UFC 243見どころ:世界最大のイベント! ウィテカー対アデサニヤ、地元でミドル級頂上決戦

UFC PPV 見どころ
UFC 225:ロバート・ウィテカー vs. ヨエル・ロメロ【アメリカ・イリノイ州シカゴ/2018年6月9日(Photo by Josh Hedges/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
UFC 225:ロバート・ウィテカー vs. ヨエル・ロメロ【アメリカ・イリノイ州シカゴ/2018年6月9日(Photo by Josh Hedges/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
日本時間10月6日(日)に、オーストラリア・メルボルンのマーベル・スタジアムで開催されるUFC 243のメインイベントではUFCミドル級王座統一戦、正王者ロバート・ウィテカー(ニュージーランド)と暫定王者イズラエル・アデサンヤ(ナイジェリア)の一戦が行われる。

ニュージーランド生まれ、オーストラリア育ちのウィテカーと、ナイジェリア生まれながらニュージーランド育ちのアデサニヤという、地元のスター選手同士による頂上決戦に、現地メルボルンは沸き立っている。

UFCは2015年にUFC 193をここマーベル・スタジアムで開催している。その時のメインイベントは、世紀の番狂わせとなったあのロンダ・ラウジー対ホーリー・ホルム戦で、たたき出した観客動員数56,214人は、現在もUFCの観客動員数レコードとして輝いている。そして今回もチケット売上は順調で、観客数5万人越えは確実、新記録樹立も期待されている。



がい旋晴れ舞台にかける、それぞれの思い

「UFC 193は最後列の客席で観戦していた。ウィテカーも出場していたし(ユライア・ホールに判定勝ち)、マーク・ハントがビッグフット(アントニオ・シウバ)をノックアウトしていた。あの時の会場の雰囲気は忘れない」とアデサニヤは振り返っている。

「でもメインイベントはアメリカ人対決だった。それが今回は、自分がスタジアムのど真ん中に立ち、オージー対キウイのライバル対決でメインイベントを飾ることになる。ホントにすごい話だよな」

同じくメルボルンが舞台となったUFC 234(2019年2月)で予定されていたケルヴィン・ガステラム戦を、試合当日の急病(腸ヘルニア)で欠場することとなったウィテカーにとっても、今回の試合の意味は重い。

「メルボルンには借りがあると思っている。だから、より大規模なイベント、より期待度の高い試合で戻ってこられたことは本当にうれしい。この場所で歴史を作りたいと思っている」

ウィテカーはパースで行われたUFC 221(2018年2月)で予定されていたルーク・ロックホールド戦でも、試合直前に発症した水ぼうそうのせいで流してしまっている。2回連続で地元での試合のキャンセルを余儀なくされたのだ。ちなみにこのUFC 221のプレリミナリーカードでUFCデビューを飾ったのがアデサニヤだった。

「練習中にヒザをケガしたとかならまだ分かるけど、急に病気になってしまうというのはおかしな話だよね。ファンをがっかりさせてしまったことはもちろん、自分の試合の準備のために犠牲を払ってくれたコーチ人や家族にも迷惑を掛けた。しかも1度ではなく2度もね。2度目なんか、試合当日に緊急手術だからね」

実に484日ぶりの試合となるウィテカーだが、「手術の後はこれまでに感じていた体調の問題も解消して、コンディションは絶好調だよ。いまではすっかり、健康維持に慎重になった。おかげで強い身体になっている」と自信を見せる。

これに対してアデサニヤは、「今回ロバートが本当に試合に出てくるのかどうかが、賭けの対象になるんじゃないのか」と皮肉りつつ、「自分がチャンピオンになったら、もっと頻繁に防衛戦をしていこうと思っている」と、主役の座を奪わんと虎視眈々(こしたんたん)だ。

絶対王者ウィテカー「アデサニヤには穴がある」

ミドル級転向以来5年にわたって負け知らずで、現在9連勝中のウィテカー(MMA戦績20勝4敗、UFC戦績11勝2敗)は、試合間隔が長くなったことについて次のように語っている。

「試合勘が戻るとか戻らないということは実際にあると思う。だからこそ、しかるべき準備が必要なんだ。試合を全くしない、アドレナリンも出ない、プレッシャーもない状態で過ごしてきたなら、いきなりうまく戦うことは難しい。でも自分は柔術やレスリングの試合に出ていたし、プレッシャーの強いスパーリングもこなしてきている。試合勘の取り戻し方、というものがあるんだよ」

今回の対戦相手アデサニヤについては、「俺はいつも、次の試合が過去最大の難敵だと思うようにしている。次に戦う相手が自分をフィニッシュすることがあるかもしれないんだからね。そういう意味でアデサニヤは最強の挑戦者だと思っている」と気を引き締めつつも、アデサニヤの前回の試合(UFC 236でのガステラム戦)を次のように分析している。

「ガステラム戦のアデサニヤを見ていると、これまでと同じ穴があって、そこにますますつけ込まれる展開となっていた。アデサニヤはもっと心配した方がいいと思う。僕の猛攻を5ラウンドにわたって浴び続ければ、持ちこたえることはできない。俺のパンチはガステラムよりも早いし強い。彼が経験したことのない激しい攻撃を味わうことになる」

急上昇アデサニヤ「ウィテカーには簡単に勝てる」

2018年2月にUFC入りして以来6戦全勝、ウィテカー不在のつかの間に一気にトップランカーに駆け上がったアデサニヤ(MMA戦績17勝0敗、UFC戦績6勝0敗)。キックボクシングで75勝の戦績を持つアデサニヤは、前回の試合では多彩な打撃でガステラムを攻め込み、何度もダウンを奪って完勝、UFCミドル級暫定王者となったのだった。

「前回の試合では、多くの人が自分のパンチにはパワーがない、ケルビンは打たれ強いしタフ過ぎると言っていたよね。でも、6回も7回も尻餅をついていたのはケルビンの方だった。自分たちの練習はレベルが違うんだよ。ギリギリまで追い込みながら、ケガをしないように賢く練習をしている。だから毎回勝てるんだ」

対戦相手のウィテカーについては、「うまさもあるし、いい意味での不器用さもある。でもね、ロバートには簡単に勝てると思っているんだ」と明かしている。

「身長とリーチのアドバンテージははっきりってある。自分はそこを利用するのが得意なんだ。ケルビンが距離を詰めていたからといって、ロバートにもできると思っているなら大間違いだ。ケルビン戦では、相手がいい戦術を持っていたし、自分の側にもミスがあった。でもそのミスは修正したからね。いつもの通り、身長とリーチを生かして戦うよ」

地元王者対決となったメインイベントの他にも、ダニエル・フッカー(ニュージーランド)、タイ・トゥイバサ(オーストラリア)を始め、全11試合のうち10試合にオセアニア出身選手が出場、世界を迎え撃つ格好となるUFC 243。史上最大規模のビッグイベント、南からの熱い風を堪能しよう。

【文 高橋テツヤ】
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