日本時間2016年12月11日(日)にカナダ・オンタリオ州トロントのエア・カナダ・センターで開催されたUFC 206メインカードでドナルド・セラーニが鮮やかなKO勝利を挙げた。
ウェルター級 5分3ラウンド
ドナルド・セラーニ vs. マット・ブラウン
日本時間2016年12月11日(日)にカナダ・オンタリオ州トロントのエア・カナダ・センターで開催されたUFC 206のセミメインイベントではウェルター級に階級を上げて以来快進撃を続けているランキング5位のドナルド・セラーニが登場、同級14位のマット・ブラウンと対戦した。
試合の前はあらゆる機会で感情的な言葉をぶつけ合った両者はグローブを合わせることなく試合を開始したが、互いに得意の打撃を効かせ合う一進一退の攻防が進むと、3ラウンドの開始時にはセラーニの呼びかけに応じて両者は軽くハグを交わして攻防を再開させた。
ベタ足のブラウンに対し、セラーニは足を使いながら的確なジャブで距離を測る。セラーニの左ハイキックがブラウンを顔面を捉え、ブラウンがぐらつくとセラーニは一度はパンチをまとめようとするが無理をせずに距離を取る。ブラウンの左フックを嫌がる素振りを見せたセラーニは基本通りのジャブとアウトローでの対角線コンビネーションで体勢を立て直すと、再びジャブから左ハイキックを直撃させる。ブラウンはすぐに体勢を立て直し、豪快なパンチで前に出る。残り時間1分、ハイキックを繰り出しスリップしたブラウンがマットに倒れると、セラーニはすぐにパウンドでフォローに入るがこれをブラウンがトライアングル・チョークに捉え会場が湧き上がる。しかしセラーニは丁寧に防御しながら頭を引き抜き攻防をスタンドに戻す。ブラウンが飛び込みながらの右を命中させ、セラーニが真後ろに倒れ込んだところで第1ラウンドが終了。
時折テイクダウンの素振りもみせるセラーニだがこだわらずに距離を取る。残り時間3分30秒、遠い距離からブラウンが右のオーバーハンドを繰り出すと、この一撃でセラーニがヒザを付く!すぐに立ち上がったセラーニはタックルを織り交ぜダメージからの回復を測るとジャブからのハイキック、そして追い打ちのジャブで今度はブラウンが尻餅をつく。残り時間1分30秒、ジャブに続く左ハイキックを命中させたセラーニが圧力をかけ始めるが、ブラウンも左のストレートを駆使して相手を押し戻す。
両者は軽くハグをかわしてから最終ラウンドを開始する。ブラウンが両足タックルに飛び込むが、セラーニはすぐに立ち上がり、近い距離での力強いコンビネーションでブラウンを下がらせる。頭が下がりながらもブラウンが強引に前に出るともの凄い音を立ててセラーニの左ハイキックがブラウンの顔面を直撃!”イモータル”として知られるマット・ブラウンだったがこの一撃で真後ろに大の字に倒れ込んだ。時間は3ラウンド34秒だった。
試合後には「アイツはいいやつなんだよ。俺を苛立たせようとしていただけさ」と笑いながら語ったドナルド・セラーニはこの勝利でウェルター級転向以来3連勝、3フィニッシュ勝利とその勢いはとどまることを知らないようだ。なお、この勝利でセラーニの通算戦績は32秒7敗1ノーコンテスト、マット・ブラウンの戦績は22勝16敗となっている。
フェザー級 5分3ラウンド
カブ・スワンソン vs. チェ・ドゥホ

積極的に右ストレートを狙うチェに対し、スワンソンはパンチ、キックそしてタックルを織り交ぜ攻撃の糸口を探る。スワンソンは豪快な後ろ回し蹴り、そして飛び込みながらのパンチでなんとかチェを下がらせようと試みるが、チェは一向に動じずスワンソンの真正面に陣取っている。残り時間2分、打ち合いで頭の下がったスワンソンをガブッたチェがスワンソンを金網に押し込むが、ここは互いに形が作れない。残り時間10秒、スワンソンの片足タックルをチェがこらえてラウンドを終えた。
キックで距離を取っていたスワンソンが飛び込みながら乱暴な左右を繰り出すとこれがチェを直撃! それでもカウンターを狙いながら下がるチェを手数で圧倒するスワンソン。チェの体が流れ、ダウンも間近かと思われたがここでチェの右が炸裂! 一気に前に出るチェだがスワンソンもガードを固めて必死に持ちこたえる。基本通りのコンパクトなスタンスから繰り出される真っ直ぐなチェのパンチとスワンソンの巻き込むような左右のパンチが激しく交錯し、両者は互いに右のパンチを相手に命中させるが、次第にスワンソンの右にチェの体が流れるシーンが多くなる。
最終ラウンドが始まると、チェはしっかりとした構えからシャープな打撃を繰り出し始める。チェの右を何度も被弾し、スワンソンは苦しそうだ。残り時間3分40秒、頭の下がったスワンソンをマットに引き倒したドゥホチェ、スワンソンはうまく体を入れ替えトップを取り返す。残り時間3分、相手の踵を拾ったチェが立ち上がることに成功したものスワンソンは即座に距離を詰めコンパクトな左右のフックでチェの頭を跳ね上げる! 必死にしがみつく相手を首投げでマットに投げつけたスワンソンだがポジションをキープすることができない。再び攻防をスタンドに戻した両者は渾身のパンチを交換するが、ここではスワンソンの右がよく当たり、チェの体が大きく右に流れる。残り時間30秒、スワンソンが右のオーバーハンドを皮切りに、一気にパンチの連打で距離を詰め、チェがマットに崩れ落ちたところで試合終了のブザーがなっった。
30-27、30-27、そして29-28と大差のユナニマス判定で勝利を収めたフェザー級4位のカブ・スワンソンは試合後に「いきなりこの俺を指名してきたんだ。勝手に壇上に上げられてムカついたぜ。だけどアイツはこうして皆の前でやりあって、その資格があったことを証明してみせたな」と語り、チェの実力を評価した。
一方、敗れはしたものの会場のファンから勝者同様に大きな喝采を浴びた"コリアン・スーパーボーイ"ことチェ・ドゥホは「勝利者インタビューの準備をしてきました。これが敗北というものの感触なんですね。もっと強くなって、二度と負けません。おかしく聞こえるかもしれませんが、私も私のコーナーたちもカブ・スワンソンの大ファンだったんです。ランキングとは関係なく、それが私のスワンソンと戦いたかった理由で、自分の勝利を心の底から信じていました」と語り、その悔しさをにじませながらもスワンソンへ対戦を要求した理由を明かした。
この試合の結果、カブ・スワンソンは24勝7敗、チェ・ドゥホは14勝2敗となった。
ミドル級 5分3ラウンド
ティム・ケネディ vs. ケルヴィン・ガステラム
軽やかなフットワークでガステラムが距離を詰めるが、相手のボクシングを警戒したケネディがすぐに胴タックルで組み付くと、ガステラムをマットに引き倒す。首を守りながらガステラムは立ち上がるが、背後にしがみつくケネディはガステラムの臀部に重たいヒザを無数に叩き込む。残り時間1分30秒、ようやくこれを振りほどいたガステラムが相手の組み付きを突き放しながらパンチでケネディを下がらせる。ラウンド終了間際にはガステラムの鋭い左がケネディの顔面を打ち抜き、ケネディは思わず相手に背を向ける。
ガステラムの打撃を嫌がりケネディがタックルで飛び込むと、ガステラムはこれをガブッて相手の背後に回り込む。しかし残り時間3分30秒、ケネディが上手く振り返りながら片足タックルでガステラムを金網に押し込みその背後を伺うが、これを振りほどいたガステラムは至近距離では圧倒的なハンドスピードとヘッドムーブでケネディを翻弄する。残り時間1分45秒、ガステラムの飛び込みながらのアッパーを被弾しながら、ケネディが必死のタックルを見せるが、ガステラムはこれをスクランブルに持ち込むと巧みに攻防をスタンドに戻す。ラウンドが終盤に入ると足の止まったケネディにガステラムが豊富にジャブとワンツーを叩き込み、優勢を印象づけた。
ラウンド開始早々から一気に距離を詰めたガステラムのパンチが面白い様にケネディの顔面に吸い込まれる。ケネディも必死にその丸太のような腕を振り回すがガステラムは捕まらない。金網を背にして決死の反撃を試みるケネディをガステラムの多彩なパンチが襲い続ける。一向に攻撃の手を緩めないガステラムの右ストレート、そして返しの左フックを被弾したケネディはついにマットに崩れ落ちた。
ミドル級のトップ10コンテンダーを3ラウンド2分45秒で粉砕したTUF 17優勝のケルビン・ガステラムは「まずい状況だとは分かっていた。いろいろな問題を解決したいと願っている。この勝利がデイナやUFCとの関係が良くなるきっかけになることを祈っている」と話すと、さらに「心を入れ替えてライフスタイルも全て変えた。ウェルター級に戻るというのが俺の言いたかったことだ」と続けた。度重なる計量オーバーにより余儀なくされたミドル級でも輝くようなパフォーマンスを見せたガステラムだが、その視線の先にあるのはミドル級ではなくウェルター級の頂点のようだ。なお、この一戦でガステラムは14勝2敗、ケネディは18勝6敗となっている。
ウェルター級 5分3ラウンド
ジョーダン・メイン vs. エミル・ミーク
互いにオーソドックスからローキックを繰り出し距離を測るがメインがすぐに片足タックルを成功させる。立ち上がったミークにコンパクトなコンビネーションを繰り出し距離を測ったメインは再び両足タックルで飛び込むと、相手のギロチンを振りほどきサイドポジションに回り込む。しかしミークは暴れて立ち上がると豪快なパンチでメインを下がらせる。一瞬パンチに足の止まったメインだが、スタンスをサウスポーに変えて流れを変えるとまたもや両足タックルで飛び込んだ。これをスイッチで切り返そうとしたミークだったがメインがしつこく回り込んでトップを奪取。ミークはこの攻防で肋を痛めたようだ。暴れて立ち上がったミークにメインがパンチで距離を詰めるとミークの右がメインを直撃!メインは笑いながら後退する。
ミークがパンチで圧力をかけると、カウンターの左フックを狙うメインは手数が少なくミークが両足タックルを成功させる。ハーフから肩固めを狙いつつパスガードを狙うミークに対し、メインは相手の頭をひきつけパウンドを封じるだけだ。残り時間1分20秒、ミークがメインをガッチリと肩固めに捉えるが、メインはブリッジを打って脱出。しかしミークがトップを支配し続ける。
ミークが中央に陣取り下がるメインにパンチで圧力を書ける。時折メインもパンチで前に出ようとするが足が付いてこない。残り時間3分30秒、メインが両足タックルに飛び込むが、ミークに堪えられると自ら引き込むように倒れ込む。クローズドガードにミークを捉えたメインは相手の頭をひきつけパウンドを封じようと試みるが、ミークは散発的ながらもパウンドを繰り出し続ける。残り時間30秒、メインが下からキムラを狙うと、地元カナダのファンが声援を送るがミークは笑いながら立ち上がるとメインをマットに叩きつけた。
ジャッジの判定は29-28のユナにマスでエミル・ミークを勝者として支持。「俺はこれまで両足タックルを試合でしたことはなかったんだ、だけど俺は強いレスラーだぜ」と試合を振り返ったノルウェーのUFCニューカマー、ミークはその戦績を9勝2敗1分1ノーコンテストと伸ばし、2年ぶりの復帰をはたしたカナダのジョーダン・メインは29勝11敗と戦績を落とした。