日本時間10月9日(日)、イギリス・マンチェスターにあるマンチェスター・アリーナで行われたUFC 204のメインイベント、UFCミドル級タイトルマッチ、マイケル・ビスピン対ダン・ヘンダーソンの試合レポート。
【メインイベント】
ミドル級タイトルマッチ 5分5ラウンド
マイケル・ビスピン vs. ダン・ヘンダーソン
地元マンチェスター出身の王者ビスピンは今年6月、圧倒的不利と予想されるなかルーク・ロックホールドを1RKOに沈めて悲願の王座奪取。今回が初防衛戦を迎える。
その相手が今年46才となる鉄人ヘンダーソン。こちらも同じく6月にヘクター・ロンバートをヒジでKOして、ランキング13位ながらタイトル挑戦権を得た。両者は09年7月、TUFシーズン9のコーチ同士として対決し、その時にはヘンダーソンが必殺の右で一発KO。以来実に約7年ぶりの再戦となる。
1ラウンド、両者オーソドックス。オクタゴン中央を取るビスピンがジャブで距離を詰め、左ハイを飛ばすのに対し、ヘンダーソンは回りながら必殺の右を狙う。お互い警戒してジャブで距離を取り合う展開が続くなか、終盤ビスピンのジャブに合わせてヘンダーソンの右ストレートが炸裂! 倒れこんだビスピンに襲いかかりパウンドを連打するヘンダーソンだが、ビスピンはパンチを受けながらも下から抵抗を続け、鮮血で顔を染めながら立ち上がることに成功。このラウンドを生き延びた。
2ラウンド。無類のコンディションの良さを誇るビスピンは、早くもダメージを回復させたか変鋭い動きでプレッシャーをかけ、ワンツーや左ハイをヒット。対するヘンダーソンは、前ラウンドのラッシュで使ったスタミナを温存するためか、手数を出さずにサークリングして凌ぐ。やがてビスピンの右ストレートがヒットし、下がったヘンダーソンにビスピンがラッシュ。ヘンダーソンは回りながら防ぐ。
やがてさらに前に出たビスピンに、再びヘンダーソンの必殺の右がヒット! ダウンしたビスピンにヘンダーソンはパウンドの連打へ! しかしビスピンはヘンダーソンをガードの中に入れてヘンダーソンの身体を抱えて凌ぐ。ビスピンが下から打撃を放つなかでラウンドが終了した。
3ラウンド、気力充実のビスピンは変わらずプレッシャーをかけ、インローやワンツーをヒット。ヘンダーソンは下がりながら必殺の右の機会を狙う。無数のフェイントをかけながら、左のロー、ハイ、前蹴りと蹴り分けるビスピンは、さらにワンツーをヒット。ヘンダーソンは右を振り、さらにタックルを狙うがビスピンは距離を取る。その後もフェイントをかけながら前に出るビスピンが細かい打撃を当てる場面が続く。ラウンド終了寸前、またしてもヘンダーソンの右が火を吹くが、今回は見切っていたビスピンは距離を取りクリーンヒットを回避してみせた。
4ラウンド、距離を詰めるビスピンは、両手両足でフェイントを交えながら細かい打撃を当てる。やがてビスピンのインローがヘンダーソンの股間に当たって試合が中断した。再開後、息を整えたヘンダーソンはジャブから右を放つがビスピンはかわす。対するビスピンは関節蹴りや細かいパンチを当ていった。
5ラウンド。じりじり距離を詰めるビスピンに対し、ヘンダーソンはカウンターの膝蹴りを放ち、さらにジャブから前に出て右を狙う。さらに前に出るヘンダーソンにビスピンがワンツーを当てる。さらに両者の右が交錯。突進したヘンダーソンはダイブしてのニータップ・テイクダウン! ビスピンを倒すことに成功するが、ビスピンもすぐにスクランブルで立ち上がる。
残り1分を切ると、さらにヘンダーソンはシングルレッグに入るがビスピンは切る。残り10秒、ビスピンが飛び膝蹴りを放つと、ヘンダーソンも最後のスタミナを使い果たすが如く浴びせ蹴りに。これをかわしたビスピンが下になったヘンダーソンにパウンドを放つなか、試合は終了した。
46才にして二度までも必殺の右を炸裂させ、さらに5ラウンドを戦い抜いてみせたヘンダーソン。それを耐え抜いて手数で大いに上回ってみせたビスピン。死力を尽くした両者による大激闘の判定は3-0 (48-47, 48-47, 49-46)でビスピンに。ヘンダーソンがフィニッシュ寸前まで追い詰めた第1ラウンドを含め、全ラウンドを10-9でどちらかに付けるジャッジのあり方には疑問の余地が感じられたものの、 王者ビスピンが地元で初防衛に成功するとともに、7年越しのリベンジを果たした。
勝者ビスピンは「まずなにより、ダン・ヘンダーソンを称えようじゃないか! この男は凄い。あの年で俺のことをぶちのめしたんだ。グッドジョブだ。いろいろと罵倒はしたけど、この男はリスペクトに値するレジェンドだ。そしてマンチェスターのみんな! 皆の応援は本当に嬉しかったよ。たった6分間で売り切れになったその事実が全てを示している。ありがとう! 心の底から大好きだ。みんなヘンダーソンはナンバーワンコンテンダーじゃないと言っていたけど、この男は前回俺を完全KOしたんだぜ。だから試合までは本当に緊張したし、実際俺のこのボコボコの顔を見てくれよ。こういうことができる男なんだ。この男と戦うには大いに勇気が必要だったよ」と語った。
敗れたヘンダーソンは「今回が僕の最後の試合だよ。これまでみんな応援してくれてありがとう。このスポーツが大好きだ。この試合を実現させてくれた全ての人、チャンスをくれたマイケル・ビスピンに感謝したい。最後の試合がタイトルマッチだ。勝てなかったけど、年寄りにしてはいい試合だっただろ。ジャッジが試合後の顔を見て判断してくれれば良かったんだけどね」と、事前に語っていた通り引退を表明した。