多くのファイターは公開練習の場でモーションを披露するに過ぎない。しかし、UFCファンは知っている。“カウボーイ”の愛称で親しまれるドナルド・セラーニが大半の選手と異なることを。 UFCファイトナイト・ピッツバーグに先だって19日(金)にスタウト・トレーニング・ジムで実施された公開練習に参加したファンは期待通りの光景を目にしたことだろう。 まずは全力投球のパフォーマンス。サンドバッグに力強いキックを浴びせる。もちろんサウンドバイトも忘れずに。 「見出しにオレの名前を載せてくれるなら、もっとうまい話を聞かせられるぜ。何よりも自分はエンターテイナーとしてここにいる。ファンが見たいと思うものを披露する義務があるんだ」とセラーニは言う。 ファンはゾーンに区切られたセラーニが他のファイターとは違う汗をかいているのに気づく。見ての通りに集中して練習に励むセラーニは事実、ここ最近の試合に比べてかなり自由に、落ち着いているようだ。日本時間22日(月)に行われるアレックス・オリベイラとの一戦はベルトがかかっているわけでも、タイトルマッチの挑戦権がかかっているわけでもない。それでも、セラーニはいつも通り試合に向けて備えている。 セラーニいわく、最終的にハファエル・ドス・アンジョスとのタイトルマッチ挑戦に至るまでにベルト獲得について気にしたことはないといい、とにかく戦って金を稼ぎたいのだと主張した。 最終的にセラーニがどの階級で戦っていくのか、その質問はまだ回答を得られていない。セラーニはピッツバーグでウェルター級デビューを果たすが、彼のモットーはUFCが望み、決めれば、いつ何時でも相手が誰であろうとも戦うことだ。とはいえ、今回の試合では減量の重圧軽減に恵まれたことを認めている。 UFCキャリアを通してライト級(155パウンド/約70kg)で戦ってきたセラーニは「昨夜は“TGI Friday’s(TGIフライデーズ/レストランの名前)でベビーバックリブとマッシュポテトを食べた。(減量は)楽勝さ。それは気に入っている。食べたい時に食べ、飲みたい時に飲めるからね」とコメントした。 オリベイラもまた、UFCで4試合を戦ったライト級からウェルター級に階級を上げている。ブラジルの“カウボーイ”ことオリベイラにとっては急きょ決まった今回の試合であり、初めてのメインイベントとなるが、結果的に“カウボーイ対決”が生まれた。 オリベイラ同様、今回の大会ではバンタム級のコーディ・ガーブラントにとっても名を挙げるチャンスだ。UFCでは2勝負けなしときて、ランキング11位につけるジョン・リネカーとのビッグマッチに挑む予定だったものの、試合を目前に控えた先週、リネカーがテング熱を発症し、欠場を余儀なくされた。リネカーの代役に指名されたのは、これがUFCデビューとなるアウグスト・メンデス。ガーブラントは対戦相手が変わろうと準備を変えることはなかったと明かしている。 「調子はキープしていたし、試合決定の準備はバッチリだった。ジョン・リネカーが蚊に刺されて欠場するなんて、誰も思っても見なかったことでしょ」 そう語るガーブラントはピッツバーグからわずか90分のオハイオが地元。大会当日は多くの地元ファンが駆けつけ、彼に声援を送ることだろう。公開練習でもファンの歓声がひときわ大きかった。それもあって、リネカー欠場の報を聞いても、試合中止が頭をよぎることはなかったと述べた。 「とにかく試合がしたかったし、ファンのために戦いたかったんだ。(ピッツバーグは)プロデビューした場所だしね。急な試合にもかかわらず受け入れてくれたメンデスのことは尊敬しているし、彼は今回をチャンスと見ているだろう。ただ、オレはあいにくと彼にとってはこれがチャンスじゃなかったってことを示すつもりだけどね」