UFCの“ワンダーボーイ”として知られているスティーブン・トンプソンはオクタゴンに向かう登場曲にテネイシャスDの“ワンダーボーイ”を選んでいる。曲中にはボーカルのジャック・ブラックが「ワンダーボーイよ、君の力の秘密は何だ?」と問いかける。 トンプソンはまさにその質問を「よく聞かれる」と笑った。 「一生分のドラゴンボールZとホットポケットがオレの強さの秘密かな」
今週末に行われるUFCファイトナイト・ラスベガスで5ラウンドのメインイベントに出場するサウスキャロライナ出身のトンプソンと前ウェルター級王者のジョニー・ヘンドリックス。この試合の勝者がウェルター級タイトルマッチの挑戦者として名乗りを上げると考えて間違いないだろう。常に笑顔が絶えないことで有名なトンプソンだが、入場曲も笑顔の源だという。 「もう何年もキックボクシングと格闘技をやっている。テネイシャスDも大好きだよ。前からずっと兄弟のエヴェンとトニーにテネイシャスDの“ワンダーボーイ”を登場曲にしろって言われていたんだ。オレとしてはテンションが上がる曲じゃないし、テンポも遅いと思ってたんだけど、ツイッターのフォロワーに登場曲は何にしたらいいかって聞いたら皆一斉に“ワンダーボーイ”にしろって返信がきて、結局やってみたら、気に入ったんだよ。笑顔にしてくれる曲だし、いい気分にもなれる曲だから、当分はこれでいく」 現在32歳のトンプソンは総合格闘技界の中では、試合前後もしかり、試合中にも、変わった行動で注目を集めている。トンプソンにはどんな逆境に置かれようとも笑顔で戦いぬく力があるのだ。 「15歳の時から戦っている。最初はすごいビビっていたけどね、勝つとしても相手をコーナーに追い込んで倒すくらいしかできなかったんだ。何も分からずに戦っていた。でも経験を積んでいくにつれて、感情に左右されないような戦い方ができるようになってきて、それ以来は常に笑顔でムードを保って戦うようにしている。ケージの中に入った時に怖がっていたり、イライラしていると必ず試合に集中できなくなるからね。逆に常に笑顔でいることで、相手に、こっちが相手の知らないことを知っているんじゃないかって思わせるんだ」 彼の戦略は決して間違ってはいない。笑顔で蹴りやパンチを入れてくるファイターほど怖いものはない。ただ、キックボクシング時代にこの戦法は通用しなかったと振り返るトンプソンはこう明かす。 「キックボクシングの時は試合中に罵倒してくるやつも数人いたね、まだ若かったから挑発に乗って怒ることは何回かあったと思う。まだUFCに来てからはそういう奴と対戦したことがないけどね。今はそれ以上に大人になって、そういう罵倒とかには反応しないし、面白いなと思いながら聞いてるよ。自分自身、試合中に罵倒するとか得意じゃないから。勝負は言葉じゃなくて手と足で決めるものだからね」 今週末の試合を前に、現在5連勝中のトンプソンは、クリス・クレメンツ、ロバート・ウィテカー、ジェイク・エレンバーガーからKO勝利を奪っており、特にエレンバーガー戦は圧巻のパフォーマンスだった。トンプソンは2012年にキックボクシングからMMAへ転向し、MMA通算5戦という経歴でUFCデビューを果たした。今振り返ると、トンプソン自身もUFCデビューは早すぎではないかと感じたという。 「今、UFCの初戦を振り返ってみて思うのは、本当に準備不足で怖かったってことかな。その時はまだ、MMAを5試合しか経験してなかったし、いろいろと吸収している途中の若造だった。その時、親父に、不安なのは分かるけど、世界一大きい格闘技団体のUFCで戦えるチャンスは二度とめぐってこないって言われたんだ。それでやってやるって決心がついた。失うものは何もないからね」 デビュー戦ではダン・スティットジンから見事に1ラウンドKOを奪って勝利を収め、それから3年も経たずとして、前ウェルター級王者であるジョニー・ヘンドリックスとの試合に挑むトンプソンにこれ以上自身の実力を疑う余地はない。
「このジョニー・ヘンドリックスとの試合内容次第で、次にオレがタイトル戦の挑戦権を手に入れられるかが決まってくると思う。ヘンドリックスは倒せる相手だと思っているし、ここが勝負どころだね。どのファイターも自分に自信を持つべきだし、そうじゃなかったらオクタゴンに上がるべきじゃないと思う」 今のトンプソンは自信に満ち溢れており、もしタイトル戦の切符をつかめれば、今の若手で最も自信に満ち溢れているコナー・マクレガーのような存在になるかもしれない。そうなればジャック・ブラックに入場曲を実際に歌ってもらうことも決してかなわない夢ではないだろう。 「いつも兄弟やチームメイトともし本当にジャック・ブラックが入場の時に歌ってくれたら最高だよなってはなしているんだ」とトンプソンは嬉しそうに語った。