UFCファイトナイト・ブルックリン見どころ:UFC新時代の幕開けを飾るチャンプ対チャンプのスーパーファイト!

UFCファイトナイト 見どころ
UFC 227:デメトリアス・ジョンソン vs. ヘンリー・セフード【アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルス/2018年8月4日(Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
UFC 227:デメトリアス・ジョンソン vs. ヘンリー・セフード【アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルス/2018年8月4日(Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
日本時間1月20日(日)開催のUFCファイトナイト・ブルックリンのメインイベントでは、現役王者同士のスーパーファイト、バンタム級チャンピオンのT.J.ディラショー(アメリカ)が体重を10パウンド(約4.5kg)落として、フライ級チャンピオンのヘンリー・セフード(アメリカ)に挑戦するUFCフライ級タイトルマッチが行われる。

ディラショー、目指すは3冠王者

宿敵コーディ・ガーブランドを2度にわたって退け、現在2度目のバンタム級王座に君臨中のディラショー。バンタム級で12勝、うちフィニッシュ勝利8勝、パフォーマンスボーナス8度受賞はいずれもUFCバンタム級レコードであり、この階級史上最強との呼び声も高い。

今回勝てば、コナー・マクレガー、ダニエル・コーミエ、アマンダ・ヌネスに次いで、UFC史上4人目の同時2階級制覇王者となるディラショーだが、初のフライ級戦ということもあり、どのようなコンディションで試合に臨むのかが未知数だとの指摘もある。しかしディラショーはそのような周囲の懸念を全く意に介さない。

「減量は12週間かけて、科学的にやってきた。何の問題もない。いつもより力がみなぎっているほどだ。ド派手なフィニッシュを見せてやる。ヤツは金メダリストだが、本物の金メダルは腰に巻くものだ」

そんなディラショーは2冠どころか、史上初の3冠王者すら視野に収めていると豪語する。

「オレは史上初めて、ベルトを3本巻く選手になりたい。すでに2本は取ったも同然、3本目も取れることは分かっている。オレはフェザー、バンタム、フライの各階級でベストコンディションを作ることができるからだ。マックス・ホロウェイと戦ってほしいという声は届いている。オレもそうしたい。しかしまずはセフードだ。オレはオレのTo Do Listを1つずつ順番に消し込んでいくだけだ」

「オレはこれまで格闘技にものすごい時間をつぎ込んできたし、自分こそがチャンピオンの中のチャンピオンだと思っている。食事も、コーチとの付き合い方も、回復の仕方も、ありとあらゆることを自分の進化につなげている。これほどまでに打ち込んできたからこそ、この努力を結実させることには大きな意味があるんだ」

『メイク・フライウェイト・グレート・アゲイン』

2008年五輪金メダリストのセフードは昨年8月、6年にわたりフライ級王座を独占し続けた絶対王者デミトリアス・ジョンソンを下してベルトを奪取、五輪金メダルとUFCベルトの両方を獲得した初めての選手となった。今回が初の防衛戦となる。

3年前にはわずか3分足らずで仕留められてしまったジョンソンに雪辱を果たしたことで、セフードはようやく、つかの間の安らぎを得られたのだという。

「やっと一服できて、よく眠れるようになったよ。自分は17歳の時に人生の目標を3つ立てた。『金持ち父さん、貧乏父さん』の本に影響を受けて、実際に紙に書いたんだ。1つは、いつの日か、良い夫、良い父親になること、第2はオリンピックで金メダルを取ること、第3はUFCチャンピオンになることだった。3つのうち2つは達成できたことになるね」

セフードにとって有利な事実として、過去3人の同時2階級制覇はいずれも階級を上げた選手が達成した、ということがある。

「2階級制覇を目指すなら、普通は階級を上げて狙うものだ。ガリガリになった劣化版ディラショーにつけこんでやる。ディラショーをフィニッシュして、『メイク・フライウェイト・グレート・アゲイン』を成し遂げるつもりだ」

「この試合で勝って、次は僕が階級を上げてもう1度ヤツを倒し、バンタム級のベルトを頂く。自分は五輪のチャンピオンで、UFCフライ級のチャンピオンだから、次に目指すのは3冠王だ。2冠王なんか目じゃない。歴史を作りたいんだ」

バンタム級随一のオールラウンダーと、とんでもない基礎能力を誇るフライ級の覇者による3冠王を目指したハイリスクハイリターンなチェスマッチは、刺激的な試合になること請け合いだ。

レジェンド対超新星の異次元対決も!

UFCファイトナイト・ブルックリンのプレリミナリーカードでは、ドナルド・セラーニ(アメリカ)対アレクサンダー・ヘルナンデス(アメリカ)の一戦が行われる。

ほんの1年前にはまだ、住宅ローンの営業が本業で、MMAは副業だったというヘルナンデス。昨年3月、急きょ欠場となったボビー・グリーンの代打として試合のわずか8日前に転がり込んできたUFCデビュー戦で、ランカーのベニール・ダリウッシュを驚きの42秒ノックアウト葬に退け、UFC戦績1戦にしていきなりUFCランキングでトップ15入り。7月にも実力者、オリビエ・オーバン・メルシエを下し、今回セラーニとの大一番に抜擢(ばってき)された。

「まるでUFCが俺の足下に、ペルシャ製のシルクのじゅうたんを敷いてくれているように感じている。何が何でもこのチャンスをいかすつもりだ」と意気込む現在8連勝中の急成長株を迎え撃つのは、昨年地元デンバーで開催されたUFC25周年記念イベントでマイク・ペリーに見事な一本勝ちを収めてまだまだ元気なところを見せつけ、今回3年ぶりにライト級復帰を果たす“カウボーイ”セラーニだ。

前回の勝利で、ジョルジュ・サン・ピエール、マイケル・ビスピンを抜いて史上1位となるUFCでの勝利数21、そしてアンデウソン・シウバ、ビトー・ベウフォートを抜いて史上1位となるUFCでのフィニッシュ勝利数15を達成したセラーニ。戴冠歴こそないものの、セラーニが積み重ねてきた戦いの実績はUFCの歴史に燦然(さんぜん)と輝く名選手をしのぐ高みに達している。

UFC公式サイト選定、2018年ベストルーキー第2位のヘルナンデスがレジェンドを食って巨大化するのか、それともセラーニがヘルナンデスの壁となり鼻をへし折って、逆に自らが再びトップコンテンダーに返り咲くことになるのか、サバイバルを賭けた世代間闘争は燃え上がるばかりだ。

アメリカでUFCは2019年から、スポーツ専門チャンネルの最高峰であるESPNで放送・配信されることとなった。今回のイベントはその第1弾に当たる。ますますメジャースポーツとしての地位を固めたUFCの、新年にふさわしい新たな門出を注目しよう。

【文 高橋テツヤ】
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