UFCファイトナイト・グリーンビル見どころ:決意の近藤朱里、負けられない試合へ

UFCファイトナイト 見どころ
UFCファイトナイト北京:公式計量セレモニーに登場した近藤朱里【中国・北京/2018年11月23日(Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
UFCファイトナイト北京:公式計量セレモニーに登場した近藤朱里【中国・北京/2018年11月23日(Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
日本時間6月23日(日)に開催されるUFCファイトナイト・グリーンビルに近藤朱里が出場し、アシュリー・ヨーダー(アメリカ)と対戦する。

近藤「勝利をつかみ取れるよう、がんばります」

近藤は昨年11月、北京でフルラウンドの熱戦の末、ヤン・シャオナンに判定負けを喫し、UFC戦績を1勝2敗としており、今回は3連敗を何としても阻止すべく、必勝を期してグリーンビルに乗り込む。

対するヨーダーは、前回こそアマンダ・クーパーに判定勝ちを収めたものの、UFC戦績1勝3敗と、こちらもこれ以上は負けられない星勘定に追い詰められている。高校時代にはチアリーディング、ダンス、陸上で活躍したヨーダー。大学では犯罪学と民族離散研究でそれぞれ学位を取得し、プロファイターになる前にはライフガードとして働いていた異色の経歴の持ち主だ。

“スパイダーモンキー”というニックネームの通り、いったん相手にしがみついたら仕留めるまで離さない粘り強い柔術が特徴的なヨーダーについて、近藤は「サウスポーで背の高い、寝技の選手だと思うのですが、しっかりと相手を見て、チャンスがあれば自分も極(き)めたり、勝負に出たいと思っています」と展望している。

近藤は今年3月にテレビ朝日系列で放送された『中居正広のスポーツ!号外スクープ狙います! ~世界で稼いでるスポーツランキング~』に出演して話題を呼んだ。さまざまな競技のプロが思い思いの私服姿でゲスト出演する中、ただ1人、UFCの試合用公式ユニフォームという正装で張り切って出演した近藤。UFCでの壮絶な殴り合いの映像でスタジオを大いに沸かせた後、「将来は女優になりたい」と、想定外の発言をさく裂させ、共演者の滝沢カレンさんやアンタッチャブル・山崎弘也さんをずっこけさせる一幕もあった。

このテレビ出演について近藤は、「私のことやUFCのことを知らない方に、少しでも知ってもらえる機会だったので、本当にうれしかったです。見た方からは面白かったと言ってもらえました。やっぱりテレビの反響は大きいですね!」と手応えを感じたようだ。

今回は「負けられない試合、勝利をつかみ取れるようがんばってきます」と必勝を期す近藤。前髪が垂れていなければ本気の印だという、試合当日の近藤のコーンロウ(編み上げて作る頭髪スタイリングの1つ)にも注目だ。

ザ・コリアン・ゾンビ復活祭!

UFCファイトナイト・グリーンビルのメインイベントでは“ザ・コリアン・ゾンビ”ことジョン・チャンソン(韓国)がヘナート・モイカノ(ブラジル)と対戦する。

昨年11月のヤイール・ロドリゲス戦で、激しい打撃の応酬を終始押し気味に進めながらも、第5ラウンド4分59秒、まさに試合終了1秒前に、ロドリゲスが下からノールックで突き上げたひじ打ちをまともにアゴ端に食らい、失神KO負けを喫してしまったチャンソン。

試合後には「みっともないところをお見せしてしまった」とコメントしていたチャンソンであったが、UFC公式サイトが2018年ベストノックアウトの第1位に挙げたこのエキサイティングなKO劇を「みっともない」と感じたファンは1人もいないことだろう。

何度倒されても立ち上がり、相手に向かって前進を止めないゾンビスタイルのファイトが持ち味のチャンソンは、これまでUFCでは6試合に出場し、ポストファイトボーナスを6度獲得、文字どおりの名勝負製造機としてマニア、初心者を問わずファンからの全幅の信頼を勝ち取っている。徴兵などで4年間の欠場を経験する直前の2013年には、ジョセ・アルドの持つUFCフェザー級タイトルにも挑戦(パンチの打ち過ぎで試合中に肩が抜けてしまいTKO負けという、ゾンビ的敗戦だった)、2012年には現ライト級暫定王者のダスティン・ポワリエを秘技ダースチョークで締め落とすなど、着実に実績を積み上げている次期コンテンダーでもある。

「柔術、打撃、レスリングなど、1つ1つの要素を取り上げれば大して自信はない。ただ、それらを総合して頭を使って戦うことなら大好きだし、これまではまずますの結果が出ているようだ」と語る頭脳派ゾンビが、グリーンビルの初夏の夜に前回の悪夢を払拭する。

大物食いでタイトルショットへ、モイカノ

一方、今回が初のメインイベントとなるモイカノは現在フェザー級ランキング5位と、12位のゾンビより格上、MMA戦績は13勝2敗1分だ。2017年7月にブライアン・オルテガにプロ初黒星を喫したことが、トップファイター・モイカノ急浮上のきっかけとなっている。

「負けたことで、自分に何が足りないのかを考え始めた。そこで、荷物をまとめてアメリカに飛び、アメリカン・トップ・チーム(ATT)に移籍したんだ」

ATTでのモイカノは、科学的トレーニングを取り入れたよりスマートな練習をするようになった。ブラジル時代のモイカノは、ヘトヘトになってからスパーリングに取りかかるなど、根性重視の猛練習に明け暮れていた。

「ブラジル人ファイターはそんなやり方、ハングリー精神で成功してきたんだ。でも、どこかの時点でサイエンスに勝てなくなるんだよ」

「そしてこの頃から、僕はタイトルを取りたいと発言するようにもなった。それ以前の僕は、取材も好きではなかったんだけど、そうしたことの重要性をATTで教えてもらったんだ」

前回は母国ブラジルで、英雄アルドと戦うというやりにくい試合で、ノックアウト負けを喫してしまった。

「地元ファンからの注目は大きく、下馬評では僕がアルドを倒すのではないかと言われたていた。そんな中で気持ちだけが先走り、アルドを倒すという目の前の仕事に集中できていなかったように思う。アルドは僕にとってのアイドルだと言ってもいい人だ。相手のことをリスペクトしすぎた」

アルドと殴り合った経験を糧に、今回初の5ラウンド戦に臨むモイカノは、スタミナやペース配分がカギになると明かしている。対戦相手チャンソンについては、「長期欠場があったからランキングは低いけれど、ロドリゲスにも実質勝っていたと思うし、本当にタフな相手だ。でも僕は、ビッグネームのゾンビに勝つことで、タイトル挑戦への勢いをつけたいんだ」と腕を撫している。

【文 高橋テツヤ】
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