鳴り物入りでUFCに登場した朝倉海は、日本のRIZINで堀口恭司やマネル・ケイプと共に活躍し、両者とはそれぞれ1勝1敗の戦績を残した。コンテンダーの位置につけ、2度の王者獲得を果たした朝倉は、数々の見応えある印象的なハイライトシーンを生み出している。
2024年に総合格闘技の最高峰であるUFCにやってきたとき、朝倉はケイプや堀口の足跡を追ってフライ級に転向。すぐにUFC 310でのアレシャンドレ・パントージャとのタイトル戦に抜擢(ばってき)されたものの、このときは第2ラウンド2分で一本負けに終わった。
パントージャのような圧倒的な王者に敗れたことは、何の恥でもない。しかし、UFCデビュー戦の黒星から8カ月後、朝倉はサブミッションによる2連敗を喫する。今回の相手はジャーニーマンのティム・エリオットであり、そこから朝倉がオクタゴンで自分の足場を築いていけるのかが疑問視されるようになった。
変化が必要だった。そして、31歳の朝倉が起こした変化は、バンタム級への階級アップだった。マカオでキャメロン・スモザーマンをノックアウトした朝倉は、日本でスターになった理由を改めて示してみせた。
「2連敗していたので、UFCで初勝利を挙げられて本当にすごくうれしかったです。思っていた以上に長く苦しみましたが、本当に最高でした」と朝倉は話している。
今年マカオに出場していた多くのファイターと同様、朝倉も29日(土)に上海で再びオクタゴンに登場する。メインカードに組まれたアオリ・チロンとの試合は、火花散る激戦になりそうだ。
朝倉としては、移住のプロセスが進み、体重を気にするよりも、実際のトレーニングで自分の武器を磨けるようになったことで、以前よりも快適になりつつあるという。
「今はたくさんの技術を身につけることに集中し、試合に集中しているので、そこが大きな違いになると思います。今のコンディションはすごくいいです」と朝倉は言う。
今週末に再び試合が組まれているという事実そのものが、朝倉にとってフライ級ではなくバンタム級で戦うことがどれほど大きな違いをもたらしているかを物語っている。
RIZINで戦っていた最初の4年間、朝倉は年3回ペースで試合をしていた。2022年は手を負傷したために戦線を離脱していたものの、2023年には復帰して2試合に出場。UFCでのキャリアスタートはそれとは対照的で、パントージャ戦で敗北してからエリオット戦に臨むまで、8カ月の期間があった。回復した上で再び過酷な減量に挑むため、そのすべての時間が必要だったのだ。
バンタム級に戻ってきた今、朝倉は急ピッチで次戦に備え、“ザ・モンゴリアン・マーダラー”ことアオリ・チロンと戦うべく、土曜日に上海のオリエンタル・スポーツ・アリーナに立とうとしている。
キャリア22勝でフィニッシュを17回決めている朝倉は「フライ級ではこんなふうに短い期間で次の試合に出ることはできませんでした」と話し、次のように続けた。
「だいたいは短い期間でやるんです。前の団体では、ケガをしていないときにはたくさんの試合に出ていました」
朝倉は多忙なスケジュールを維持することを望んでおり、3カ月から4カ月に1度のペースで試合することを目標としている。次の早期復帰を実現させるために、まずは今週末にアオリ・チロンを倒すことが必要だ。
33歳のベテランであるアオリ・チロンも、UFCデビューからの2戦でジェフ・モリーナとコーディ・ダーデンに判定負けを喫し、フライ級からバンタム級へ転向するという同じ道をたどっている。転向以降は4勝3敗、ノーコンテスト1回をマークし、キャメロン・エルス、ジョニー・ムニョス、コーディ・ギブソンを退けた試合で強烈なパワーとタフネスを見せた。
朝倉から見ると、アオリ・チロンとスモザーマンには多くの共通点があるという。だからこそ、土曜日に現場に戻ることを楽しみにしているだけではなく、パフォーマンスの面でも強いインパクトを残すことを目指している。
朝倉は「アオリ・チロンは前の対戦相手と似たタイプのストライカーだと思うので、エキサイティングな試合になるはずです。それが楽しみです」と笑みを見せた。
朝倉が目指すはプロ15回目、キャリア通算23回目のノックアウトだ。その過程で自分の実力を示すことも目的になる。
「UFCバンタム級でナンバー1のストライカーは俺だってことを証明します」と朝倉はコメントした。
今週末に2試合連続でフィニッシュを決め、その大胆な主張をさらに裏付けることができれば、朝倉にとってその後に戦いたい相手は大勢いる。そういったファイターたちとの戦いを通じて、立ち技で最強との自らの宣言を、結果で証明していくのだ。
「誰でも。UFCの誰とでもやりますよ!」と朝倉は断言した。

