英国は再びハーディのものに - UFC on FUEL TV 5 メインカード・レポート

UFC on FUEL TV 5 メインカードの結果は以下の通り…。
日本時間9月30日ノッティンガムーサメの背ビレにも見える、ダン・ハーディのトレードマークであるモホーク族のような髪型は普段よりも少しばかり輝いているようだった。サメの背ビレ、という表現は決して単なる比喩ではない。なぜならハーディは血の匂いを嗅ぎ取ると即座に獲物にトドメを刺しに襲いかかるからだ。キャピタルFMアリーナで開催されたUFC on FUEL TVのコ・メインイベントで行われたアミール・サダローとの一戦で、“そのシーン”はまさに試合の終盤に訪れた。血の匂いを嗅ぎ取ったダンは赤いたてがみを風になびかせ、相手をフィニッシュするべく容赦なく襲いかかった。

距離をとるサダローに対して距離をつめることに苦しんだハーディだったが、最終ラウンドの後、対戦相手の顔を一瞥したハーディは判定で勝利をおさめるのに必要十分なパフォーマンスを見せ、事実、判定は30-27、29-28、そして29-28でハーディを勝者として支持した。第1ラウンドこそ豊富な手数と出入りを交えたローキックで優勢に進めたサダローだったが最終ラウンドが終わるとき、彼はマットを背にしてヒジ打ちを浴びせられていた。

地元で開催されるUFCで初めて試合を行ったハーディにとって、勝利を得ることだけでなく、良いパフォーマンスを見せなくてはならないというとんでもない重圧があった。それが影響したのか前半のハーディはどこか抑制的であり、力を抜いて攻勢に転じるまでには幾分かの時間を必要とした。しかしハーディはひとたび肩の力が抜けると、攻防の先手を取り始め、次第に試合の流れをコントロールし始めた。

また、何度かテイクダウンに成功すると、トップポジションでの攻防を行うなど、これまでになかった新しいスキルも披露した。キックボクシング・スタイルで知られるハーディがその武器庫に新たな商品を入荷したことによって、未来の対戦相手たちにとって気にしなくてはならないことが増えるということになる。サダローがこだわったトライアングル・チョークに手間取る姿も見せたハーディにとっては次の試合に向けた新たな課題も見えた一戦であった。

イーヴス・ジャボウィン  VS ブラッド・ピケット

UFCプレジデントのデイナ・ホワイトが何度も繰り返してきたフレーズだが、このフレーズにはそれだけの価値がある−もしあなた方が軽量級の試合を見ないというなら、UFCがお見せしなくてはならない最も爆発的なアクションのいくつかを見逃すことになる。UFCでも最高のテクニシャンの座を競い合うジャボウィンとピケットは、試合をスリリングな一戦にした。

ボクシングをこよなく愛するピケットにとってその最愛の武器は自身の拳だ。キレのあるコンビネーション、無数のボディ打ち、そして必殺の左フックが彼のお決まりの戦い方だ。よりキックボクシングを好むジャボウィンは脅威の当て勘と的確な距離感を組み合わせて回し蹴りと前蹴りを巧みに使い分ける。両者の打撃の攻防は閃光のように素早く、バンタム級とは思えないほどの強烈な打撃を互いに必殺の意図を込めて振るいあった。

キックに対するカウンターの典型のひとつは直後に踏み込んでストレートを返す、と言うものだがピケットはまさにこの方法でスコアを稼いだ。二人の主人公たちは互いにポイントを積み重ねたものの、ピケットはその中でも距離とリズムをつかみ、優勢に攻防を進めていた。ピケットはジャボウィンにあえて攻撃をさせ、その終わり際に重たいカウンターを命中させると言うことに関して特に成功を収めていたが、試合の決着はまさにこの攻防により生み出された。

ジャボウィンを退がらせ、ピケットがその間合いに踏み込むとカナディアン・ファイターは思わずパンチで相手を迎え撃った。そのパンチにあわせてピケットが強烈なアッパーカットを叩き込むとモントリオール在住のジャボウィンは完全に失神し崩れ落ちた。ピケットが更なる追撃のために襲い掛かると同時にレフリーが両者の間に割って入った。喜びあふれるピケットは飛び上がるように立ち上がると勝利のダンスを披露した。

“ワン・パンチ”が勝利の後に語らねばならなかったことを聞いてみよう

マット・ワイマン VS ポール・サス

トライアングル・チョークによるプロMMAでの連勝世界記録を保持する無敗のサブミッションの達人、ポール・サスとの対戦を迎えるマット・ワイマンは非常な重圧の下にいた。グラウンドでの攻防こそがサスの縄張りであり、そのためワイマンが無頓着に、そしてほとんど傲慢な表情で見え見えのキックを放って試合を始めたのは驚きとだった。

サスは蹴り足をキャッチしてテイクダウンを敢行するとワイマンを仰向けに倒れこんだ。観客が英国のライト級の勝利の予感に轟きのような声援を挙げた。そこで繰り広げられたのは最近行われたアラン・ベルチャーホジマール・パリャーレスの一戦を髣髴とさせるテクニカルな柔術の戦いだった。サスと同じく、パリャーレスも組み技で名を馳せたファイターで、サスはその得意のテクニックで新たな一勝を勝ち取るのに非常に有利な状態を作り出していた。

ところが傷つき、そしてフィニッシュされてしまったのがパリャーエスだったように、今夜も同じことが起こってしまった。サスはワイマンの積極的なガードに苦しみ、気がついたときにはワイマンのトライアングル・チョークを必死に防いでいた。なんとかその窮地から脱出し、ワイマン目掛けてパウンドを落とそうとすると、サスはワイマンのアームバーに捕らえられてしまった。通常であればおそらくサスはまったく同じ状態からエスケープできたのであろうと思われるが、金網際にいたためにエスケープに必要な空間がサスには与えられていなかった。

ワイマンは相手の腕を正確にロックしながら伸ばしてタップを奪った。観客が受けたショックは計り知れなかった-サスはこれまでタップをしたどころか、ひとつのラウンドを落としたことすらなかったからだ。もしワイマンのサブミッション・ビクトリーに賭けていたなら、ちょっとしたボートを購入するのに十分な金額を懐に納めることができた、それほどの番狂わせだった。

どれほどの重圧の中にワイマンが居たのか、リングサイド・レポーターに向けた彼の恐ろしいまでの、野生の叫びがそれを説明していた。それはほとんど彼自身が己の敗北を覚悟していたのではないかと思えるほどのものであった。そしてワイマンが試合後スピーチで流れる涙をこらえながら喜びに微笑むその様子に英国の観客達は暖かい励ましの声援を送ったのだ。一方、初めての敗北を喫し、バックステージまでの長い道のりを失意のうちに歩くサスにとって、彼らの声援は慰めにはならなかった。

ワイマンの感情的な試合後のスピーチはこちら

ジョン・マグワイヤー VS ジョン・ハザウェイ

英国ファイターとしては珍しく、ジョン・ハザウェイとジョン・マグワイヤーはともに本来はグラップラーとみなされているファイター達だ。ハザウェイは特に英国の一流のレスラーとして評価され、マグワイヤーは彼独自のジプシー柔術の使い手であり、その証として自身にピンク帯を巻くことを許している。

しかし1ラウンドのマグワイヤーの心にユーモアが入り込む余地は見当たらなかった。マグワイヤーは普段は見られないほど消極的で、ハザウェイは向上した打撃で絶え間なく前へと圧力をかけ続けた。ハザウェイの打撃のバリエーションはこれまでに無く豊富ながらも雑さは無く、彼は長期間の休養期間の影響を良い物にし、新たなスキルを見つけ出すことに成功したようであった。

1ラウンドにはテイクダウンの攻防も見られたものの、それらが成功することは無かった。ハザウェイは距離を詰めると巧みに相手の足をすくったが、倒れこんだマグワイヤーは相手の突進の勢いを利用して即座にハザウェイのバランスを崩しにかかった。両者がもつれながら立ち上がると、ハザウェイは大きな笑みを浮かべながら再びマグワイヤーの後を追い始めた。

2ラウンドが始まるまで攻防がグラウンドに持ち込まれることは無かったものの、そこからハザウェイの得意のグラインディング・ゲームが始まった。マグワイヤーの足首をつかみながら腰にプレッシャーをかけて相手のしたからの攻撃の機会を封じると、ハザウェイはパウンドを落としながらパスガードの機会をうかがった。マグワイヤーは独特の動きで休み無くガードし続けたが、彼自身は2つのラウンドを落とした状態で3ラウンド目を迎えることになることを理解していた。

観客席にいるマグワイヤーのファン達は必死の声援で彼をけしかけたが、3ラウンドもまたこれまでの2つのラウンドと同じような展開が繰り返された。残り時間が2分を切った頃に初めてマグワイヤーが前に圧力をかけ始め、ハザウェイは後退した。マグワイヤーはいくつかの有効打を繰り出したものの、彼自身もまたカウンターの標的となり、全体的に見たときにマグワイヤーの反撃はあまりにも小さく、そしてあまりにも遅すぎた。残り時間わずかでのテイクダウンはマグワイヤーに最大のチャンスを与えたが、マグワイヤーは勝利するために一本を奪う必要があり、ハザウェイはここを歯を食いしばるようにこらえると、相手をハーフ・ガードに入れることに成功した。マグワイヤーは跳ね上がるように立ち上がったものの、その状態からでさえ、ハザウェイはアップキックで応戦することに成功した。試合終了のベルがなりしばらくすると、ジャッジ3名全員が30-27でロンドンのシュートファイター、ハザウェイを勝者として支持した。

ハザウェイのパフォーマンスのハイライトはこちら

ドゥエイン・ラドウィッグ VS チェ・ミルズ

「老犬に芸を覚えさせることはできない」とは言われるが、チェ・ミルズはそんなことは信じていない。(プロ・ファイターの水準からして)比較的成熟しているといえる30歳という年齢で、ミルズはいまだに新しい要素を自身の闘い方に取り入れている。ドゥエイン・ラドウィッグを何度か背中からキャンバスに転がした柔道流の投げ技が今回彼が見せた“新しいもの”だった。

素晴らしいムエタイの血統をもつラドウィッグの背中をマットにつけさせることはまさにミルズが望んでいたことだった。しかし経験豊富なラドウィッグは立ち上がり、得意のタイ・ボクシングのバックボーンを存分に生かすことのできるクリンチ・ゲームのひとつにミルズを捕らえることに成功した。ところが激しい組み合いの後、突然ラドウィッグが後ろに倒れこみ、そしてミルズがその上をとったところで、ラドウィッグは左の脛を抱えて激しい痛みに叫び声をあげた。ミルズが足技で相手を倒すためにその足に自身の足を絡めていたのだ。

それが何であれ-何らかの靭帯の損傷と推定されるが-その負傷は深刻でレフリーはすぐさま試合の終了を宣告した。助け起こされるラドウィッグは負傷した足にまったく体重を乗せることができず、ストレッチャーに乗せられてオクタゴンを後にした。それはキャリアを終わらせてしまいうるような負傷ではないものの、彼に長期の欠場を余儀なくさせることだろう。一方のミルズはUFC2勝目を挙げるとともに、そのレジュメに大物の名前を刻み込んだ。

勝利街道に復帰したミルズの言葉を聞いてみよう

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