
17日(日)夜まで、ハファエル・アスンサオはT.J.ディラショーを破った最後のファイターだった。また、負傷さえしなければUFC 173で当時のバンタム級王者ヘナン・バラオンとのタイトルマッチに挑んでいたはずだ。しかし、アスンサオが治療に励む間に、代役としてオクタゴンに上がった挑戦者が大方の予想に反してチャンピオンベルトを腰に巻いてリングを去って行ったのである。
この時の挑戦者、ディラショーがタイトルを奪った5カ月後にアスンサオは復帰するも、ディラショーがバンタム級を支配している間は外から見ているだけだった。2015年シーズンは足首の負傷に悩まされ続け、最終的には手術も強いられている。結局、1試合も戦えず、強豪がひしめくバンタム級で1年以上に渡り、すっかり目立たぬ存在となってしまった。
しかしながら、ボストンでドミニク・クルーズがバンタム級王座を奪還した試合を最前列で目の当たりにしたアスンサオは、オクタゴン復帰を目前にして今後のバンタム級の順位について自身の考えをはっきりと表明した。
UFC最新ランキング | ハファエル・アスンサオのプロフィール
クルーズがディラショー相手にスプリット判定で辛勝を収め、負傷による長期離脱ではく奪されたタイトルに返り咲いたボストンの一戦について、アスンサオは「テイクダウン以外はディラショーの方が少し有利だと思っていたけど、どっちにしても接戦だった。2人ともレベルが高い試合だったけど、オレはT.J.が優勢だと思った」とコメント。
このタイトルマッチが決着し、バンタム級ではアスンサオを含めた実力の高いファイターらの次の動きに注目が集まっている。
昨年12月に開催されたUFC 194でフランキー・サエンツ戦に勝利したユライア・フェイバーは、その後、ディラショーとクルーズそれぞれに対する競争心や緊張関係を利用しつつ、ボストンのタイトルマッチを制した勝者と戦う機会を得ようとアピールを開始。そして、クルーズの王座復帰を受けて“ザ・カリフォルニア・キッド”ことフェイバーは念願の元王者であり現王者のクルーズとの対戦に向け、強く働きかけている。フェイバーとクルーズの一戦はUFC 148のタイトルマッチで実現するはずだったが、クルーズの負傷により中止となった。
しかし、アスンサオは「なぜ、次の挑戦権を得るのがユライアなんだ?」と問いかけ、「タイトルマッチは接戦だったし、ユライアには今までに何度かタイトル挑戦のチャンスがあった。クルーズとも対戦経験がある。オレが間違っているかもしれないし、ファンはディラショーとユライアの試合を見たいと思っているかもしれないけど、正直な話、ユライアにとって素晴らしい対決にはならないんじゃないかな」と述べた。
「筋が通っているのは、あの試合(クルーズ対ディラショー)の再戦と、オレのユライア戦を実施するってことだ。オレはそういう風に見ているよ」
アスンサオとフェイバーは対戦経験があり、2人がまだフェザー級で戦っていた6年前にWEC 46でフェイバーが3ラウンドサブミッション勝利を挙げている。とはいえ、当時に比べれば今は何もかもが変わっている。
アスンサオは階級をバンタム級に変更して以来、ディラショーに勝ち、さらにはペドロ・ムニョスとブライアン・キャラウェイを破り、7戦無敗を誇っているものの、負傷で戦線離脱を余儀なくされている。15カ月も試合から遠ざかってしまったとはいえ、クルーズ以外ではアスンサオの連勝記録がいまだにバンタム級の最多記録である。したがって、彼にとってはこの記録にも意味がある。
「現時点で、ユライアがタイトルに挑戦するのは意味がないと思う。7連勝を飾っている世界最強の1人であるオレがいるじゃないか。すべての試合でフィニッシュを決めたわけじゃないが、それは気にしていない。対戦相手の質の高さを見てみろよ」
「ユライアとオレがもう1度対戦をするのが理にかなっている。ヤツは勝ったばかりだし、こっちは連勝中だ。ユライアは今でも世界最強のファイターの一人だし、ランキングではオレの1つ上だ。オレたちが戦うのが正しいし、それで結果がどうなるか見てみよう」
先週末のタイトルマッチの余韻が残っている状況であるため、アスンサオはUFCのマッチメーカーがオフィスに戻り、2度目の王座に就いた“ザ・ドミネーター”ことクルーズの天下をどのようにスタートさせるべきか、落ち着いて考える時間を与えるつもりだ。それでも、長く待つつもりはないと言う。
「今週末にUFCの連中と話をして、彼らがオレのために何を準備しているのか聞くつもりだ。ユライア戦の話がなければ、3月か4月に何らかの試合をしたい。トップ10クラスで何人か復帰戦にふさわしいファイターがいるけど、名前を言いたくはないな」
アスンサオがフェイバーについて語っているからといって、彼が勇んでオクタゴンに戻り、クルーズの初挑戦者になる気がないと一瞬でも考えるとすれば、それは大きな間違いである。
当然、質問されるまでもない話であり、アスンサオ自身も「もちろん、タイトルマッチのチャンスがあれば準備するさ」と笑う。「負傷明けのクルーズがオクタゴンでさび付いていないと証明したところだし、オレも気分は最高だよ。昨日は兄弟とレスリングをしたんだけど、当然ながらダウンを取るタイミングを思い出す必要があった。でも、チャンピオンベルト獲得に挑戦することになれば、準備はする」
「2週間ぐらい様子を見て、タイトルマッチの情勢がどうなるか見てみよう。クルーズがどんな様子なのか、ユライアとの話はどうなるのか、とかね。タイトル挑戦もユライアとの対戦もなければ、トップ10の誰かと戦うつもりだ。オレは謙虚な姿勢でいる」
次の対戦がどうなろうと、アスンサオのバンタム級に向けてのメッセージは同じである。
「UFCの決定がベストだってこと。それに、みんな分かっているんだ。“ザ・リトル・ガイ”が戻ってくる、ってね」