる。

片膝にほぼ力が入らない状態で試合に臨んだロックホールドに対し、準備期間がわずか17日間しかとれず、スタミナに不安があったビスピンは、試合開始直後から珍しく猛ラッシュを見せる。すると動きの鈍いロックホールドはパンチの暴風雨をモロに浴び、第1ラウンドでノックアウト負けを喫してしまったのだ。

UFC戦歴24戦目にして初のタイトル奪取を達成したビスピンは、負けたら即引退を表明していたダン・ヘンダーソンの挑戦を退けた後、ジョルジュ・サンピエール(GSP)の復帰戦の対戦相手として名前が挙がると、ベルトを抱え込んだまま出番待ちを決め込んでしまう。

ロックホールド、満を持しての15カ月ぶり復帰戦

早く試合に戻り、ベルトを奪還したいロックホールドは、タイトルを塩漬けにする王者ビスピンとUFCのやり口を、「チャンピオンが仕事をしないなんておかしいだろ。GSP戦なんて古くさいカードを、いつまで待っていればいいんだ? UFCも変わったよ。最強同士が戦っていたかつてのUFCはどこに行ったというんだ?」など公然と批判し、他のミドル級ファイターにストライキを呼びかけた。

それでも試合が一向に組まれることなく、いよいよ業を煮やしたロックホールドは、今年初めには、こともあろうに前ヘビー級チャンピオンのファブリシオ・ヴェウドゥムに対戦要求を突きつけている。

「オレとファブリシオの間には長年の因縁がある。だから、戦って白黒をはっきりさせて、あいつを黙らせてやろうと思ったんだ。ヤツはグラップリングマッチを逆提案してきたが、つまらない男だ。戦いたいのなら、リアルファイトで戦えばいいじゃないか」

この期間、ニューヨークでモデルの仕事をしたり、アイドル女優デミ・ロヴァートとの交際が明らかになるなど、時鼻持ちならない色男ぶりで芸能面もにぎわせていたロックホールドが、今回ようやく15カ月ぶりにオクタゴンに復帰する。

「休暇の間、人生を楽しんでいたよ。でも同時に、自分にとって何が大切なのかをじっくり考え直す機会も持てた。その結果、試合以上にやりたいことはない、ということに気がついたんだ」と語るロックホールド。「タイトル戦線の混乱を作り出してしまった元凶はオレだ。だから、事態はオレが収拾する」と、乱世再平定への決意を新たにしている。“スティール・シティ”ことピッツバーグで、ロックホールドがたまりにたまったフラストレーションの溶鉱炉を爆発させる。

ベルトコレクターのブランチ、UFCでも花を咲かせるか

一方のブランチは2010年にUFC入りし、2勝2敗の戦績を挙げた後、いったんリリースされている。戦いの場を他団体に移した後は5年間で戦績12勝1敗、ミドル級とライトヘビー級の2冠王者になるなど、確かな実績を積み上げてきた。今年UFCと再契約し、UFC 211(2017年5月)での復帰戦ではクリストフ・ヨトゥコを下して現在11連勝中と好調だ。

「最初にUFCに来た時は、自分もまだ子どもだった。状況もよく分からないまま、ただ戦っていた。とても未熟で、まばゆい光が怖かった」とかつてを振り返るブランチ。「歳(とし)をとり、多くの経験を経てきた。UFCに入っただけで大成功だと思う人も多い。でもここではまだ何もしていない。これから結果を出していかないといけないんだ」と、2度目のUFCキャリアでの大成を期す。

「自分はMMA版のバーナード・ホプキンス(49歳で世界チャンピオンになったプロボクサー)になりたい。歳(とし)をとればとるほど、美しさと狡猾(こうかつ)さを身にまとって、強くなっていくような選手だ。自分自身、今そんな風になりつつあると感じている。身体のメンテも万全で、35歳にして、肉体は25歳にように感じている」と語る充実のブランチ。ベテランがどんな秘策でロックホールドの足下をすくうのか、興味は尽きない。

【文 高橋テツヤ】
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