校庭で生まれたモチベーション
史上最も成功を収めたウェルター級ファイターは子どもの頃、恥ずかしがり屋な少年だったという。彼は学校でひどいいじめから身を守るために格闘技を始めた。自分にその素質があることに気づいた未来の王者は、空手、ボクシング、レスリングとブラジリアン柔術のトレーニングを始めた。

ワークエシック
経営学を学んでいたジョルジュ・サンピエール（GSP）は学費を稼ぐために用心棒とごみ収集員をしていた。

急成長
サンピエールは2002年1月にプロに転向すると、矢継ぎ早に5勝を挙げ、“ラッシュ”のニックネームを獲得。2年後、彼はUFC入りした。そこで2勝し、2004年10月にレジェンド級のウェルター級王者、マット・ヒューズを相手に王座挑戦の権利を得る。彼は健闘したものの、1ラウンドの残り1秒というところでアームバーをかけられ、タップしてしまった。

タイトルを取る（そして失う）
再度トレーニングに打ち込んだGSPは2006年のヒューズと2度目のタイトルマッチに臨み、圧勝。しかし、UFC 69で彼は格下のマット・セラに敗れ、そのベルトを失ってしまう。この敗北がGSPを変えた。ここから見せた変身ぶりによって、彼はUFCで最も知的なファイターとなる。ジョシュ・コスチェック、ヒューズ（2回目）を撃破すると、サンピエールはタイトルリマッチでセラを完敗させる。このUFC 83は初のカナダ大会であり、サンピエールの故郷のファンは熱狂した。

完璧な身だしなみ
彼はいつも高級スーツとネクタイ姿で記者会見に現れる。また、ファイトナイトでアリーナ入りする時もスーツとタイが定番だ。エリートファイターであるでなく、一流の人物としても尊敬を集める。

GSP P4P
彼は170ポンドで過去10年の名だたるベストファイターたちをことごとく倒している――ヒューズ、コスチェック、B.J.ペン、ショーン・シャーク、フランク・トリッグ、ジョン・フィッチ、ジェイク・シールズ、カーロス・コンディット。サンピエールは現在12連勝中であり、そのうちの4勝は新旧UFC王者だ。史上最も優れたMMAファイターが誰かという議論に決着がつくことはないだろうが、そこでジョルジュ・サンピエールの名前が考慮されることは間違いないだろう。

強制中断
彼の覇権は2011年12月に前十字靭帯損傷に大けがを負ったことで中断されてしまう。GSPは2011年4月から2012年11月まで試合には出場せず、いつもの勤勉さでリハビリに取り組んだ。医学の専門家たちは10年前であっても王者の膝を完全に治す方法は存在しないとの見解で同意し、GSPの引退は避けられないだろうと述べた。しかし、GSPは復帰以降、暫定王者のコンディットと因縁のライバルであるニック・ディアスを倒している。

キャプテン・カナダ
多くの雑誌やファン投票により、彼はカナダで過去最も人気の高いアスリートに選ばれている。

銀幕の王者
オクタゴンを離れたところで、GSPはいくつかのアクション映画に出演している。2014年にはマーベルの『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』で“バトロック”を演じ、キャプテン・アメリカと対峙した。

恐竜研究家
サンピエールはアマチュア古生物学者で恐竜研究に熱中している。