11月17日モントリオール-ベル・センターで開催されたUFC 154のプレリミナリー・バウトの一戦で、ケベックのパトリック・コーテは2008年以来久しぶりの勝利を手中に収めたが、それはコーテが望んできた形とは違ったものであった。アレッシオ・サカラとのミドル級の一戦はその瞬間までエキサイティングな展開だったが、1ラウンド、後頭部への反則となる一撃によりサカラが失格になると言うなんとも奇妙な結末になってしまった。だがコーテにとって、勝利は勝利だ。
「俺は死闘を覚悟してきたし、彼は俺にそいつを与えてくれた」コーテは語った。「だけど確かにルールはルールだ」
「まったく意図したものではなかった」悔恨の表情でサカラは語った。「申し訳ない」
ほんの少しの間、互いに様子を伺った後に激しい戦いが始まった。その攻防では相手のクリンチを振りほどきながら数発のフックを叩き込んだコーテが優勢に見えた。しかし両者が金網際の攻防にもつれ込むとサカラが強烈な打撃をコーテの頭部に叩き込みぐら付かせると、試合の流れを奪い返した。両者は再び乱打戦を繰り広げたが、コーテが被弾、マットに倒れこんだ。コーテは立ち上がろうともがいたがサカラが相手のカナディアンに鉄槌で追い討ちをかけた。不運にもこのうちの数発がコーテの後頭部に命中し、コーテは崩れ落ち動きを止めた。1分26秒、レフリーのダン・マグリオータが両者に割って入り、サカラの反則行為による失格を宣告した。
この勝利でコーテは19勝8敗、サカラは19勝10敗1ノーコンテストとなった。
グリッグス vs. ディアバテ
ライトヘビー級のベテラン、シリル・ディアバテがチャド・グリッグスとのプレリミナリー・バウトの一戦で、素晴らしい打撃と寝技を披露。ストライクフォースのベテランを1ラウンド中盤にフィニッシュした。
グリッグスは試合開始直後にディアバテを捉えようと試みたがフレンチマンはすでに準備万端、強烈なヒザをめり込ませてアメリカン・ファイターをダウンさせると、その荒々しい突進をストップさせた。グリッグスはなんとか意識を取り戻したがディアバテはさらに追い討ちをかけ、金網際でのスタンドの攻防でさらに2発のヒザを叩き込んで相手を血に染めた。グリッグスはなんとかその窮地を脱出しようともがいたが、ディアバテは冷静に状況を見極めながら相手をチョークに捉え、1ラウンド2分24秒にグリッグスからタップを奪った。
この勝利でディアバテは戦績を20勝8敗3分けと伸ばし、グリッグスは11勝3敗と成った。
ディアバテの試合後インタビューはこちら
スタウト vs. マクデッシー
ライト級の有望株、ジョン・マクデッシーは同級のカナディアン・ファイター、サム・スタウトをユナニマス判定で撃破。そのUFCでのキャリア最大の金星を挙げることに成功した。
ジャッジの判定は30-27、30-27、そして29-28でマクデッシー。マクデッシーはこれで10勝2敗、スタウトは19勝8敗1分けに戦績を落とした。
スタウトはしょっぱなからマクデッシーの打撃の威力には敬意を払わずに、会場の端まで届くかと言うような大振りのパンチで前に出た。しかしマクデッシーはそれらの荒いパンチをかわしてタイミングを見計らい、少しずつ自分の攻撃のチャンスを組み立てていった。そして結果としてリラックスしたマクデッシーはよりキレのある正確な打撃でスタウトの顔面を赤く染め上げた。
2ラウンドに入っても圧力をかけ続けたスタウトは数発のジャブを命中、さらにテイクダウンも成功させた。一瞬は倒されたマクデッシーだったが跳ね上がるように攻防をスタンドに戻すとすばやいカウンターでスタウトを捉えはじめた。しかしマクデッシーの冷静で、落ち着き正確なスタイルとは対照的なオンタリオ在住のスタウトの必死のスタイルのどちらがポイントで優勢かという点については判断が難しいものだった。
3ラウンドに入ってもマクデッシーのストライキング・クリニックは継続し、キレのある多彩な打撃で、それらがどこから飛んでくるのかも分からないスタウトを切り刻んだ。しかしスタウトの名誉のために言えば、スタウトは“何か”を起こすために前に出続けた。もっともスタウトがこの試合においてはマタドールのように舞い続ける“ザ・ブル”を相手にその“何か”を起こすことはとうとうできなかった。
ダム vs. カルバーリョ
柔術黒帯対決となったホドリゴ・ダムとアントニオ・カルバーリョのフェザー級の一戦は3ラウンドを通じて互いにグラウンドの攻防を避け、このキックボクシングの展開をスプリット判定で制したカルバーリョが試合に勝利した。
1ラウンドは互いにほとんどキックだけの攻防を展開し、ダムがわずかに優勢に進めているように思われたものの、互いにその打撃でポイントを重ねていった。
2ラウンドに入っても前半の2分間は同様な展開が続き、その後のワイルドな打ち合いが観客から歓声を引き出した。しかしどちらのファイターも試合の主導権を握るにはいたらず、その後はスタンドでのチェス・マッチが続けられ、観客から散発的なブーイングを引き出した。残り時間1分、ダムはより多くのパンチを織り交ぜながら、特にすばやいジャブを多用して勝負をかけたが、その打ち合いを制したのはラウンド終了間際に強烈な右を命中させたカルバーリョ(15勝5敗)だった。
最終ラウンドに入るとダム(10勝6敗)は一層手数を増やしたものの、ジャッジの支持を獲得するにはいたらず29-28、29-28、そして28-29のスプリット判定でカルバーリョが試合に勝利した。
リドル vs. マグワイヤー
マット・リドルはジョン・マグワイヤーとのウェルター級の一戦で、いかなる“ディープ・ウォーター”に苦しむこともなく明確なユナニマス判定で勝利を挙げた。
ジャッジの判定は30-27、30-27、そして29-28だった。
序盤からリドルのスタンドは冴え渡り、蹴り足を捉えてテイクダウンに繋げようとする英国ケンブリッジ在住のマグワイヤーの試みを粉砕しながらパンチとローキックでマグワイヤーを痛めつけ、片足を捉えられたときには、もう一方の足でのバックキックすら披露した。
2ラウンドに入るとマグワイヤー(18勝5敗)はスローペースから一転、ギアを上げると何発かの切れのある打撃を繰り出したがリドルにテイクダウンを許すとその後はスタンドでも、そしてグラウンドでも相手の打撃の餌食となった。残り時間2分、レフリーのイーヴス・ラヴィーンがうつぶせのマグワイヤーにスタンドを命じると、スタンドで攻防を再会した両者は一度金網際での攻防にもつれこみ、そして再び寝技の攻防へとなったものの、リドルはここでもしっかりとしたディフェンスで無傷で立ち上がると終盤には観客を巻き込むような打撃の嵐を繰り出した。
リドル(7勝3敗1ノーコンテスト)が試合を完全にコントロールしていたものの、残り時間10秒というところで最後の力を振り絞ったマグワイヤーがサブミッションに挑戦。しかしこれは試合終了のベルに阻まれた。
リドルの試合後インタビューはこちら
メンジヴァー vs. ガシモフ
地元の人気者、アイヴァン・メンジヴァーがオクタゴン初登場のアズマット・ガシモフを相手にベテランの妙技を披露し序盤の激しい猛攻をしのぎサブミッション勝利へと繋げて見せた。
観客が大声援を送る中、モントリオールのバンタム級、メンジヴァー(25勝9敗)は序盤にガシモフ(10勝2敗)の猛烈な突進からのテイクダウンを許してしまった。しかしその後の猛攻をしのいだメンジヴァーはタイトなアームバーを一閃、2分44秒、ガシモフはなす術なくタップした。
メンジヴァーが見事なアームバーについて語る
エルキンス vs. サイラー
オープニングのフェザー級の一戦でダレン・エルキンスがTUFで活躍を見せたスティーブン・サイラーの連勝を3でストップ。エルキンス自身はこの勝利で4連勝を飾ったことになる。
判定は3名のジャッジが全員30-27と採点した。
試合が始まるとしばらく互いにキレのある打撃を交換した両者だったがエルキンスはサイラーを金網に押し込むと、得意なグラウンドの攻防に持ち込んだ。レスリングで鳴らしたエルキンスはそこでサイラーを完全にコントロールし、十分なパウンドを落とし続けサイラーを困惑させた。ユタのサイラーは残り時間2分というところで一度は立ち上がったものの、すぐさまエルキンスのギロチンにつかまり再びグラウンドに引き戻された。数秒間、そのチョークの中で苦しんだサイラーだったがこれを脱出、なんとか次のラウンドまで生き延びることに成功した。
2ラウンドに入ってもエルキンスはすぐさま試合を自分のペースに持ち込みサイラーをテイクダウンするとリア・ネイキッド・チョークに捉えた。一度は勝負アリ、と思えたこの難局をサイラーは再び切り抜けた。しかしネイティブ・インディアンの血を引くエルキンスは執拗に食い下がり、相手に立ち上がることを許さず、再びチョークを食い込ませるチャンスをうかがいながら相手の鼻からの出血を誘った。しかしサイラーは再びこれをしのいで決着は次のラウンドまで持ち越された。
最終ラウンドの展開もこれまで通りのものとなり、サイラーの必死の抵抗むなしくエルキンスはテイクダウンからグラウンドでの攻撃で相手を圧倒しその戦績を16勝2敗と伸ばした。一方のサイラーの戦績はこの敗戦で21勝10敗となった。
エルキンスの試合後インタビューはこちら
Japan
サカラが後頭部への打撃により反則負け - UFC 154 プレリム結果
By Thomas Gerbasi
11月 17, 2012
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