UFCオナーズ:2021年会長賞ノミネートの発表<ファイト・オブ・ザ・イヤー>

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UFC 269:オクタゴン【アメリカ・ネバダ州ラスベガス/2021年12月11日(Photo by Chris Unger/Zuffa LLC)】
UFC 269:オクタゴン【アメリカ・ネバダ州ラスベガス/2021年12月11日(Photo by Chris Unger/Zuffa LLC)】
UFC会長のデイナ・ホワイトが2021年のベストパフォーマンス候補に選んだ試合をご紹介。

【ファイト・オブ・ザ・イヤーのノミネート】

ジャスティン・ゲイジー対マイケル・チャンドラー(UFC 268)



ジャスティン・ゲイジーとマイケル・チャンドラーの対戦で人々が見たかったのは、“続く限りの”バトルだった。結果こそジャッジの判定に委ねられたものの、2人のライト級コンテンダーはマディソン・スクエア・ガーデンで期待を上回ってみせた。15分間にわたり、ゲイジーとチャンドラーは流れの読めない緊迫した勝負を繰り広げた。決して冗長なやりとりだったわけではない。2人は共に立ち技で優れたところを見せ、互いに計算されたパンチを出てしはかわすことを繰り返した。合間にグラップリングもちりばめられ、元学生レスラーの2人はマットでも才能を光らせた。最終的に勝者となったのはゲイジーだったが、長く忘れられない戦いを見せた2人に誰もが敬意を抱かずにはいられなかった。

マックス・ホロウェイ対ヤイール・ロドリゲス(UFCファイトナイト・ラスベガス42)



マックス・ホロウェイとヤイール・ロドリゲスの対戦が実現するまでには長い前置きがあり、全てが疑問符だらけの試合だった。1つには、ホロウェイがすでに2021年初めにカルヴィン・ケーターを圧倒的パフォーマンスで倒し、アレキサンダー・ボルカノフスキーとの3度目の対戦権を勝ち取ったと思われていたことがある。一方、ロドリゲスはというと2019年を最後に試合をしておらず、元王者を相手に何ができるのかと疑問に思う者が少なからずいた。だが、パンチの応酬が始まった途端にそれらは忘れ去られ、多くのポテンシャルを秘めたマッチアップは非常にエンターテイニングな展開となった。5ラウンドを通して、ホロウェイとロドリゲスは向き合ったまま全力で攻撃を続けた。最後に勝利を手にしたのは“ブレスト”ことホロウェイで、王座奪還に向けてまた1つ勝利を加えて足場を固めている。

アレキサンダー・ボルカノフスキー対ブライアン・オルテガ(UFC 266)



ジ・アルティメット・ファイターで対戦したチームのコーチ同士という関係ほど緊張感の高まるものはない。アレキサンダー・ボルカノフスキーとブライアン・オルテガも例外ではなかった。ショーでお互いの神経を逆なでした後、彼らは全ての不満をラスベガス開催のUFC 266でぶつけることにした。こうして近年で最も記憶に残るフェザー級タイトルマッチが誕生したわけだ。最大のハイライトは、オルテガがマウントからギロチンをかけた第3ラウンドで、ボルカノフスキーも思わず王座陥落を覚悟したことだろう。それでも、彼は懸命にタップを拒んだ。続いてオルテガはたたみかけるように彼のトレードマークといえるトライアングルチョークを仕掛けたが、再びボルカノフスキーがすり抜け、逆襲に転じた。“ザ・グレート”はもう少しでオルテガを第3ラウンドで仕留めるところだったが、“Tシティ”も気力で食らいつき、第5ラウンド終了まで戦い抜いた。最後にスコアで決着が付き、敬意が払われた。ボルカノフスキーは誰の目にも明らかな世界一のフェザー級として認められたのだ――少なくともこの一夜は。

ドミニク・レイエス対イリー・プロハースカ(UFCファイトナイト・ラスベガス25)



イリー・プロハースカとの対戦を積極的に希望する者はそれほど多くなかった。チェコ出身の彼は2020年のUFCデビュー戦でヴォルカン・オーズデミアに強烈なノックアウトを決めている。一方、ドミニク・レイエスは死に物狂いで勝利を必要としていた。復活を果たした“ザ・デバステーター”は、2020年に手に入れかけたライトヘビー級タイトルへの軌道を修正しようと意欲をみなぎらせてメインイベントに臨んだ。205ポンド級同士による重いパンチの応酬となり、メインイベントらしく、それぞれがベストショットで相手を痛めつけた。最後はプロハースカが第2ラウンドで驚異のスピニングエルボーを放ち、レイエスはマットに倒れ込んだ。不気味さと素晴らしさを両方含んだフィニッシュで、プロハースカはこれでタイトル挑戦の最前列に席を得た。

ピョートル・ヤン対コーリー・サンドヘイゲン(UFC 267)



いくつか異例の要素が働いたことによって実現したピョートル・ヤンとコーリー・サンドヘイゲンのマッチアップだったが、サンドヘイゲンは2021年2月にきれいなフライングニーを決めてフランキー・エドガーをノックアウトしており、対戦は時間の問題だろうという見方が大勢だった。この時のヤンは王者で、アルジャメイン・スターリングとの初のタイトル防衛戦を控えていた。ところが、この試合でヤンは違法なニーによって失格となり、ベルトを失ってしまう。年の後半にリマッチが予定されていたのだが、スターリングは予定の1カ月以上前にケガによる欠場を発表。サンドヘイゲンはT.J.ディラショーに僅差の敗北を喫したばかりだったが、ディラショーが短期で試合に出られる体調ではなかったため、彼がヤンへの暫定王座挑戦権を得ることになった。

このような流れで2人のバンタム級はアブダビで5ラウンドにわたる打撃ショーを繰り広げることになった。サンドヘイゲンは第1ラウンドから気迫あふれる攻撃を見せ、多くの人々をとりこにするボリュームと多様性を見せつけた。試合が展開するにつれてヤンもうまい組み立てを見せ、適切なアジャストによって流れを完全に自分の方へと引き寄せた。最終的にジャッジが勝者と認めたのは“ノー・マーシー”ことヤンで、近いうちにスターリングとバンタム級王座を統一するリマッチの機会を与えられるだろう。
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