日本時間11月20日(日)、 ブラジル・サンパウロにあるジナージオ・ド・イビラプエラで行われたUFCファイトナイト・サンパウロにおけるメインカードの試合レポート。
バンタム級 5分3ラウンド
トーマス・アウメイダ vs. アルベルト・モラレス
ブラジルの希望の星、アルメイダは5月、コーディ・ガーブランドに1ラウンドKO負け。デビュー以来の連勝を20で止められてしまった。現在ランキングは11位。
対する米国のモラエスは、前回のUFCデビュー戦でアレハンドロ・ペレスとドロー。戦績は6勝無敗1分となっている。
1ラウンド、両者オーソドックス。じりじりと距離を詰めるアウメイダに対し、モラレスもジャブや右ストレート、インローで迎撃する。やがてモラエスの蹴りに合わせてアウメイダの右ストレートがヒット!ぐらつくモラエスにさらにアルメイダの右が当たると、モラエスは片足タックルに入り、倒すことに成功。立ち上がるアルメイダの背中に飛び乗ってチョークを仕掛けるが、モラエスはそれを引きはがして降りほどく。
再びスタンドでアルメイダがラッシュをかけると、モラエスもフックを強振して反撃。アルメイダを下がらせる場面があったが、距離を取ったアルメイダはさらに強烈なアッパーを当てていった。
2ラウンド、距離を詰めるアルメイダは、回ろうとするモラエスの逃げ道を塞ぐように左フックをヒット!さらに強烈な右を当ててモラエスを棒立ちにさせると固め打ち。モラエスが崩れ落ちたところで1分37秒、レフェリーが試合を止めた。
「サンパウロで試合ができて最高だ。前回の試合は良くなかったけど、やっと戻って来ることができた。相手はタフだったけど、僕は肉体的にも精神的にも万全だった」と語った。
女子ストロー級 5分3ラウンド
クラウディア・ガデーリャ vs. コートニー・ケイシー
ランキング1位のガデーリャは、絶対王者ヨアンナ・イェンドジェイシェクの唯一のライバルと言える存在。7月のタイトル戦では、前半はグラップリングで王者に対して優位に立ったものの、後半盛り返されて5ラウンド判定で惜敗している。
対するケイシーは、前回ランダ・マルコスから見事な腕十字で勝利して2連勝をマーク。敵地ブラジルで大物刈りを狙う。
1ラウンド、両者オーソドックス。リーチに勝るケイシーはジャブで距離を取るが、ガデーリャは身体を振りながらパンチで中に入ってゆく。やがてケイシーの右に合わせてガデーリャが豪快にダブルレッグでテイクダウン! ガデーリャは上からパウンドを放ち、またパスを狙うがケイシーは下から足を効かせ、またアップキックを放ちなかなか攻撃を許さない。一度ケイシーを立たせたガデーリャが再び組み付いてのテイクダウンを狙うと、逆に投げ返すケイシー。しかしその勢いを利用してガデーリャが上に。そのまま上のポジションをキープした。
2ラウンド、ケイシーを金網際に詰めたガデーリャが、再びダブルレッグでテイクダウンに成功。しかしケイシーは下から足を狙って立ち上がる。スタンドで前に出るケイシーだが、そこでガデーリャはまたしてもカウンターのテイクダウンを決める。有効なパウンドを当てることはできなかったガデーリャだが、上の体勢でラウンドを終えた。
3ラウンド、またしてもガデーリャのダブルレッグが炸裂。しかしケイシーはすかさずエビで距離を取ると、ガデーリャは深追いせずに後退、と思いきや何と立ち上がりかけたケイシーの顔面に思い切りサッカーボールキック! たまらず倒れこんだケイシーに対し、すぐに反則と気付いたガデーリャは謝罪するが、ここで試合が中断された。
スロー再生で、蹴りは額をかすめた程度であるように見えたせいか、減点なしで試合が再開。ガデーリャは前に出てワンツーを当て、組み付いてテイクダウン。ハーフで抑え込むが、ケイシーに距離を取られるとすぐに自ら立ち上がった。その後ガデーリャはもう一度テイクダウンに成功。最後はマウントから肩固めを極めかけたところで試合が終了した。
判定は3-0 (三者とも30-27)でガデーリャに。浮かない顔で勝ち名乗りを受けた勝者は、涙声で「私は練習のためにブラジルを出たけど、この国を愛している。この試合を生まれたばかりで心臓の手術を受けた友人の娘に捧げたい。あの蹴りに関しては彼女に謝りたい。立ち上がったところでボディを蹴るつもりだった。キツい減量をしてきたはずだから。今日の試合には満足でいない。相手のケイシーに感謝したい。彼女はランキングに入るべき選手。私はトップの選手と思っている」と語った。
ミドル級 5分3ラウンド
ターレス・レイチ vs. クリストフ・ヨトゥコ
レイチは前回、柔術黒帯の本領を発揮してクリス・カモージをチョークで仕留め、連敗を2で止めてみせた。現在ランキング11位。対するヨトゥコは前回タンデム・マクローリーに1ラウンドKO勝利を挙げて4連勝。上昇気流に乗っている。ランキングは現在15位だ。
1ラウンド、サウスポーで距離を取るのヨトゥコに対し、レイチはオーソドックスから距離を詰めて組み付くことに成功。しかしヨトゥコは差し返して振りほどくことに成功。さらに前に出るレイチは、ヨトゥコの蹴りに合わせてダブルレッグでテイクダウンに成功。ハーフガードで胸を合わせて抑え込むが、ヨトゥコはリバーサル。レイチはそれに合わせて腕十字を狙うが、ヨトゥコはエスケープして上を取った。レイチはそこからハーフガードを作ってのスイープを狙うが、ヨトゥコはバランスを保ってみせた。
2ラウンド、レイチは組み付きに行くがヨトゥコは振りほどく。それでもしつこく組み付いて差すレイチに対して、ヨトゥコは投げて上に。レイチのハーフガードを防ぎ、やがてフルガードの中に入るとレフェリーがブレイクを告げた。
再開後、動きの落ちたレイチに対し、今後はヨトゥコが双差しからテイクダウン。ハーフ上でバランスを保ち、細かいパウンドを入れていった。
3ラウンド。レイチは再び差してのテイクダウンを狙うが、またしてもヨトゥコが上に。レイチはハーフガードから脇を差してのスイープを狙うが、ヨトゥコは上から差し返して許さず、パウンドを落としてゆく。今後はレイチはバタフライからのスイープを狙うが、ヨトゥコはこれもうまくバランスを保って対応。最後は強烈なパウンドを落としていった。
判定は3-0(29-27, 30-27, 30-27)でヨトゥコに。レイチ得意のスイープを見事なバランスで切り返して勝利したヨトゥコは「最高の気分だ。この試合に向けてハードに練習してきた。タイに行き、その後アメリカントップチームで練習したんだよ」と語った。
ウェルター級 5分3ラウンド
ワーレイ・アウヴェス vs. カマル・ウスマン
TUFブラジル覇者のアウヴェスは、前回ブライアン・バーバリーナに判定負け。デビュー以来の連勝を10で止められてしまった。対するウスマンは7月にアレキサンダー・ヤコブレフに判定勝利し、UFC登場以来3連勝を挙げている。
1ラウンド、両者ともオーソドックスからジャブを付き合う。ジャブを中心にプレッシャーをかけるウスマンに対し、アウヴェスは回りながらカウンターのローや右ストレート、右ミドルを当てる。終盤は前に出たウスマンが左右の連打を当てた。
2ラウンド、距離を詰めたウスマンは組み付いてのテイクダウンを狙うが、アウヴェスはディフェンス。さらに前に出続けるウスマンは、ラウンド後半、回るアウヴェスの逃げ道を防ぐように左フックを効かせて、アウヴェスを金網に詰めて連打。脱出したアウヴェスだが、その後もウスマンがプレッシャーをかけ続ける展開が続いた。
3ラウンド、動きの落ちたアウヴェスを金網際に追い詰めたウスマンは、もろ差しからテイクダウン、上から細かいパンチを落としてゆく。しかし金網を背に立ち上がったアウヴェスは、さらにテイクダウンを狙って来るウスマンにカウンターのギロチン!
しかし、このアウヴェスの必殺技への対策は十分にしてきたというウスマンはやがて頭を抜くことに成功。上からパウンドを放って行く。やがてウスマンはクルシフィックスでアウヴェスの両腕を捕らえてパウンド。さらに肩固めの体勢に入るが、アウヴェスは試合終了まで耐え抜いた。
激闘の判定は3-0(29-27, 30-26, 29-28)でウスマンに。勝者は「僕はフィニッシュできないと言う連中がいるけど、このUFCで戦っている男達はみんなタフなんだ。今日は強いストライカーに対して、僕も打撃で戦えることを見せたんだ。僕はこの階級で一番のグラップラーだ。デミアン・マイアは今まで素晴らしい戦績を残して来たが、僕がベストだ。ぜひ戦わせてほしい。1ラウンドで仕留めてやるよ」とアピール。しかしそこでスクリーンに映し出された客席のマイアは、まったく関心を示さずにスマホをいじっていた。
ウェルター級 5分3ラウンド
セルジオ・モラエス vs. ザック・オットー
ブラジリアン柔術黒帯世界王者のモラエスは、前回ルアン・チャガスとドロー。UFC では4勝1敗1分という好成績を残している。
対するオットーのほうは、前回ベテランのジョシュ・バークマンを判定2-1で下し、UFCデビュー戦を勝利で飾ったところだ。
1ラウンド、オーソドックスのモラエスに対し、スイッチを繰り返すオットー。オットーが前に出た所で、その前足を掴んだモラエスがテイクダウンに成功。モラエスはオットーのガードの中からパウンドを当て、片足を抜いてハーフに。その後オットーはガードに戻したものの、モラエスが上の優位な体勢を保ったままラウンドが終了した。
2ラウンド、オットーはスタンドでプレッシャーをかけるが、モラエスも豪快な右ストレートや、カウンターの左フックをヒットする。ラウンドが進むにつれ、オットーが、距離を詰めてワンツーを当てる場面が増えていき、モラエスはときにテイクダウンを狙うがオットーに振りほどかれた。
3ラウンド。セコンドにハッパをかけられたモラエスは前に。さらに右を当てると、オットーのカウンターのタックルを潰して上に。そこからパウンドを落とすが、オットーは後転して立ち上がる。オットーはワンツーでプレッシャーをかけてモラエスを下がらせるが、モラエスも右を当てて反撃。終盤は打ち合うが、お互い決定打のないまま試合を終えた。
一進一退の攻防の判定は 2-1 (28-29, 30-27, 30-27)でモラエスに。苦しみながらも祖国で勝利を得たモラエスは「いい試合だったけど、前回もドローだったし、ジャッジがどう見るかは分からない。今後は試合を判定に持ち込まれないようにするつもりだよ。柔術の腕ももっと磨かないと。サンパウロ、ありがとう!」と語った。