ユライア・フェイバーの印象はシンプルだ。UFCでは3度タイトル戦に出場し、3度とも負けている。頂点に立ったことのないフェイバーのキャリアを客観的に見る人も多い。しかし、フェイバーにとってUFCのベルトを手に入れることは、長年に渡る活躍の集大成となる最後のパズルピースとなるのだ。 「2003年までUFCで一番軽い階級が170パウンド(約77kg/ウェルター級)で、年に3回しかイベントがなかったことに気付いて欲しい」とフェイバーは語る。「(他の団体で)自分の階級のベルトを獲りに行ったんだ」 2006年には、WECを筆頭に3つの団体でタイトルを同時に保持したフェイバー。日本時間6月5日(日)に開催されるUFC 199で対決する長年のライバル、ドミニク・クルーズを下してバンタム級王座を手に入れ、自身のコレクションにUFCタイトルを追加したいところだ。 相手はUFCタイトル戦で負けなしのクルーズ。もちろん、ラスベガスの下馬評では圧倒的な支持を得ている。そんなクルーズの支配力を脅かす存在がいるとすれば、フェイバーだろう。 クルーズを下したことのある唯一のファイターがフェイバーであり、多くの角度からクルーズを攻め崩し、頂点を極められると考えている。 クルーズが判定で白星を飾った前回対決を振り返ったフェイバーは「オレとクルーズの前の試合を見ていたら分かると思うけど、打撃を当てることは問題じゃなかった。リーチは今までも大丈夫だったし、フットワークについて何を言おうが勝手だけど、リーチは気にならなかったよ」と述べた。 フェイバーは間違っていない。前試合にユナニマス判定で負けているものの、クルーズからダウンを奪う場面もあった。試合はクルーズが通常通りのパフォーマンスを見せ、プロ22試合にして21勝目を挙げている。
議論となるのが、今回の対決が前回と異なる点だろう。 クルーズより年上のフェイバーだが、クルーズの方が身体的にボロボロだと考えているようだ。1月に行われたT.J.ディラショーに判定勝ちした試合で、第5ラウンドを戦うのが精いっぱいであったクルーズを見ると否定できない。 「ドミニクの体は多くのダメージを受けているし、調子が合っていないように見える」とフェイバーはコメントした。「良い年の取り方をしていない。オレは良い感じに年を取っているし、コンディションも今までで一番良い状態だよ」 いくらフェイバーがクルーズの体が退化していると考えようと、王座を勝ち取るのは気持ちだ。しかし、それはフェイバーが保持するもう一つの利点でもある。分析力を武器に試合中の調整を得意とするクルーズに対し、フェイバーは本能を使って勝負する。それを証明するのが41試合をこなしてきた経験値だ。 残りはフェイバーのみが知るクルーズを倒す秘けつだ。それはUFCファイトナイト・ボストンで、元チームメイトのT.J.ディラショーがクルーズと対決した際に浮上した。 フェイバーはディラショーが勝つための条件を理解していたと説明し、ディラショーがチーム(ジム)を変えていなければ正確な情報を教えることができたとコメントした。 果たしてフェイバーが“ザ・ドミネーター”ことクルーズを倒す条件を本当に理解しているかどうか、その結果は決戦当日に判明する。 UFC 199関連情報:ニコニコ生放送で全試合完全生中継!