二度目のタイトル戦にして勝利の女神はヘンドリックスに微笑む

UFC 171、メインイベントの結果は以下の通り。
現地時間3月15日ダラス−土曜の夜にアメリカン・エアラインセンターに響き渡った二つの単語が昨年11月のジョルジュ・サンピエール戦でのジョニー・ヘンドリックスの失望を昇華させた。

「新たな王者は...」

昨年の12月に長期政権を築いた後に王座を返上し戦線からはなれたカナダの英雄に、物議をかもしたスプリット判定で敗北したヘンドリックス。ロビー・ロウラーとの5ラウンンドの名勝負の後に、ブルース・バッファーによって3名のジャッジが48−47のユナニマス判定でヘンドリックスを勝者と判定した事がアナウンスされると、170ポンド級に新たな王者が誕生した。

もし誰かがヘンドリックスに尋ねれば、そのベルトを獲得する為には苦難を乗り越えなければならないものの、長い間待ち続けただけの価値はあると答えるだろう。

ヘンドリックスが地元のファンの前に姿を見せるとスタンドから大歓声がわき上がり、試合が始まると、25分間に渡って一層の大声援がファイター達に送られた。

短期決戦を狙ったロウラーがヘンドリックスを金網まで押し込む様に突進し、試合開始直後に見られた張りつめた空気はすぐさま消え去った。ヘンドリックスは体をいれかえロウラーを金網にしばらく押し込んだ。一旦離れたヘンドリックスがテイクダウンに飛び込むと、ロウラーはしっかりとこれを受け止めた。スタンドでの攻防を選択した両者は至近距離でパンチの交換を始め、ヘンドリックスが数発のパンチを命中させるとロウラーはジャブを突きながらアッパーカットを繰り出すチャンスをうかがった。残り時間40秒、ヘンドリックスは積極的にテイクダウンを仕掛けたが、今回もまたロウラーはそれをがっちりを受け止めた。

2ラウンド開始直後は豊富な手数とキレのある動きで前に出たロウラーだったが、数発のパンチを被弾するとヘンドリックスが流れを掴み、左右の強打を振るって前に出た。ロウラーは笑みを浮かべながらその乱打戦に応じたものの、頭部へのパンチとローキックを織り交ぜるヘンドリックスを相手に厳しい状況に追い込まれた。ロウラーはヘンドリックスの打撃を被弾しながらも持ちこたえ、相手のテイクダウンも防ぎ続けたが、ラウンド序盤に見られた豊富な手数は影を潜め、残り時間1分で反撃を試みたもののヘンドリックスの激しい連打による迎撃をうけただけであった。

3ラウンドに入ってもヘンドリックスは試合のペースを落とさず2分が経過するまで優勢に見えた。しかしロウラーの左がひとたびヘンドリックスを捉えると、その後は何度となくロウラーの左が当たるシーンが見られる様になった。ヘンドリックスが意識を取り戻そうと奮闘する中、試合の流れがアイオワのベテランに傾いたことは明らかだった。しかしヘンドリックスはなんとかこの窮地に持ちこたえ、 残り時間90秒になると再びその強打でロウラーを捉え始め、観客を興奮の渦に巻き込んだ。ラウンドが終了し、ロウラーがアリーナを見渡して笑いながら声援を要求するような身振りを見せると、その都度ファン達は彼の要求に応えてみせた。

4ラウンドに入ってもロウラーの左は良く命中し、さらに彼がヒザを織り交ぜ始めると、血に染まったヘンドリックスはあと一撃貰えば試合が終了してしまうのではないか、と見える程であった。しかし劣勢に追い込まれる度にヘンドリックスは唸り声を挙げながら反撃を試み、ロウラーにその最後の一撃を許す事は決してなかった。ヘンドリックスの顔面からは鮮血がほとばしり続けたが“ビッグ・リグ”は反撃の手を緩めなかった。一方、ロウラーには目立ったダメージは見られず“ルースレス”のパンチの数々はヘンドリックスにダメージを与え続けた。残り時間15秒、ヘンドリックスはついにテイクダウンに成功。そして勝負の行方はインターバル中にヘンドリックスのセコンド陣が彼の出血を止め、最終ラウンドを闘える状態に出来るかに掛かっていると言えた。

総立ちの観客が見守る中、二人のウェルター級は最後の5分間の闘いを開始した。さらなるスタンドでの打撃の応酬のあと、ヘンドリックスが死力を尽くしてテイクダウンに飛び込んだ。ロウラーはこれを許さず持ちこたえ、レフリーのダン・マグリオータは両者にブレイクを命じた。勝負を賭けて前に出たロウラーに対し不屈のヘンドリックスがこれに応戦すると、残り時間90秒、ロウラーは突如として失速した。ヘンドリックスはロウラーを容易くテイクダウンするとガッチリと押さえ込み、時計の針が刻々と過ぎる中その勝利を確実なものとすると共にUFCウェルター級の新たな時代を切り開いた。

この勝利でヘンドリックスの戦績は16勝2敗に向上。ロウラーは22勝10敗1ノーコンテストとなった。

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