2011年7月にドミニク・クルーズがUFCで初めてバンタム級タイトル防衛に成功した頃、トーマス・アウメイダは弱冠19歳、プロ格闘家としての戦績は何も有していなかった。しかし、今や同級ランキング7位につけるアウメイダは世界最大のステージで頂点を夢見るまでに成長している。 24歳になったアウメイダはチームメイトから“トミーニャス”あるいは“トト”の愛称で親しまれ、日本時間5月30日(月)に行われるUFCファイトナイト・ラスベガスのメインイベントでコーディ・ガーブラントと対戦する。あと1勝を挙げればバンタム級で高位置につけることは確実だ。そうすれば長らく夢見たタイトルマッチのチャンスにまた一歩近づける。
アウメイダにとって物事はいつもあっという間に起きていく。まだ年齢は若いが、すでに21勝を記録し、そのうち16勝はノックアウトで決めている。アイドルのマイク・タイソンに褒められ、2015年7月に挑んだブラッド・ピケット戦を終えて記念撮影もできた。UFC会長のデイナ・ホワイトも常々アウメイダを褒め称えている。 アウメイダがオクタゴンデビューを果たしたのは2014年11月。この時の試合はティム・ゴーマンをユナニマス判定で下している。それからの3試合はすべてノックアウトを決め、いずれもパフォーマンス・オブ・ザ・ナイトのボーナスも獲得した。 アウメイダのコーチでメンターのディエゴ・リマは「彼の目標はできるだけダメージを与えること」と語る。 UFCファイトナイト・ラスベガス関連情報:アウメイダ対ガーブラント | 試合の模様はニコニコ生放送で完全生中継 | 対戦カード一覧 とはいえ、アウメイダがオクタゴンの中で天才と呼ばれるための準備は随分と前、13歳の頃にスタートしている。サンパウロの街を歩いていた時、自宅近くで開かれていたムエタイ教室に初めて興味を持ったという。柔術を習っていた父親を説得し、ジムに通わせてもらったそうだ。 「6カ月、トレーニングして、そこで自分の人生をかけてやりたいことが見つかったと気づいた。それから、ムエタイのプロファイターになるための練習をスタートしたんだ」と明かすアウメイダ。 他の若きファイター同様、学校に通わなければならなかったアウメイダにとってジムで過ごす時間は制限されていたが、それも長くは続かない。息子の熱心さに気づいた母親のルシラ・ピントさんが世界で一番のファイターにさせてやりたいと思い、キャリアを後押ししたのだ。 「勉強は続けてほしかったのですが、戦うことが息子の願望だと気付いたんです。トーマスはいつも自分には正直なので、そんな子を誰が疑えますか?」とルシラさんは振り返る。 ではどんな解決策が採られたのか? 彼女は息子を定時制の学校に転校させたのだ。 【初めてのバトル】 13歳でムエタイの練習を始めたとはいえ、トーマス・アウメイダは9歳の頃に初めてのビッグファイトを経験している。もちろん、プロの試合ではない。ただのケンカだが、それでもアウメイダのチャレンジを恐れない精神は証明された。 アウメイダが通う学校に、いつも食べ物を盗んだり、他の子供をいじめたりする生徒がおり、いじめの対象にはアウメイダも含まれていた。親の介入を嫌ったアウメイダはある解決策を見いだす。 母ルシアさんは「勇気を出してその子の“アソコ”を蹴ったんです。相手の生徒ははるかに背が高く、父親は柔道のチャンピオンでした。トーマスは小さいながらも勇敢です。その後で2人が仲良しになったのには笑いましたし、その子は今でも私の家に遊びに来てくれます」と明かした。 アウメイダはそのスピリットをオクタゴンに生かす。サンパウロのシュートボクセ・アカデミーにいるトレーニングパートナーたちはアウメイダが対戦相手の後を追うこと、最初に一撃を食らっても反撃を恐れないことを保証した。 ディエゴ・リマは「彼の目には炎が宿っている。殴られたら、反撃しろ、そう本能が語りかけるんだ。トミーニャスに怖いものは何もない。恐れもない。試合をフィニッシュするためにオクタゴンに上るんだ」とコメントしている。