
このスリリングな一戦をもう一度見たいって?UFCファイトパスでお楽しみください!
「俺はこの男を崇拝していたんだ。この男が史上最も偉大なマーシャル・アーティストなんだ。俺がアンタをどれほど尊敬しているかなんて計り知れない。俺が自惚れの強いガキの頃から俺はアンタになりたかった。アンデウソン、ありがとう」
28日(日)にロンドンのO2アリーナで開催されたUFCファイトナイト・ロンドン大会のメインイベントで、ミドル級7位の英国の人気ファイター、マイケル‟ザ・カウント”ビスピンがMMA界のレジェンド、アンデウソン‟ザ・スパイダー”シウバと対戦し、5ラウンドの激闘を戦い抜くと48-47のユナニマス判定で勝利。地元英国のファンの眼前で自身の夢の実現に勝利で華を添えた。
「何と言っていいのか分からないよ、この試合を人生を通じて欲してきたんだ。みんなが力をくれたおかげだ。泣きそうなんだ。俺もただの一人の男に過ぎない。みんながいつも俺を後押ししてくれた。ありがとう!」
英国マンチェスターのマイケル・ビスピンはこの勝利で29勝7敗となった。一方、ブラジルのクリチバの英雄アンデウソン・シウバは33勝7敗1ノーコンテストとなり、2012年10月のステファン・ボナー戦での勝利以来、3敗1ノーコンテストとまたもや白星に見放されてしまった。
サウスポーに構えたシウバはオーソドックスのビスピンの周囲をしばらく左にサークリングしながら、時折構えをオーソドックスにスイッチするそぶりを見せる。残り時間3分45秒、シウバがしっかりとサウスポーに構え直し、細かなフェイントを入れながら圧力を強め始めるが、ビスピンも素早くリズムを刻みながらシウバを押し戻す。ビスピンの右ハイをスウェーで交わすシウバ。ビスピンがワンツーで飛び込むと会場に大歓声が沸き上がる。突如シウバが圧力をさらに強め、猛烈なフェイントでビスピンを金網まで下らせるが、ビスピンはここも食い下がりシウバをオクタゴン中央まで押し戻す。残り時間45秒、シウバはガードを下げてビスピンを挑発するがビスピンはペースを崩されない。金網に背中をつけ体を左右に揺らしてビスピンのハイキック、そしてスピニング・バックキックをかわしたシウバは一瞬神に感謝の祈りをささげるジェスチャーを見せると一気に前に出る。ビスピンは金網際まで押し戻されながらもパンチで応戦!ビスピンの左右のフックがシウバを捉え、シウバがよろめいたところでスリリングな第1ラウンドが終了した。
第1ラウンド終盤の攻防で自信を得たビスピンが初っ端から前に出る。シウバは金網際で両腕を下げ棒立ちになり、ビスピンを誘うがビスピンは冷静に距離を取って試合の流れを作り直す。残り時間3分、ビスピンのプレッシャーにシウバが下がりながらの様々なジェスチャーで誤魔化すシーンが見られるようになる。残り時間1分30秒、シウバがじりじりとオクタゴンの中央に進み出てプレッシャーをかけ始めるが残り時間30秒、ノーガードの顎にビスピンの左フックを被弾し後方に倒れこむ!大歓声に後押しされ飛び込むビスピンをシウバは何とか蹴り離そうと試みるが、ビスピンが猪木アリ状態からパウンドを数発落とす中、第2ラウンドが終了した。
ラウンド序盤からビスピンがシウバを金網に詰める。シウバが前に出始めるとビスピンは細かなロー、右ヒザのフェイント、そして左右へのフットワークでシウバの正面に立たず、少しずつシウバを金網際に押し戻す。ビスピンの連打を警戒しているシウバは金網を背中につけてのウィービングは危険と判断したのかこれまでよりも早いタイミングでビスピンを押し戻す。残り時間2分15秒、蹴り足を取られたビスピンが打撃を嫌がり引き込むが、シウバはこれを深追いせずにスタンドでの攻防を選択。左のハイキックと共に大きく前に出る。運動量の落ちないビスピンだが、次第に下がるシーンが目立ち始める。残り時間45秒、シウバは左のキックで相手を正面に留め、細かなフェイトからのパンチを狙う。必死に右に回りこの窮地を逃れようとするビスピン。ビスピンがレフリーにマウスピースを落としたことをアピールすると、レフリーのハーブ・ディーンは「試合は終わってない、戦いなさい!」とビスピンに指示をだすが、その瞬間シウバが飛びヒザ蹴りで飛び込むと、この一撃がビスピンの顔面を捉えビスピンはダウン!この直後にラウンド終了のブザーが鳴ったため、自身のKO勝利と勘違いをしたシウバが金網に上って勝利を祝福するが、ハーブ・ディーンからの説明を受けたチームによってコーナーに戻される。
左目周辺から出血が見られるビスピンが左にサークリングするシウバを追うが、これまでの様なシャープな動きはみられない。両者の距離が詰まるとビスピンは素早い動きを取り戻し、細かなパンチでシウバを金網にくぎ付けするとシウバのローブローがビスピンの金的を直撃。試合は一時中断された。攻防が再開されると即座にシウバを金網際につめ、カウンターを恐れずに左右のパンチを繰り出すビスピン。カウンター狙いで棒立ちのシウバはハイライト・リールに残るようなフィニッシュを確信したのか最早オクタゴンの中央を取ろうともしていない。顔面から激しく流血しながらも集中力を切らさないビスピンが手数を繰り出すが、シウバを押し戻そうとしたビスピンの左手が相手の右目に入ってしまい、このラウンド2度目のインターバルが発生。残り時間1分30秒で試合が再開されると両者は互いに鋭いジャブを交換する。ビスピンの上体は細かく、そして素早く動き、前ラウンドでのダメージからは完全に回復したようだ。金網まで下がってのカウンターが難しいと見たアンデウソンは残り時間40秒で突如前に出始める。残り時間15秒、ビスピンを金網にくぎ付けにして左右のパンチ、そしてヒザも繰り出すシウバだが、ビスピンをとらえきれずに第4ラウンドの終了を迎えた。
最終ラウンドが始まると、シウバはこれまでとは逆に右に回りながらじりじりとビスピンとの距離を詰める。左目周辺からの出血が激しいビスピンは時折その目の周囲の流血をぬぐうそぶりを見せる。第5ラウンドに入っても両者の動きまったく衰えはみられない。残り時間4分20秒で一度ビスピンの傷口へのドクターチェックが入るが試合は続行され会場から喜びの歓声が上がる。残り時間3分10秒、金網際まで下がったシウバの前蹴りがビスピンの頭を跳ね上げ、ビスピンがよろよろと後ずさる。フィニッシュを狙い前に出たシウバが金網を背にしたビスピンに襲い掛かるがビスピンは鼻梁からのおびただしい流血にもかかわらず、細かなフェイントと回転の速いパンチでビスピンを押し戻す。残り時間1分25秒、ビスピンが意表を突くテイクダウンに飛び込むがシウバはこれを拒絶。残り時間45秒、前に出るビスピンからシウバはカウンターを狙っている。残り時間10秒、無理をしないと決めたのか、シウバが相手に背を見せて下がる中、第5ラウンド終了のブザーが鳴り響いた。
数度の決定的シーンを作り出しながらも、試合を通じてビスピンに前進を許したことで判定を落とした格好となったシウバは試合後に落ち着いた表情で英国や会場のファンとチームのメンバー、そして母国ブラジルに英語で感謝の言葉を述べた後、「何ができると言うのか。皆は試合を分かっているはずだ。自分は与えられたミッションを完遂したと思っていた。でもそうではなかったようだ」と語り、悔しさをにじませた。