NFLのトム・ブレイディを道しるべにするカルヴィン・ケーター

UFC
UFC 238:リカルド・ラマス vs. カルヴィン・ケーター【アメリカ・イリノイ州シカゴ/2019年6月8日(Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
UFC 238:リカルド・ラマス vs. カルヴィン・ケーター【アメリカ・イリノイ州シカゴ/2019年6月8日(Photo by Jeff Bottari/Zuffa LLC/Zuffa LLC via Getty Images)】
3月18日(水)、カルヴィン・ケーターは黒いフード付きパーカを着ていた。内心でNFLの大スター、トム・ブレイディがニューイングランド・ペイトリオッツからの離脱を考え直してくれないかと願いつつも、彼の潜在意識が選んだファッションだったのかもしれない。

「オレは彼が実際に何かにサインするまでは諦めないよ」と根っからのペイトリオッツファンだというケーターは述べた。ニューイングランドの全ての人々同様、彼もブレイディがチームのユニホームを脱ぐと発表したことにショックを受けていた。「ああ、なんてこった。ショックだよ。でもな、それでもオレは彼がどこに行こうがファンでい続けるよ。今まで、これでもかってほどいろんなことを一緒に乗り越えてきたんだから」

そんな彼のかすかの望みも20日(金)に消滅してしまった。ブレイディがタンパベイ・バッカニアーズと正式契約を交わしたのだ。だが、ペイトリオッツを6度のスーパーボウル制覇へと導いた男の離脱が決まったことにケーターのように動揺を隠せない人々がいるのは当然としても、時折ヒーローを失ったスポーツのホームタウンで起こるような暴動は驚くべきことに起こらなかった。代わりに巻き起こったのは“TB12”と呼ばれ親しまれたブレイディへの感謝の声だった。

「彼はこの近辺の人々のためにたくさんのことをしてくれた。オレ個人にとってもだ。フィールドの中でも外でも、手本として彼が見せてくれた姿、あれだけ長く頂点に立ち続け、1つのことに集中し続けた意志の強さは忘れられない」とケーターは述べた。「本物のチャンピオンとは何なのかを示している。トップに立ち、そこにとどまるには何が必要かを体現した素晴らしい見本だよ。今年はたくさんのペイトリオッツファンがバックスを応援すると思う。彼は十二分すぎるほど地域の人々に尽くし、ニューイングランドのコミュニティーのために働いてくれた」

現在は4月に予定されているUFC 249のジェレミー・スティーブンス戦に備えてトレーニング中のケーター。さすがにバッカニアーズのジャージーを購入するつもりはないようで、ブレイディのことはこれからも応援すると言いつつ、愛するペイトリオッツはきっと司令塔が変わっても大丈夫だと胸を張った。

「システムの問題さ」とフェザー級ランキングを上昇中のケーターは言う。「ちゃんとしたクオーターバックがいて、今のシステムがあれば、大丈夫だと思う。コーチングや今あるシステムの方が1人の選手より大きいんだ。彼らはエゴを捨てたことを証明済みだ。オレたちがジムで目指しているものと同じさ。一番大事なのはジムで、誰か1人が抜きんでることはない。その考え方を忘れないようにするんだ。オレも一員となってそれを目撃することができて、うれしいよ。彼らの行動を誇りに思う。オレ自身もトレーニングする時に心掛けるようにしている。毎日毎日、自分たちのシステムを進化させようと努力しているんだ。家のすぐ近くであれほどのレベルのアスリートを目の当たりにし、ペイトリオッツとトム・ブレイディを誇れたことは長年にわたって大きな助けになった」

参考のために言っておくと、ブレイディが2000年にペイトリオッツでデビューした時、ケーターは12歳だった。フットボールファンという点で、ケーターが知っていたのはブレイディだけ。そのため、彼自身がプロのアスリートになった時にゲームの流れを変え、トップにたどり着くための手本としたのが12番を背負うブレイディだったわけだ。42歳のブレイディがフロリダで新たなスーパーボウルリングをコレクションに加えることはないかもしれないが、ケーターはその挑戦する姿を楽しみにしているという。

「彼は決して手を緩めない」とケーターは述べた。「そして、どこかで周囲の見解が間違っていることを証明したがっている。ペイトリオッツと彼の間にどんなことがあったかは知らないけど、オレは過去にきっぱり別れを告げる彼の強い自信が好きだし、これだけのキャリアを持ちながらも戦う炎を持ち続けているところが好きだ。新しいチームで始めるのはすごく大変だろう。すでに多くの実績を持ちながら、もう一度スーパーボウルで勝とうと踏み出せるのは驚異的だよ。誰が代わりに入るとしても、大きな穴を埋めなきゃならない」

ブレイディがこの先ニューイングランドでタイトルを獲得することはなくなってしまったが、ケーターはいつか地元のファンのためにUFCのタイトルを持ち帰りたいと強く願っている。

「ボストンにタイトルをもたらせたら誇らしいだろうな」と彼は述べた。「オレたちにUFCのタイトルはまだない。取っていないのはそれだけなんだ。だから、ニューイングランド連合はその空白を埋めるために頑張っているよ」
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