フェイバーvsバラオ 青写真

マイケル・ディサントが、UFC 149のメインイベント、ユライア・フェイバーvsヘナン・バラオの一戦を徹底予想。

UFC 149 - Urijah Faber vs. Renan Barao  ユライア・フェイバーはUFCのバンタム級王者ではない。それでも、この“カリフォルニアン・キッド”がこの階級でアメリカ一有名なファイターであることに疑問を挟む余地はないだろう。

 サクラメント出身のフェイバーは、百万ドルの笑顔と卓越したレスリングスキルを武器に、3年間にわたってWECの王者として君臨した。5度のタイトル防衛はWECの記録で、その間に何千人ものファンにサインをしたはずだ。

 一方のヘナン・バラオは正反対で、ほとんど無名の存在だ。少なくともアメリカでは、彼の名は一般に知られていない。UFCのライトなファンでも、彼の名前と顔が一致していない人が多いのではないだろうか。

 それでも、バラオはそんなことを気にしているはずもない。なぜなら彼は目下31戦無敗で、これはMMA史上でも最長の部類に入り、少なくともUFCの現役ファイターの中では最多の数字だからだ。UFCで最もホットなファイターだと言える。

 両者は日本時間7月22日に激突する。ちなみに、当初フェイバーと対戦する予定だったのは、往年のライバルであるドミニク・クルーズで、同選手のケガにより、バラオが代役に指名された格好だ。

 こうしたなか、多くの人がこの事実にショックを覚えるだろうが、オンラインのオッズメイカーは、バラオ優位と予想している。つまり、デイナ・ホワイト会長はUFC屈指の人気者であるフェイバーに対し、タイトルへのフリーパスを与えなかったことになる。タイトル非保持者のなかで最高のファイターを対戦相手に指名したのだ。

 フェイバーは、これまでのUFCでの試合とは違ったアプローチでこの一戦に臨むだろう。WEC時代と比べて、UFC参戦以後のフェイバーは、レスリングの技術を封印にしているように見えた。しかし、今回の試合ではそのレスリング技術が勝利へのカギとなりそうだ。

 バラオのようなサブミッションのスキルを誇る相手に対してテイクダウンを狙うのは、、一見すると無謀な作戦に映るかもしれない。このブラジル人は、グラウンドでの攻防を望んでいるはずだ。それでも、フェイバーにはサブミッションに対する素晴らしい対処力がある。キャリアで何度もサブミッションの魔術師と対戦しているにも関わらず、32試合で一度も一本負けを喫したことがないのだ。

 それには三つの理由がある。まず、フェイバー自身がブラジリアン柔術を習得していること。二つ目は、彼が滅多に背中をマットに付けられないこと。さらに、トップのポジションにいる時は、グラウンドコントロールに長けているので、相手はその打撃を避けるのに精いっぱいで、サブミッションを繰り出す余裕がないのだ。

 フェイバーの狙いはそこにある。バラオは確かにグラウンドの攻防に強い。それでも、フェイバーはバラオを守りで手一杯にし、サブミッションのリスクを避けることが可能だ。

 さらにスタンドの攻防では、フェイバーは普段よりアグレッシブにならなくてはならない。ジャブとワンツーを繰り出し、バラオを後退させる必要がある。フェイバーは知的にアグレッシブでなければならない。前進して、パンチを交換して、すぐに離れるのだ。バラオと打ち合いはしたくないだろう。フェイバーが自らをそのようなリスクにさらすとは考えづらいが、バラオは野獣のような身体能力を誇るので、乱打戦になれば獰猛な打撃でフェイバーをノックアウトする可能性もある。

 一方のバラオだが、彼はまず、フェイバーより8歳も若い。フェイバーはまだ年齢による衰えを見せてはいないが、そのクイックネスを失えば、この階級の強豪とやる上では致命傷となる。33歳という年齢を考慮すれば、遅かれ早かれ衰えは訪れる。それがバラオとの試合で訪れても不思議ではない。

 また、バラオはUFCフェザー級王者のジョゼ・アルドのトレーニング・パートナーだ。これは重要なポイントで、何故ならアルドは2010年の試合でフェイバーを圧倒しているからだ。アルドはローキックを多用することで、フェイバーを3-0で下した。ファイターの脚はすべての動きに通じている。ストライキングを繰り出すにも、テイクダウンを繰り出すにも、まずは脚を動かす必要がある。健康な脚は勝利への必須条件だ。この試合で、アルドはフェイバーの脚を徹底的に痛めつけ、それでダウンを奪ったほどだ。

 バラオも同じようにするべきだ。さらにひねりを加えて、ただフェイバーの脚を痛めつけるのではなく、スピニングバックキック、ハイキック、フロントキックを織り交ぜながら攻めればいい。バラオのキックには凄まじいスピードがある。さらにグラウンドでの攻防も巧みで、テイクダウンも恐れる必要はない。それが仮に、フェイバーにとって勝利へのカギとなる場合でもだ。テイクダウンを恐れる必要がなく、さらにフェイバーの脚を痛めつけることで、彼のキックはさらに効果を増す。うまくいけば、フェイバーのテイクダウンを封じることができるだろう。

 結局のところ、両者は限りなくイーブンに近い。バラオが本命と言えなくもないが、それでも差はわずかだ。フェイバーもミスさえしなければ、勝利は十分に可能だ。ただ、ミスを犯した場合、暫定王者のベルトを手にするのはバラオだろう。

ユライア・フェイバー
・33歳
・167cm/61Kg
・26勝5敗
・最近5試合で3勝2敗
・最近10試合で6勝4敗
・UFC/WECの計10試合のタイトルマッチで6勝4敗(3連敗中)
・サブミッション勝利が53.8%
・KO/TKO勝利が26.9%
・判定勝利が15.4%
・相手の反則による勝利が3.9%
・サブミッションによる敗北を喫したことがない
・KO/TKOによる敗北が40%
・判定による敗北が60%
・元WECフェザー級王者(5度の防衛に成功)
・サブミッション・オブ・ザ・ナイトを4回受賞
・ファイト・オブ・ザ・ナイトを3回受賞
・前回の試合より245日が経過しており、これはキャリア最長の日数

ヘナン・バラオ
・25歳
・167cm/61Kg
・30勝1敗、1ノーコンテスト
・プロデビュー後は無敗
・UFC/WECではサブミッション勝利が60%
・UFC/WECでは判定勝利が40%
・UFC/WECではKO/TKO勝利が0
・キャリアにおける唯一の敗北は判定負け
・初のタイトルマッチ
・ファイト・オブ・ザ・ナイトを1回受賞
・前回の試合より168日が経過
・キャリア最長の休養期間は198日

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