日本時間2017年2月20日(月)にカナダ・ノバスコシア州ハリファックスのスコシアバンク・センターで開催されたUFCファイトナイト・ハリファックスのメインカードの試合レポート
ミドル級 5分3ラウンド
ジョニー・ヘンドリックス vs. ヘクター・ロンバード

日本時間2017年2月20日(月)にカナダ・ノバスコシア州ハリファックスのスコシアバンク・センターで開催されたUFCファイトナイト・ハリファックス大会のセミ・メインイベントで元UFCウェルター級王者のジョニー・ヘンドリックスが登場し、ウェルター級、そしてミドル級で活躍する元キューバの柔道オリンピック選手でもあるヘクター・ロンバードとミドル級契約で対戦すると、3ラウンドに渡り賢い試合運びで相手の持ち味を完封し、1年ぶりの勝利を記録した。
試合後にヘンドリックスは「3ラウンドに入っても奴の一撃にはパワーを感じた。一発で試合をひっくり返す危険なファイターが相手となると、なかなか攻められるもんじゃない」と試合を振りつつも、3連敗後の勝利とあって嬉しそうな表情をのぞかせた。
どっしりと構えるロンバードに対し、ヘンドリックスは足を使って様子を伺っている。ヘンドリックスが左ミドルを繰り出すと、ロンバードは相手の蹴り足をつかんでテイクダウンを狙うがヘンドリックスはこれを振りほどく。残り時間1分30秒、ヘンドリックスのインローをキャッチしたロンバードがテイクダウンを成功させるがヘンドリックスはすぐに立ち上がる。ロンバードは相手を金網に押し込みながらテイクダウンの機会を伺うが、スタミナを考慮してかあまり無理はしていない。ダックアンダーでヘンドリックスの背後に回ったロンバードが離れ際に数発パンチを繰り出したところで第1ラウンドが終了した。
ロンバードがヘンドリックスのパンチに合わせて胴タックルで組み付くが、その後のヒザ蹴りがヘンドリックスの下腹部に直撃し、試合は一時中断される。ロンバードがパンチとともに距離を詰め、離れ際には右のフックを被せるなど圧力を強め始める。執拗に蹴り足をつかみにくるロンバードに対し、ヘンドリックスはローと見せかけたヒザ蹴りを何度となく命中させるがロンバードは意に介するそぶりも見せない。
積極的に右ジャブをついて得意の左に繋げたいヘンドリックスだがロンバードは動じない。しかしこのラウンドに入ってもヘンドリックスの左ヒザが何度もロンバードを捉えている。ロンバードは前に出続けるが、ヘンドリックスは足を止めずに手数でロンバードを突き放す。残り時間1分、ついに相手のヒザ蹴りをキャッチしたロンバードがテイクダウンを成功させるが、ヘンドリックスはバックを狙うロンバードを前に落とすと攻防をスタンドに戻すことに成功し、追いすがる相手を寄せ付けなかった。
ジャッジの判定は30-27、29-28、そして29-28だった。なおこの試合の結果、ジョニー・ヘンドリックスは18勝6敗、ヘクター・ロンバードは34勝7敗1分け1ノーコンテストとなった。
フェザー級 5分3ラウンド
サム・シシリア vs. ギャビン・タッカー

サウスポーのタッカーが素早いフットワークで切り込むが、シシリアは冷静にこれを押し戻す。タッカーが多彩で鋭いキックと、軸をずらしたストレートで何度も飛び込みを繰り返すと、シシリアは上手く距離を外して自身の右を繰り出す機会を伺っている。シシリアの右を警戒するタッカーは遠い間合いのキックを主軸に、近い距離でのパンチの打ち終わりには大きく相手の左に回り込み、シシリアのカウンターを封じ続けながら手数で大きく差をつける。
2ラウンドに入ってもタッカーのスピードが光る。タッカーの鋭い左インローとミドルの打ち分けにシシリアはなかなか距離を詰めることが出来ない。手数に差をつけられたシシリアは90秒が経過すると強引に距離を詰めようと試みるが、タッカーは鋭い出入りと横への動きに無数のキックを織り交ぜシシリアを寄せ付けない。ラウンドが終了し、コーナーに向かうシシリアはやりにくそうな表情を浮かべている
「多少貰っても前に出て仕掛けろ!」と檄を飛ばされたシシリアが必死に前に出て、ついにタッカーを金網に押し込み始めるが、タッカーは丁寧にこれを振りほどく。残り時間2分55秒、タッカーがシシリアの意表をついて両足タックルを成功させるがシシリアはすぐにこれを突き放して立ち上がる。残り時間2分30秒、タッカーもやや疲れが見え始め、両者の距離が近くなる。シシリアが豪快な左右を振り回すと、足の止まり始めたタッカーだがここも鋭いハンドスピードでシシリアに決定打を許さない。残り時間40秒、何度もシシリアのボディーを指さし予告しながら、ミドルと前蹴りを連発するタッカーが圧倒的な優勢を印象付けて試合を終えた。
ジャッジの判定を待つ間でもなく、自身の勝利を確信し金網に登ると観客を盛り上げた地元ハリファックスのギャビン・タッカーは自身のUFCデビュー戦を白星で飾り、その無敗記録を10勝0敗と更新した。試合後に「夢の実現だよ、だけどこれが俺の夢の終わりって訳じゃない。ここから登りつめるぜ!」と語ったタッカーはフェザー級戦線の台風の目になりそうだ。一方、最後までしぶとく戦い続けたサム・シシリアだがその戦績はこれで15勝8敗。シシリアは3連敗となり苦しい戦いが続いている。なお、ジャッジの判定は30-27のユナニマス判定だった。
ミドル級 5分3ラウンド
エリアス・セオドル vs. セザール・フェレイラ
ワイドスタンスのセオドルが跳ねるように前に出るが、フェレイラはこれをよく見て左ストレートを合わせている。2度ほどストレートを合わされたセオドルは少しペースを落として遠めの距離からキックを攻撃の主軸を切り替えるが、フェレイラはセオドルのキックの軸足にカウンターのローをを合わせるなど、冷静な戦いぶりを見せる。セオドルはフェレイラのミドルを被弾しながらもその軸足をつかんでテイクダウンを狙うがフェレイラはこれを振りほどく。1ラウンドはフェレイラの的確なカウンターが印象に残る。
テイクダウンを織り交ぜたいフェレイラは相手の前進を小さく回り込んで捌きながら、セオドルのキックをキャッチするとテイクダウンを成功させる。金網を使って立ち上がったセオドルは離れ際にパンチを合わせると、さらにフェレイラのスリップに乗じて両足タックルを成功させる。フェイレイラはセオドルの首をギロチンに捉えて締め上げるがこれは決まらない。フェレイラがセオドルを突き放して立ち上がるが、両者に疲労の色が見られ始める。
スピードの落ちたフェレイラにセオドルの打撃が当たり始める。フェレイラはカウンターを狙うあまり手数が少ない印象だ。残り時間3分、フェレイラが両足タックルを見せるがセオドルは容易くこれを突き放す。残り時間1分30秒、手数が少なく劣勢に回っていたかに見えたフェレイラが、セオドルのミドルをキャッチすると一気に両足タックルで突進!このテイクダウンを成功させると相手の背後に回り込みチョークを狙うがセオドルはこれを振りほどく。両者の攻防がスタンドに戻ったところで最終ラウンドが終了した。
ジャッジの判定は30-27、29-28、そして29-28で地元カナダのエリアス・セオドルを勝者として支持。この結果、セオドルはその戦績を14勝1敗と伸ばし、これまで3連勝と快進撃を続けていたセザール・フェレイラは12勝6敗と戦績を落とした。
女子バンタム級 5分3ラウンド
サラ・マクマン vs. ジーナ・マザニー
開始早々、強引な左右のパンチで歩くように前に出たマクマンが、金網際でマザーニに組み付くとひねりつぶすようにテイクダウンを奪う。マザーニは一度は金網に寄りかかるように立ち上がるが、背後からマザーニを制し続けたマクマンはすぐに相手をマットに投げつけると、すかさずポジションをマウントに進め、そのままがっちりと肩固めで締め上げる。1ラウンド1分14秒、オリンピック銀メダリストの完璧な肩固めに対し、マザーニにはタップ以外の手段は残されていなかった。
この勝利で女子バンタム級7位のサラ・マクマンは11勝3敗。試合後にマクマンは「これで2試合連続サブミッション勝利よ。あと一試合、トップランカーと戦ってそれからタイトルマッチはどうかしら?」と語り、会場のファンから声援を引き出した。3週間前のオファーでこの一戦に臨んだジーナ・マザーニは4勝1敗となった。
ライト級 5分3ラウンド
ポール・フェルダー vs. アレッサンドロ・リッチ

リッチが細かなジャブで前に出ようとすると、フェルダーがいきなり左フックを合わせてリッチをグラつかせる。リッチはフェルダーの距離感を崩すためか、すぐにスタンスをスイッチし始め中央に陣取り鋭いカウンターを繰り出す相手に様々な打撃を散らして攻略の糸口を探る。ラウンド中盤が過ぎるとフェルダーが鋭いワンツー、そして容赦のないカウンターでジリジリとリッチを下がらせるシーンが見られ始める。残り時間20秒、やりにくそうに横に回っていたリッチが意を決したようにジャブで出ると、フェルダーが強烈な左のヒジでこれを迎え撃つ!リッチはこの一撃で鼻骨を粉砕され金網際に頭を抱えてうずくまった。
1ラウンド4分44秒でこれまでフィニッシュ負けを喫したことのなかったアレサンドロ・リッチをTKOで粉砕した“アイリッシュ・ドラゴン”ことポール・フェルダーはこれで13勝3敗。一方、フル・トレーニングキャンプをこなし、万全の態勢で本戦に望んだ地元カナダのアレッサンドロ・リッチだったが、その願いもむなしくUFCではこれで2連敗。その戦績を10勝5敗と落とす結果となった。