UFC 120: ビスピン、大きな一勝。コンディットがハーディをKO。(日)

 ロンドン-ひとりはフィニッシュを求め、ほかのものたちは勝利を求めた。土曜の夜にO2アリーナで行われた最終試合、UFC 120のメインイベントで秋山成勲を相手に3ラウンドに渡るスタンドでの激しい攻防を有利に試合を進めたマイケル”ザ・カウント”ビスピンは自身の運命をジャッジのスコアカードに委ねた。英国で英雄的存在のビスピンは、ホームの観客に熱狂的に鼓舞され、模範的なキックボクシングを駆使し3027のスコアで勝利を得た。
 ビスピン vs. 秋山
英国のウィドネスの戦士ビスピンは最近の二試合が判定決着となり、今回こそは相手をフィニッシュした上での勝利を得るために死に物狂いだった。しかし今回は彼が責められるべきではないだろう。ビスピンは秋山を全力を以って攻め立てたが、秋山の石の様な顎と折れない心がそれを阻んだ。試合には負けこそしたものの、秋山は前回に引き続き、高い評判をもちオクタゴンに現われ3ラウンドのどの瞬間にもその評判にたがわぬ戦いをした。

秋山は試合が始まると即座に素早く爆発的に驚くビスピンに襲い掛かった。秋山は開始数秒で重い右の一振りをビスピンにヒットさせた。その一撃はビスピンを驚かすというよりもはや生き残りに掻き立てるほどのものだった。

そこからクリセローの人気者は盛り返し、素早いパンチと優れた技術、そして横方向への移動の恩恵を被り始めた。秋山が直線的にすごい勢いで前進することに満足しているように見えるかたわら、攻防にバリエーションと駆け引きを見せたのはビスピンであった。ビスピンはいやらしいキックとストレート、右のパンチの連打で秋山の顔面を赤く染めた。
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ラウンドに入るとビスピンは秋山を混乱させるためにパンチとテイクダウンを織り交ぜ一層試合をコントロールするようになった。スクランブルとラッシュを仕掛けることにより冷静な日本人ファイター秋山のゲームプランを崩し、ビスピンはこのラウンドを支配した。両者のペースが落ちるにつれてビスピンは刺すようなジャブと右のパンチで秋山のラッシュを止めて見せた。

時折秋山の確信を持って放たれた右のスウィングがビスピンをとらえ、ビスピンの希望をかき乱した。とどめを刺すためのラッシュが一時的にホームの観客を沈黙させたがビスピンは立ち続け数発のパンチで応戦した。

最終ラウンドの秋山の顔面にはアザがうかび腫れ上がり、その攻撃には死に物狂い、といった雰囲気が漂ったがその手数は明らかに落ちていた。比較的ダメージが無いビスピンはつま先で軽快にステップを刻み、狙い済ましたジャブと右を放ち、秋山の追撃をきって落とし続けた。

最終ラウンドの残り数分というところで不運なローブローが秋山を襲い、日本のスター選手秋山はマットに倒れこんだ。秋山はビスピンも含めた全ての人々に待望のフィナーレを待たせながら、認められた5分間のリカバリータイムを一秒も余さず体力の回復を図った。

二人が戦いを再開するとその攻防は期待通りの激しさで行われた。ビスピンは貯めの利いた突き刺すような強力な右のパンチと左フックで攻め、秋山は弧を描くような右のパンチで突進した。その攻防は猛烈だったが、タフな両者は互いに決定打を与えることは出来なかった。判定ではビスピンの腕が挙げられた。ビスピンはかつてないほどの出来だった。

ハーディ vs. コンディット
今夜のセミ・メインイベントではコンマ数秒のタイミングが勝敗の境目となり、わずかに早く左フックを命中させたカーロス・コンディットがダン"ジ・アウトロー"ハーディを1ラウンドでノックアウト勝利した。アメリカからの訪問者はオクタゴンに向かう際には大いにブーイングを受けたが、ハーディを左フックで倒し、数発の追い討ちでノックアウト、1ラウンド423秒だった。

二人のウェルター級戦士たちは初めから打撃戦を展開、驚くべき速さと精度のパンチとキックの交換で試合を始めた。ハーディの前足へのローキックから試合は始まり、ハーディはコンディットへめり込むような重いローキックにハイキックを織り交ぜた。コンディットは反撃を始める前はハーディの特筆するべきパワーと体の大きさに用心しているようだった。

その反撃が行われたのは1ラウンドの中盤が過ぎたあたりだった。コンディットは自信を深め、ハーディとの戦いにとりくんだ。前足をたくみに操作しコンディットはハーディの間合いに踏み込むとパンチの打ち合いに応じた。両者が打ち合いを堪能している間、打ち終わりをうまくまとめるのはコンディットのようであった。"ジ・アウトロー”はコンディットが前に入るところに左フックのカウンターを命中させることに成功、しかし両者の攻防は全体としてほぼイーブンと言えた。

そこには一見何の予兆も無かった。二人の烈火のようなウェルター級戦士はともに万全の体制で相手に踏み込むと左フックを平行に交差させると、それが終幕の引き金だった。コンディットの左が早く命中し、ホームの観客を衝撃で沈黙させながらハーディは地面に叩きつけられた。コンディットは完全に伸びきったハーディを見てそれ以上の追撃を即座に収めた。戦いは終わったのだ。相手を打ちのめし、傷つけるこの勝利でコンディットは265敗となった。この勝利で、そしてより重要なことに、コンディットは激動の170ポンドのなかでいまや一人の主要選手となった。

ハザウェイ vs. パイル
本人としては気が進まない話だが、ロンドンでジョン”ザ・ヒットマン”ハザウェイはアメリカ人、マイク”クイックサンド”パイルを相手に無敗記録を破られた。張り詰めた空気の中、ブルース・スプリングスティーンの古典的名曲、”Bone in the USA”で入場すると、パイルは3ラウンド全体でアメリカン・レスリングとブラジリアン柔術を駆使してハザウェイをコントロールした。全てのジャッジが3027でパイルの勝利を支持、ハザウェイの無敗記録は塵と散った。

グラウンドに持ち込む機会を鋭くうかがいながら、パイルは1ラウンドの前半、ハザウェイを至近距離からの右パンチで荒々しく殴りつけ、スタンドの攻防にも適応力を見せた。ハザウェイはより直線的、そしてより直接的なパンチでパイルを遠ざけようと試みたがパイルをぐらつかせたり、その自信を失わせることは出来なかった。

パイルは若い英国人の周りをまわりながらテイクダウンのためにタックルに入るチャンスを覗った。1ラウンドの中盤にパイルは最初のテイクダウンに成功するが、ハザウェイは予想以上のディフェンス力で金網を利用して立ち上がっり、その数秒後にはパイルからトップポジションを奪っていた。
両者はラウンドのポイントを奪うために打撃戦を展開、パイルの大振りの右に対してハザウェイははじける様に鋭くパンチで応戦した。経験豊富なアメリカ人、パイルはその攻防のなかで大振りの右を当てることに成功し、ハザウェイの打撃のディフェンスの穴をつき三回同じ攻撃を繰り返した。

スタンドの攻防が膠着するとほんのわずかな隙にテイクダウンを奪うパイルの能力がこのラウンドをパイルのものにした。

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ラウンドの攻防は、この後ハザウェイになにが起こるのかというサインであり、2ラウンドに入るとパイルはハザウェイからテイクダウンを度々奪った。二度目のテイクダウンからの攻防で、パイルはサイドポジションから印象的な三角絞めにハザウェイをとらえることに成功する。英国人の頭と左腕を両足に絡め捕り、上から打撃を雨と降らせた。ハザウェイはほとんど動くことも呼吸することもままならない。頭頂部に数え切れないほどの打撃を浴びながら、なんとかもがきながらこのラウンドを生き延びた。ホームの藩たちはこのラウンドの結末を公平に歓呼して迎えた。ほとんど失神寸前だったにもかかわらず、ハザウェイは歩いてコーナーに戻り、試合を続ける気力十分といったふうであった。

ロンドンのO2アリーナの中にいる誰にとっても、彼らの愛する若き新星がその無敗記録を守るには相手をノックアウトするしかないことは明らかだった。しかしハザウェイの疲労とパイルの素晴らしい柔術がその実現を許さなかった。

パイルは全ての経験を駆使してハザウェイをマットに寝かせると、そのラウンドを通じてハザウェイをコントロールし、脅かすことの出来るハーフガード・ポジションを奪った。1ラウンドのケースと同じくハザウェイはそこから脱出する術を知らなかった。

下馬評の低かったパイルはこれで2771分け、忠や実な英国のファンたちを敵に回しながら戦いに望み、ついにジャッジの判定が読み上げられたときには彼らの尊敬をも勝ち取った。23歳のハザウェイにはまだ向上と改善の余地があり、戦績を141敗と落としたものの敗北そのものの損失は小さいと言えよう。

コンゴ vs. ブラウン
ヘビー級の絶対強者、トラヴィス・ブラウンとチーク・コンゴの戦いは、互いに落ち着きを取り戻しテイクダウンを狙い始めるまでの殴り合いの5分間は激しい戦いが期待されたものの、結果としてそれは平和条約の様な何かに変質してしまった。結論として両者はともにテイクダウンを奪うことも相手をフィニッシュすることも出来ず、コンゴが相手のトランクスを掴んだ行為に対して1ポイントの原点を受けた為に判定は3名のジャッジが全員2828と採点、試合はともに不満の残る引き分けに終わった。

無敗のブラウンの素早いコンビネーションと前足への鋭い打撃が繰り出された試合の始まりからは判定決着にもつれ込むことは予想し難いものだった。相手の重い打撃と4試合連続1ラウンド勝利という戦績にコンゴはいつに無く慎重になっているように思われた。ブラウンが次々とハイキックとローキックを繰り出すさまからは彼がコンゴをその犠牲者リストに加えようとしているように見えた。コンゴはそのブラウンの猛攻の合間にも反撃を試み、それは多少の成功を収めた。

しかし二人が殴りあうたびに、より正確に見えたのはカリフォルニア出身のブラウンだった。パリジャン、コンゴはラウンド中盤にラッシュを仕掛けるものの、それは狙い済ましたアッパーカットの餌食となり観客は総立ちになった。今後はそのパンチの影響を払いのけるが遠い間合い、近い間合いのどちらでも劣勢に立たされていた。

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ラウンドに入るコンゴは少しでも打撃戦の展開になる可能性がある攻防を素早くつぶす作戦に打って出ると、1ラウンドのブラウンの成功は劇的にぐらつき始めた。両選手はラウンドの多く時間を浪費し、1ラウンドでの打撃戦とは打って変わって金網際での組合に終始した。

ともに重い打撃で知られる両者ではあったが、彼らのゲームプランは相手に接近し、膝蹴りを交えながら相手をロックしテイクダウンの可能性を探る、というものに思われた。2ラウンドの終わりにブラウンはテイクダウンに成功し、最終ラウンドでの5分間にも再びテイクダウンに成功するものと考えたようだった。ブラウンもコンゴも試合が終わるまでにもっと多くの攻撃を成功することも出来たはずだったが、彼らはその勝敗をジャッジの判定に委ねることに満足しているように見えた-そしてジャッジの判定は、彼らがそれほどまでに切望した勝利をどちらの選手に与えることもなかった。

ウィルクス vs. パトリック
UFC 120
でカナダのクロード・パトリックは試合に勝利するためには十分ながらもファンを味方にするためにはほんの僅かな働きで、地元のジェームズ・ウィルクスを3ラウンドに渡りコントロールし試合に勝利した。パトリックは止まらないレスリングによって3027で勝利しトロントへの帰途へ就いた。

真の敗者はウィルクスとそのファン達だった。二人のウェルター級戦士たちは、どちらも有意義な攻撃を行うことが出来ない消え行く炎のような試合の最中にブーイングのコーラスとゆっくりとした拍手を浴びせられた。

パトリックがあらゆる手段で執拗にテイクダウンを狙い続けた結果、レスターシャーのウィルクスは試合の大半を金網に押し付けられ、または背中をキャンバスにつけた状態ですごす羽目となった。ところがひとたびテイクダウンが達成されるとパトリックはアリーナを訪れたファン達を魅了することはほんの僅かしか行わなかった。効果的な打撃も、関節技の試みもなく、パトリックはウィルクスを窒息させコントロールすることに満足しているようだった。

ウィルクスも、下からの雑な腕十字とオモプラッタにこだわりすぎ、その柔術とサブミッションの技術を試合で発揮することは出来なかった。

結局上下どちらの選手も、フィニッシュに近い形を作ることも無く、ジャッジの判定を受け入れることとなった。誰が勝者かという事に関しては疑問の余地は無く、パトリックは明快な判定により続いている連勝をさらに伸ばした。

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