UFCファイトナイト・フレズノ見どころ:火花散るフェザー級上位ランカー同士のつぶし合い

UFCファイトナイト 見どころ
UFCファイトナイト・ナッシュビル:カブ・スワンソン vs. アルテム・ロボフ【アメリカ・テネシー州ナッシュビル/2017年4月22日(Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
UFCファイトナイト・ナッシュビル:カブ・スワンソン vs. アルテム・ロボフ【アメリカ・テネシー州ナッシュビル/2017年4月22日(Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
日本時間12月10日(日)に開催されるUFCファイトナイト・フレズノのメインイベントはカブ・スワンソン(米国)とブライアン・オルテガ(米国)の一戦が組まれ、フェザー級上位ランカー同士のつぶし合いがぼっ発する。

「今回の試合で世界がオレのことを知るようになる」とオルテガ

オルテガはMMA戦績12勝0敗、UFC戦績4勝0敗1ノーコンテストのパーフェクトレコードを誇る次世代エリートだ。グレイシー柔術アカデミー仕込みの洗練された柔術(黒帯)と、急速に進化する打撃を武器に、UFCでの4戦を全て第3ラウンドでフィニッシュ勝利、うち2試合でファイトナイトボーナスを獲得している。対戦相手もチアゴ・タバレス、ディエゴ・ブランダオン、クレイ・グイダら、ハイレベルなビッグネームを乗り越えてきており、早々とランキング6位に急上昇してきていることもうなずける内容だ。特にUFC 195(2016年1月)で挑んだブランダオン戦では、アナコンダからギロチン、そして三角締めへと、数秒のうちに流れるように移行する芸術的なチョークホールドを披露。このフィニッシュ劇はUFC公式サイトが選出した2016年ベストサブミッションで第3位に輝いている。ニックネームである“Tシティ”のTは、得意技のトライアングル(三角締め)のことである。

そんな新進気鋭にとって、今回のスワンソンは過去最強の対戦相手だ。

「オレはチャンピオンになるためにこの世界に入ってきた。ここから先、壁を越えていくためには、カブのような相手を下さなければならない。カブが想像も付かないようなカオスな試合を仕掛けてくることは分かっている。ただ、彼の過去の敗戦は全て関節技による一本負け。それはオレの得意分野なんだよ。最後はオレが勝ち星を頂くことになる」

オルテガはこの試合をきっかけに、看板選手としての存在感もアップさせていく算段だ。

「オレには世間に届く売り込みやすさがあると思っている。これまでいろんな選手と出会ってきたが、大して面白いヤツはいなかった。オレとは違って、ヤツらは毎日、それほど多くのことをしないんだ。ヤツらの人生は、オレの人生とはかなり違うんだなと思っている」

「試合は激戦になる。トップに立つためにはお互いの命をやりとりしなければならないからね。ただ、もうオレの時代なんだ。オレはそのことを実感している。カブに勝てば、世界はオレのことを知るようになる」

美しき破壊者、スワンソンのフラストレーションとモチベーション

これに対してフェザー級ランキング4位につけるベテランのスワンソンは次のように応じている。

「オルテガはよくいる上昇中の若手だろ。俺のポジションを奪おうとしているんだろうけど、そうはならない。いい試合にはなると思う。オルテガはスタンドも柔術もできる無敗の選手だ。ただ、どれほど試合をイメージしてみても、俺がヤツの顔面を何度も何度も殴りつけているところしか見えないんだ。こっちはこれまで、たくさんの大舞台を踏んできたけど、彼にとっては今回が初めての大舞台だろう。この試合は俺がメインイベントで再び輝くチャンスにすぎない」

WECとUFCでここ10年間を戦い抜き、その間の戦績16勝6敗、現在は4連勝中かつ2試合連続でファイトナイトボーナスを獲得と脂が乗りきっているスワンソン。特にUFC 206でのチェ・ドゥホ戦(2016年12月)は、UFC公式サイトで2016年ファイト・オブ・ザ・イヤー第1位に選ばれる名勝負だった。

こうして長きにわたりフェザー級のトップファイターとして認められながら、いまだにタイトルに挑戦したことがないことについて、スワンソンはフラストレーションを隠さない。

「俺にとって今回がフェザー級で20戦目だ。その間、ずっとトップを張ってきた。だから、例えばフランキー・エドガーのような選手が何度もタイトルに挑戦しているのを見ていると、ちょっと納得できない気分はある。オルテガには悪いけど、今回は機嫌が悪いんだ。腹いせに痛めつけてやる」

チェ戦から数カ月には娘ロイヤルちゃんが生まれた。このこともスワンソンにプロファイターとしてのステージのレベルアップを決意させている。

「いつもの試合哲学は“ビューティフルディストラクション(美しき破壊)”なんだけど、今回の試合は娘にささげる“ロイヤルな(王道の、堂々とした)パフォーマンス”でいこうと思う。娘の存在は自分の頭の中を大きく占めていて、合宿期間中も娘がモチベーションだった。娘が誇りに思えるようなパフォーマンスをしたいんだ。試合だけじゃなく、家族を養っていくという意味でもね」

さまざまな思いが交錯する分岐点となる今回はスワンソンにとっても白星の意味がいつも以上に重い試合になる。

ディアス2世、ジェイソン・ナイトの全力ファイト

セミメインイベントには相手を罵倒しながら戦う姿がまるでニックとネイトのディアス兄弟にそっくりだとして、ファンから“ヒック・ディアズ(田舎者ディアス)”というニックネームを付けられているフェザー級の新鋭、ジェイソン・ナイト(米国)が登場し、ガブリエル・ベニテス(メキシコ)と対戦する。ナイトの出身はミシシッピ州の小さな田舎町だ。

現在4連勝中、うち3試合でボーナスを獲得する名勝負製造機のナイトは試合中のトラッシュトークについて次のように語っている。

「ジムでは毎日、あんなふうに悪態をつきながら練習している。そうやって楽しく過ごしているのさ。ただ練習しているだけだと、だんだんマンネリ化してくる。造船所でも建築現場でも、みんな悪態をつきながら毎日を乗り切っているだろう? それと同じだよ。それに、試合でなかなか効き目があるんだ。相手が冷静さを失うみたいでさ。だからこれからも、効き目がありそうなら試合中に相手を罵倒するつもりだ。“クソみたいなパンチだな“とか“もうおしまいなのか?“とかね」

「でも、オレはオレなんだ。オレのことをこれからじっくり見ていてくれれば、ディアスのことなど忘れさせてやる。彼らはもう過去の人間だけど、“ザ・キッド”(ナイトの公式なニックネーム)はこれからばく進するからだ!」

「オレはできる限りハードに戦う。そのやり方しか知らないんだ」と語るナイトの全力ファイトも見逃せないUFCファイトナイト・フレズノをお楽しみに。

【文 高橋テツヤ】

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