ニュージャージー州の総合格闘技界における最高の手本として、UFC元ライト級王者であり現在はフェザー級で戦っているフランキー・エドガーの言葉は、特にこの州で大きな影響力を発揮している。
日本時間31日(日)に開催されるUFCファイトナイト・ニューアークのメインカードに出場するバンタム級の期待の星、ジミー・リベラがエドガーに初めて会ってのはかなり前であるが、ニュージャージー州ラムジー出身のリベラにとっては、自身のあこがれる夢を実現した人物からの言葉は大きな励ましとなった。
リベラは「彼に会った時、“それでいいんだ。試合を重ねて、コツコツと続けいくんだ”と言われた」と語っている。
ニュージャージー州の労働者らしい信念にすっかり染まっていたリベラは、エドガーの言葉を聞いてさらに熱心に練習に取り組み、勝利を重ね、ついにはUFCに呼ばれるまでとなった。そして、昨年はオクタゴンで2勝を上げ、今や“ジ・アンサー”の愛称を持つエドガーとジムで顔を会わせている。
「5年半か6年もかかったけど、オレはフランキー・エドガーと一緒にトレーニングができるようになった。彼とスパーリングをしたり、他の仲間と練習に取り組んだりしている」
言うまでもなく、わずか7カ月の間に嵐のような出来事を経験したリベラは、いまだに少しばかり言葉を失っている。
リベラは笑いながら、「嵐はまだ収まっていないよ。今も信じられない気持ちだ。だから、頭を下げて、目の前の仕事に集中して、次の戦いに備えている」と話した。
ニューアークのUFCファイトナイトで対決するブラジル人ファイター、ユーリ・アルカンタラとの次戦は26歳のリベラにとってキャリアを変える大一番になるかもしれない。勝利を挙げれば、UFC戦績が3勝無敗となりバンタム級のランキングでトップ15入りする可能性も出てくる。そこからは、リベラ自身の夢をかなえるだけである。
UFCファイトナイト・ニューアーク【対戦カード一覧】
「1年に1試合ぐらい戦った程度で、オレはUFCのファイターだと名乗るつもりはない。戦い続けてチャンピオンベルトを取るためここにいるんだ」
同じ言葉を他のファイターが口にすれば、単なる気の利いたセリフにしかすぎないだろう。しかし、昨年6月にUFCと契約した後、7月のマーカス・ブリメージ戦でTKO勝利を挙げ、11月のペドロ・ムニョス戦で判定勝利を収めたリベラにとっては、その言葉こそ彼自身がキャリアで実践してきたやり方である。それは、UFCで戦っている現在もしかり、5年前に出場したTUF(ジ・アルティメット・ファイター)シーズン14の予選でデニス・バミューデスに敗れた時にも当てはまっている。
プロデビュー以来、8勝1敗の成績を残していたリベラのUFC参戦の夢はスタートすらしないままに潰えてしまった。それでも、リベラは試合に出続け、所属ジムであるタイガー・シュルマンMMAのインストラクターも続けた。この2つをやり遂げようとする努力に終わりはなく、また、終わるわけがないのである。
マンハッタンの23丁目にあるタイガー・シュルマンのジムでヘッドインストラクターを務めるリベラは、「何の仕事をしているのかと聞かれれば、普通はインストラクターだと答えている。この仕事には前から情熱を持っていた。でも、10代の頃から競技を始めて18歳で試合に出るようになった。というのも、自分がどこまでやれるか見てみたいと思ったからね。オレの目標はタイトルマッチに出場してチャンピオンになることだよ」と明かした。
TUFシーズン14の予選敗退後、リングに戻ったリベラは戦い続けながら勝利を重ねていく。しかしながら、UFCからの招集はない。そして今から1年前、通算成績を15勝1敗としたリベラが3月にアトランティックシティで開催される試合に向けて準備していたところ、試合がキャンセルされる憂き目に遭う。しかし、次の一戦で何もかもが変わった。
リベラは当時を振り返り、「(2015年)3月の試合に向けてトレーニングをしていたんだけど、何かが起きて5月に延期された。その試合がカーソン・ビービ戦だ。自分の仕事にとても集中できていたから、UFCに呼ばれれば戦う準備はできている、と話していた」と語った。
試合本番では評価が高かったビービを相手に16秒KO勝利を飾ったリベラ。1カ月後にはUFCのファイターとなり、スコットランドで行われるブリメージ戦に向けてトレーニングを積んでいた。それ以降、リベラの歩みを阻むものはなく、望み通りの道を歩んでいる。リベラのキャリアは間違いなく上昇気流に乗っているが、リベラ自身はグローブに刻まれたUFCの3文字に影響されることなく、ハードワークに励んだ努力の証である今の姿を楽しんでいる。
「UFCのファイターになると、それだけで得意になる人もいるけど、オレは謙虚な気持ちでいたいから、話題にしたり自慢したりしたくない。でも、誰かの励みになるような存在にはなれると思うから、もっと努力しようと思う」
実際のところ、リベラはすでに影響力を見せている。クリスマスの朝、教え子が次のファイトナイトのチケットを15枚買ったとメールで知らせてくれたという。自宅から25分の距離にあるプルデンシャル・センターで開催される、リベラのキャリアにとって最も重要な試合には数多くのリベラファンが詰めかけるだろう。短期間で出世街道を走ってきたリベラは一瞬一瞬を楽しみたいと語っている。
「地元の試合だなんて最高の気分だ。裏庭で戦うようなものだし、しかもメインカードだ。信じられない気分でものすごく興奮している。この感情を表現できる言葉が見つからないよ。試合に出て、自分の戦いを見せるだけだ」
リベラの言葉は、かつてUFCデビュー後の3戦目を地元の“ザ・ロック”ことプルデンシャル・センターで戦い、オクタゴンで偉業を成し遂げたもう1人のニュージャージー出身ファイターのような言い回しだ。そう、その選手こそ、フランキー・エドガーである。