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アンチエイジングの星ロビー・ローラー、猛威復活中!

 

ブラッド・ピット主演の2008年作品『The Curious Case of Benjamin Button(邦題:ベンジャミン・バトン 数奇な人生)』は、老人として生まれた主人公が誕生日を迎えるたびに若返っていく物語だった。アメリカン・トップチーム(ATT)のコーチ、カミ・バルジーニに言わせれば、この映画はもしかするとUFCウエルター級チャンピオン、ロビー・ローラーの物語だったのかもしれない。

「ローラーは試合のたびに若返る」とバルジーニは語っている。「長年コーチ業をやっているが、こんな選手は見たことがない。この男はもう14年も戦ってきたのに、今でも新人のように練習をしている。あり得ないほどに勤勉すぎる。異常だよ」

 


33歳のローラーは最年長のUFC王者というわけではない。上にはまだ、ファブリシオ・ヴェウドゥムやダニエル・コーミエ、ホリー・ホルムがいる。ただ、ローラーのUFCデビューは2002年だったことから、経験年数で言えばかなりのベテランではある。年をとり、経験を積んでも、彼の情熱は当時のままだ。

「ずいぶん長くやってきたけれど、これが自分の仕事だし、大好きなんだ。いつかUFCのチャンピオンになれると、ずっと信じていた。そして今回の防衛戦も、前回と同じように、うまくいくと信じている」と話すローラー。

多くのUFCファンが大みそかの遊び疲れを癒やしている頃、ロビー・ローラーとカーロス・コンディットは激戦の準備を整えて、米国時間1月2日(土)にラスベガスで開催されるUFC 195でウエルター級タイトル戦に臨む。

2015年7月にローリー・マクドナルドを迎えて挑んだ防衛戦が2015年のファイト・オブ・ザ・イヤー当確と目されるローラーにとって、期待の集まる今回のメインイベントもファイターとしての重大な分岐点になりそうだ。2013年、UFCのストライクフォース買収に伴いUFCに復帰したローラー。それ以来、毎回厳しい試合を重ねてきたが、それにしてもコンディットは大変な強敵となる。

「コンディットはいつも体調が万全で、しかも何でもできる選手だ」とローラーは分析する。「その上、世界最高のトレーニングチームに所属しているから、優れたゲームプランも練っているはずだ。とにかく相手は常にフィニッシュを狙ってくる絶好調のアスリート。当然、タイトル奪取を目指してくるだろう」

前回タイトルを狙われたときには、格闘技史上に残るハートむき出しのベストファイトで迎え撃った。もっともローラーは、あの試合は見た目ほどには残酷なものではなかったと言う。

「ローリー・マクドナルド戦では特に痛みを感じることはなかった。すごい経験ではあったし、顔をボコボコにされたけれど、自分はとても楽しんでいたんだ。試合に集中し、どうすれば勝てるのか、どうすればローリーにダメージを与えられるのかを考えていた。称賛の言葉をもらえるのは嬉しい。あの試合はUFC史に残る大舞台で行われた。その一部になれたことも素晴らしかった」

アイオワから南フロリダに転居して以来、ローラーのキャリアは完全に復活した。フロリダの太陽のおかげなのか、新しい環境が良かったのか、とにかく転居後の出来事がローラーにプラスに働いていることは確かなようだ。

「ここは素晴らしいチームなんだ」とローラーはATTの様子を明かしている。「コーチのおかげでいい準備ができるし、トレーニングパートナーのおかげで油断もしなくてすむ。必要なものがここには全部ある。みんなに押し上げてもらって、ここまで来ることができたんだよ」

コーチのバルジーニいわく、ローラーは典型的な格闘技の求道者であり、そんな人がたまたま同時に世界最強だっただけのことだという。

「ローラーが加入してくれて本当に良かった。ローラーの熱心さはありえないほどだ。さっきも言ったように、ローラーは日に日に若返っていく。若い選手ともうまくやっているし、ベテランともうまくやっている。謙虚なチャンピオンだ。別に大きな出来事が起きるわけでもない。ローラーはただ、プロフェッショナルなんだ」

 


“プロフェッショナル”という言葉はローラー自身が元チームメートのマット・ヒューズの話をするときに使う言葉でもある。ヒューズは、かつて圧倒的な強さを見せた元UFCウエルター級チャンピオンで、UFC殿堂入りも果たしている名選手だ。

「僕はマットのそばにいつもいて、試合の前や後にインタビューを受ける姿をずっと見てきた。そのことが、チャンピオンとしての今の自分にとても役に立っている」と振り返るローラーは「マットはメディア対応の面でも、UFCとのつきあい方でも、本当のプロだった。頼まれたことは何でも引き受けていたんだ。UFCのチャンピオンになると、いろいろなことが付随してくる。なかにはあまり気が乗らないこともあるんだが、それもチャンピオンだけが経験する栄光の一部分なのかなと思っている」と続けた。

“ルースレス(無慈悲)”ことロビー・ローラーの人生はATT移籍によって一変した。移籍前、ローラーは自らファイトチームを主宰していた。それが今ではATTオーナーのダン・ランバートとヒカルド・リボーリオが任命した司令官のもとで、一兵卒としての日々を過ごしているのだ。

「いつ練習するのか、何の練習をするのかは指令が出る。僕は言われた通りのことをするだけさ」と話したローラーは次のように付け加えている。

「みんなの共同作業なんだ。試合の戦略立案には自分も口を挟むけど、みんなでアイデアを出し合い、映像を見て、最高のゲームプランを練る。自分がチャンピオンでいられるのは、彼らが適時、助けてくれたり、押し上げてくれるからなんだよ。オレはこれからも彼らの言うことを聞く。彼らはこれまでも素晴らしいゲームプランを立ててくれた。お互いに高め合っているんだ」

ここに至るまでにはローラーにも暗い忍耐の時代もあった。連敗がみっともないことだと思われていた頃のことである。しかし、当時の状況に即せば、総合格闘技の創世記というのは勝つことと生計を立てることの両立が難しい時代だったのだ。

「確かに厳しい時代もあったけれど、オレはそんな時代にも、いつも希望を感じていた」とローラーは語る。「悪いときにも、他人を責めることはなく、どうすれば強くなれるのかだけを考えようとしていた。環境のせいにせず、いつも強くなろうと努力をして、自分を信じていたからこそ、今の復活なり、再生なりへの道が開けたんだと思う」

バルジーニはローラーにはまだ潜在能力を全開にしていないと述べている。

「まだまだ強くなれる。ローラーはまだこれから、誇るべきレガシーを作っていくことになるだろう」

ローラーに言わせれば、レガシーには戦績に現れる数字以上の意味がある。

「タフなファイターとしてのレガシーを残したいんだ。負けたとしても、自分を信じて復活してくる。そして、自分こそがチャンピオンであることを知らしめる試合を重ねてゆく。けして言い訳はしない。そんな選手としてのレガシーを残していきたい」