UFC 200:ついに! 時来る!



「It’s time(イッツ・タイム/時は来た)」

”ボイス・オブ・ザ・オクタゴン”こと、リングアナウンサーのブルース・バッファーに、今やUFCの代名詞ともなったこのキャッチフレーズをどのように思いついたのかを尋ねてみたところ、次のように気さくに説明してくれた。

「メインイベント直前になると、誰もがこの会場に来てから5時間もたっていることになります。選手たちはこの瞬間のために6週間から8週間も費やして練習を積んできていますし、文字通り、時が来ている、ということ。それにこの言葉は、どんな文章の前でも後ろでもぴったりフィットします。“イッツ・タイム”はまさにすべてを言い表しているんです。戦闘態勢を整えようというかけ声であり、戦う精神の純粋さを呼び覚ます鬨(とき)の声でもあります。だからメインイベントで私はこの言葉を叫んでいるんです」

日本時間7月10日(日)、ラスベガスのT-Mobileアリーナで行われるUFC 200のメインイベント、ダニエル・コーミエとジョン・ジョーンズのリマッチ直前には、大噴火モードのバッファーを期待しよう。

それだけではない。ブロック・レスナーが復帰してマーク・ハントと戦う時、ミーシャ・テイトがアマンダ・ヌネスを迎えてタイトル防衛戦を行う時、ジョゼ・アルドとフランキー・エドガーがフェザー級暫定王座をかけて相まみえる時、バッファーがどうなってしまうか、もうお分かりだろう。

UFCではこれまでも、ファンが見たいと思う試合を一貫してお届けしてきたが、UFC 200も期待以上の内容となっている。それを数字で説明してみる。

•タイトルマッチ3試合(コーミエ対ジョーンズ2、テイト対ヌネス、アルド対エドガー2)

• UFCの現王者、元王者合計9名出場(コーミエ、ジョーンズ、レスナー、テイト、アルド、エドガー、ケイン・ヴェラスケス、ジョニー・ヘンドリックス、T.J.ディラショー)

• TUF(ジ・アルティメット・ファイター)優勝者3名(ジュリアナ・ペーニャ、ケルビン・ガステラム、ディエゴ・サンチェス)

• K-1 グランプリ王者1名(ハント)

• PRIDEチャンピオン1名(五味隆典)

• Strikeforceのチャンピオン2名(テイト、ゲガール・ムサシ)

• WECチャンピオン1名(アルド)
 


蛇足ながら、レスナーとハントの試合では、合計530ポンド(240kg)がオクタゴンに載ることになる。これに対して、テイト対ヌネス戦やペーニャ対ジンガノ戦の合計体重は270ポンド(122kg)にすぎない。なお、ここでは、1ポンド、2ポンドの誤差はご容赦いただきたい。

つまり、これはビッグイベントだと言うこと。それはファンにとってだけではない。

「間違いなくクールな節目だ」と語るのは、UFC 100とUFC 200の両方に出場することになる3選手のうちの1人、ジョン・ジョーンズだ。他の2人はレスナーとジム・ミラー。皮肉なもので、”ボーンズ”ことジョーンズはそもそも、この大会の出場予定はなかったのだが、コーミエの負傷欠場のため、4月に行われたUFC 197での対戦がお流れに。ジョーンズはその際にはオビンス・サンプルーと戦い、無傷で生還。この歴史的イベントに戻ってくることとなる。

「こうした機会を自分は決して軽く考えてはいない。どれほど大切なことか、よく分かっている」とジョーンズは述べている。「こうした大会でメインイベントを飾ることをとてもうれしく思っているし、ハードにトレーニングを積んでまた勝利を得るために、モチベーション面でプラスになっていることも間違いない。それに、運命的なものも感じているんだ。つまり、タイミング的にも自分の追い風が吹いていると思う。UFC 197ではコーミエがケガをして、こちらはオビンス・サンプルーと戦わなければならなかったのだけれど、試合勘がこれほど戻っていないとは、自分でも気がつかなかったんだ。そこから復調して、この最大の舞台でベルトを奪回できるんだからね」



今大会のジョーンズ出場について考えてみれば、2009年7月のUFC 100以来、ジョーンズだけでなく、このスポーツ自体がどれほど大きく変化してきたことが分かる。未来のライトヘビー級チャンピオン、史上最強の選手の1人であると広くみなされているジョーンズも、当時はUFCでまだ3戦目をジェイク・オブライエンを相手に戦い、試合順も前座のトリですらなかった。前座のトリを飾ったのは、ホール・オブ・フェイマー(殿堂入りを果たした選手)対決となったマーク・コールマン対ステファン・ボナーだ。当時のジョーンズはスター候補生で、期待感の重圧を感じていた。

「プレッシャーはすごかった」とジョーンズは思い起こす。「この試合の前にステファン・ボナーと戦い、強い勝ち方をした。そのおかげで若くして有名になり、期待値も大きく高まった。誰もが、次はオレがベルトを獲るのではないかと指摘し、MMAの世界で注目を集めることになる。そんな状況でのUFC 100だったので、前回のような強い勝ち方をしなければ、という重圧がとても大きかったんだ」

そしてジョーンズは期待に応えてみせる。22歳の誕生日を8日後に控えたジョーンズは、オブライエンに第2ラウンド、サブミッション勝利を挙げたのだった。そこから2年もたたないうちに、ジョーンズは世界タイトルを獲得している。

UFC 100出場選手のうち、マイケル・ビスピンはUFC 199でルーク・ロックホールドを下してタイトルを手中にしている。レスナーは久々のオクタゴン復帰を果たし、コールマンとボナーは引退、ジョルジュ・サンピエールは活動休止中、ダン・ヘンダーソンは先日、ヘクター・ロンバードをノックアウトして、45歳にしてまだまだ元気なところを見せてくれた。

しかし、考えてみてほしい。UFC 200でエンリケ・マーリンと戦うライト級の天才児セージ・ノースカットは、UFC 100のメインイベントでレスナーがフランク・ミアを下した時、まだ13歳だったのだ。



コーミエ、ディラショー、スティペ・ミオシッチ、ロンダ・ラウジー、ヨアンナ・イェンドジェイチェクは当時まだ、プロとしてのMMAデビューすら果たしていない。実際、当時オクタゴンには女子部門は存在せず、男子部門にもフェザー、バンタム、フライの各階級は存在していなかった。

2009年のUFCは、今と比べてまるで別世界なのである。そのことがUFC 200の祝賀ムードを一層高める。というのも、MMAは当時と違っているだけではなく、良くなっているからだ。

もちろん、UFC 200のカードを眺めてみれば、昔と変わらないものもある。ジョーンズは今でも最高の選手の1人であり、レスナーも今なおビースト(野獣)だ。五味は依然”ファイヤーボール・キッド(火の玉小僧)”であり、サンチェスとジョー・ローゾンは主役の座を奪おうと虎視眈々(こしたんたん)のアクションヒーローのままだ。しかし、この大会が世界から注目を浴びるに値するのは、たくさんの変化があったからこそなのである。

MMAはもはや、TUFの人気爆発からわずか4年後の2009年、MMAがメインストリームに届き始めた当時のような、無法者の見世物ではない。すっかり根付いていて、簡単に消え去ってしまうようなものではないのだ。偉大なキャッチフレーズをこねくり回したくはないけれど、ここではバッファー氏の決めぜりふを少しもじって、こうお伝えしておこう。

「It’s about time(イッツ・アバウト・タイム/そろそろ時間だ)」

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