グラント、カナダの観客を熱狂させダナムを判定で下す -UFC 152 プレリム結果

UFC 152 プレリミナリー・バウトの結果は以下の通り…。
日本時間9月23日トロント-エヴァン・ダナムとTJ・グラントがエア・カナダ・センターで繰り広げた試合の最後の数秒が刻々と過ぎる中、二つの言葉が脳裏に浮かんだ。流血、そして死力。ダナムの顔面を覆うおびただしい量の鮮血。そしてジャッジのスコアでは劣勢にあることを知っているファイターが尽くす死力。UFC 152のプレリミナリー・バウトでグラントと対戦したダナムの必死の追い上げをジャッジの判定は今一度考慮するべきかもしれない。

セコンドのレイ・セフォーに全てを出し切って来いと懇願されたダナムは突如として狩の獲物から狩人へと姿を変え、猛烈なコンビネーションを放ち、それらを相手に叩き込んだ。オレゴン州出身のライト級は、この晩の一戦で何度となくグラントのアゴにパンチを命中させたが、グラントはダナムのいずれのパンチやキックに対して本当に効かされたそぶりは見せなかった(1ラウンド、そして2ラウンドのグラントはその打撃の真正面に切り込み、ダナムの打撃力にさしたる敬意も払わなかった)。ダナムがどれほどの打撃を繰り出そうとも、グラントは勝利に向かって歩を緩めず、30-27、29-28、そして29-28の判定を勝ち取った。

グラップリングの達人同士の戦いで、グラント(19勝5敗)は明らかにスタンドでの乱打戦を好み、その攻防が(1ラウンドと3ラウンドのダナム(13勝3敗)による何度かのテイクダウンを除いて)試合の大半を占め、そしてその行方を決定付けた。カナダ人のグランドは1ラウンドは明確に優勢であったがダナムは2ラウンドに盛り返し、そのラウンドをダナムが獲得するのに十分な内容を見せた(あくまでも著者の見解においてだが)。しかしグラントの絶え間ない圧力と目を見張るような強打、そしてダナムの額に口をあけた深いカットにより、それらは打ち消されてしまった。

ヴィニシウス・マガリャエス VS. イゴール・ポクライェク

夢遊病のまま試合に勝利するUFCファイターを見たことがあるかだって?この夜に世界レベルのブラジリアン柔術黒帯のヴィニシウス・マガリャエスがそれをやってのけるまで私は見たことがなかった。マガリャエスはまるで夢遊病を思わせるようなもの静かさで、あるいは神秘的な禅の導師のように、経験豊富なクロアチアの205ポンドファイター、イゴール・ポクライェクを2ラウンド1分14秒、淡々としたトライアングルからのアームバーで切って落とした。

28歳のブラジリアン・ファイターは3年半ぶりのUFC復帰を果たし、テイクダウンが不発と見るや滑らかにトライアングル・チョークに切り替えた。

これまでの通産UFC戦績は0勝2敗だったマガリャエスにとってこれがUFC初勝利となった。マガリャエスはMMAにおける連勝を6に伸ばし、戦績は11勝5敗。勝利の全てはサブミッションによるものだ。一方のポクライェクは戦績を25勝8敗、UFC戦績は4勝4敗となってしまった。

マガリャエスの試合後インタビューはこちら

ショーン・ピアソン VS. ランス・ベノイスト

ショーン・ピアソンにとってホームで戦うことがプレッシャーにならなかったことは明らかだ。オンタリオ出身のピアソン(プロでは7つのKO勝利を挙げている)は試合の初っ端からランス・ベノイストを追まわし、猛烈な打撃を叩き込んだ。36歳のピアソンにとって不運だったことは24歳のベノイストはこの窮地をしのぎきり、試合の決着を2ラウンド以降に先延ばしすることに成功したことだった。2ラウンドに入るとそれまで当たって砕けろといった様子だったピアソンもより注意深い戦略をとり、ミズーリ・ファイターのパンチ力に幾分の敬意を払っているようだった。“行け!ピアソン!”と言う観客の声援に後押しされ2ラウンドに再び試合の流れをつかんだピアソンだったが、試合終了まで残り約65秒と言うところでベノイスト(6勝2敗)は息を吹き返すとパンチの一撃でピアソンを殴り倒した。ベノイストは力強いグラウンド&パウンドで踊りかかったがピアソンは諦めずに抵抗を続け、なんとか立ち上がることに成功した。彼のタフネスぶりが結果として三者29-28での判定勝利へとつながった。

地元のヒーロー、ピアソンの試合後インタビューはこちら

マーカス・ブリメージ VS. ジミー・ヘッテス

フェザー級のメルヴィン・ギラードともいえるような思い切りの良いパンチを振るうマーカス・ブリメージはうなるような左のカウンターでジミー・ヘッテスをキャンバスに崩れ落ちさせるなど優位に試合を進め、満場一致の判定で勝利をその手に収めた。

爆発力を誇るアメリカン・トップ・チームのブリメージの手数と力強さは2ラウンド、3ラウンドと進むにつれて明らかに減少したものの、彼の荒々しいパンチは試合を通じて良く命中し、彼のオクタゴン戦績を3勝0敗と伸ばす原動力となった。またこれまで無敗を誇ったヘッテス(10勝1敗)の奮闘も目覚しく、序盤のピンチをしのぐとパンチと飛びヒザ蹴りでブリメージを硬直させ、さらにテイクダウンからブリメージのバックを奪うなど、サウスポー同士のこの一戦は接戦となった。しかしブリメージはそのつど攻防を(時間に目をやりながら、息苦しそうに口を開き、足はよろめきながらも)自身が明確に手数に勝り優勢となるスタンドに戻すことに成功した。

ブリメージが自身の勝利を解説

セス・バジンスキ VS. シメオン・ソーレンセン

「たった4オンスのグローブでやりあえば、どんな事だって起こりうる」

試合に先立つインタビューでファイターたちは常に付きまとう脅威を我々に思い出させる。そして一方のファイターがどんなに試合を圧倒していようとも、たった一つのミスが試合の行方をひっくり返してしまうのだ。

セス・バジンスキ(17勝6敗)はこの夜、トロントでまさにそのことを描き出した。1ラウンドの大半において、ソーレンセン(17勝3敗1分け)こそが見るに値する男、だった。不屈のノルウェー・ファイターは的確なキックでバジンスキのボディと足を痛めつけ、抜群の距離から顔面に打撃を叩き込んだ。ソーレンセンの猛攻はバジンスキになかなかの痕跡を刻み込んだ(脚とアバラは腫れ上がり、唇の周囲からは軽い出血も見られた。)バジンスキは効かされた様子は見せずに忍耐強く反撃の機会を伺い続け、ソーレンセンが右のパンチを放ち終えたその瞬間に襲い掛かった。バジンスキの驚愕のカウンターの左フックがソーレンセンの顔面を打ち抜くと、ソーレンセンはキャンバスに崩れ落ち、その一撃が1ラウンド4分10秒に試合を決してしまった。

「彼は本当に長いリーチを持っていたから難しかったよ、小柄なファイターと戦うことに慣れてしまっていたから」バジンスキは語った。「まもなく俺はもっと強い連中とやることになるだろうから、忍耐強く戦うことを学ぶ必要があるんだ」

バジンスキはまた家で待つ婦人に謝辞を述べた。

「君が家で子供たちを見てくれている。君がいなかったら俺はこんなことはできないんだ」バジンスキはライブ中継を通じて彼女に語り続けた。「君の仕事は俺がやっていることと同じく大変なことだよ、ベイビー」

バジンスキの試合後インタビューはこちら

ミッチ・ゲイグノン VS. ワレル・ワトソン

ミッチ・ゲイグノンとの一戦で、1ラウンドの序盤にワレル・ワトソンが試みた“スーパーマン・パンチ”が命中していたらさぞかしクールだったことだろう。しかし細身のバンタム級ファイターはその派手なアクションの大きな代償を支払う羽目となった。ゲイグノンはカウンターのキレのある左フックでワトソンを迎え撃つと、ワレルはキャンバスに崩れ落ちた。

カナダ出身のゲイグノンはパンチで追い討ちを掛けるとリア・ネイキッド・チョークに切り替え僅か69秒でタップを奪った。

UFC初勝利を挙げたゲイグノンは戦績を9勝2敗と伸ばし、ワレルは戦績を9勝5敗と落とした。

ゲイグノンが試合後インタビューで語ることを聞いてみよう

カイル・ノーク VS. チャーリー・ブレネマン

ほんのちょっとの変化がファイターを強くすることがある。オーストラリア在住のカイル・ノークこそ、その言葉の最新の一例と言えるだろう。この晩のオープニング・バウトに登場し、UFCウェルター級デビュー戦を行ったノークは僅か45秒で相手をしとめるまでに優れたパンチを披露した。元ミドル級ファイターは即座に的確なジャブで距離を掴み激しい右でブレネマンを打ち抜くと、元高校教師のスペイン人をマットに昏倒させ、連敗を2つで断ち切った。ノーク(20勝6敗1分け、UFC戦績4勝2敗)は素早いパンチの連打で試合後に明らかに早すぎたストップに提訴したブレネマン(15勝5敗、UFC戦績4勝4敗)に追い討ちを掛けた。ニュージャージー・ファイターの名誉のために言えば、試合のストップが宣告された瞬間には彼は闘い続けるために片足タックルに飛び込んでいたところだった。

ノークの試合後インタビューはこちら

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