日本時間2016年12月10日(土)に米国ニューヨーク州オールバニの タイムズ・ユニオン・センターで開催されたUFCファイトナイト・ニューヨークのプレリミナリーファイトでジャスティン・キッシュ、シェーン・ブルゴス、マルク・ディアケイジーらが無敗記録を更新した。
女子ストロー級 5分3ラウンド
ジャスティン・キッシュ vs. アシュリー・ヨーダー
ヨーダーを首相撲に捉えたキッシュがしばらくヨーダーを振り回しながらヒザを狙うがヨーダーは上手くこれを振りほどく。キッシュはヨーダーの正面に陣取りながら豊富なローキック、前蹴り、そしてミドルキックで相手を崩しにかかるがヨーダーは落ち着いてジャブを突きながら、首相撲の攻防から首投げでトップポジションを奪取する。しかしキッシュは動きを止めずに攻防をスクランブルに持ち込むと、残り時間1分でポジションをスタンドに戻すことに成功。前に出たいキッシュをヨーダーが前蹴りで突き放す中、第1ラウンドが終了した。
強引に距離を詰めながら首相撲を狙うキッシュ。残り時間3分20秒、相手の軸足を刈って上を取ったキッシュがヨーダーをアナコンダ・チョークに捉えるが、ヨーダーはこれを的確に防御しながら攻防をスクランブルに持ち込むと、残り時間2分でトップを奪取する。時折サブミッションを狙いつつ、ヨーダーが暴れ続けるキッシュを巧みに制しながらポジションをマウントまで進めたところでラウンドを終えた。
キッシュが中間距離からの右のキックで手数を稼ぎ、距離を詰めると強引な首相撲でテイクダウンを狙うと、ヨーダーは金網を使って体勢を入れ替えるキッシュをサイドポジションで押さえ込む。一度はポジションをマウントまで進められたキッシュだが、ヨーダーの頭を抱えて強引なブリッジでスペースを作ると立ち上がることに成功。その後の打ち合いではキッシュのスピニング・バックフィストでヨーダーの足が一瞬止まるシーンも見られたが、両者が互いに渾身のパンチを交換する中、試合終了を告げるブザーが鳴った。
一進一退のストロー級戦を29-28のユナニマス判定で勝利した無敗のジャスティン・キッキュ。試合後には「コーチがやるべきことを伝えてくれていたけど、それより上手くできたわ。冗談よ!」とそのユーモアの一端を覗かせるとともに、戦績を6勝0敗と伸ばした。一方、ショート・ノーティスでこの試合に臨んだアシュリー・ヨーダーは、見せ場をつくりながらも一歩及ばず。その戦績は5勝2敗となった。
ウェルター級 5分3ラウンド
ランディ・ブラウン vs. ブライアン・カモッツィ
ブラウンの細かいジャブを丁寧にスウェーでかわしながらカモッツィがジリジリと前進を続ける。しかしブラウンは左に回り込みながら右のフックを命中させるとガードを固めたカモッツィを一気に押し込み、ボディロックからの小外掛でテイクダウンを成功させる。落ち着きを取り戻したカモッツィは丁寧に足を効かせて相手のパウンドを封じると、一瞬のスキを付いてアームバー!ブラウンはこれを一度スラムした後に時間をかけて腕を引き抜き、数発のパウンドを落としてラウンドを終えた。
ポイントの挽回を図るカモッツィが一気に距離を詰めるとブラウンに組み付きテイクダウンを狙う。しかしカモッツィがこれを片足タックルに切り替えると、ブラウンは相手のタックルを受け止めながらヒジを連打!これを嫌がりタックルを諦めたカモッツィの顔面をブラウンのヒザが襲う!崩れ落ちたカモッツィにブラウンがパウンドの連打で追撃すると、レフリーのジョン・マッカーシーが試合の終了を宣告、時間は2ラウンド2分25秒だった。
その戦績を9勝1敗と伸ばしたジャマイカ出身のニューヨーカー、ランディ・ブラウンは「ホームタウンで俺が負けるわけ無いだろ!2月のブルックリンでも戦わせてくれ!」と2月のブルックリン大会参戦をアピールした。一方、この一戦がUFCデビュー戦だったブライアン・カモッツィだったがその戦績は7勝3敗となった。
ミドル級 5分3ラウンド
ジョセフ・ジリオッティ vs. ジェラルド・マーシャート

中間距離の打撃戦でそのリーチを上手く活かしたマーシャートはジリオッティが飛び込むと、ガブッてこれを潰す。二度目のアテンプトでなんとか片足タックルを成功させたジリオッティだったが、マーシャートは下からのトライアングル・チョークでスペースを作るとすぐに立ち上がる。すぐにワンツーから相手に組み付いたマーシャートは豪快な払い腰でジリオッティをマットに投げ捨てると、すかさず相手をアナコンダ・チョークに捉えて締め上げる!必死にこれを堪えていたジリオッティだったが、マーシャートの完璧なチョークに為す術なし。1ラウンド4分20秒、粘るジリオッティからタップを引き出した。
試合後には「ミドル級を駆け上がるぜ、行くぞ!」と怪気炎を挙げたUFCニューカマーのジェラルド・マーシャート。戦績を25勝8敗と伸ばしたマーシャートは「俺の勘違いでなければ確か今夜初めてのフィニッシュだよな?ということはこれってボーナス決定だよな!?」と抜け目なくボーナスのアピールをすると会場を楽しませた。なお、対戦相手のジョセフ・ジリオッティはこの敗戦で7勝2敗となっている。
ミドル級 5分3ラウンド
アンドリュー・サンチェス vs. トレバー・スミス
サンチェスは縦横に動き回りながら、左右のパンチを繰り出し糸口を探る。スミスは顎を引いてガードを固めつつ、時折重たいパンチでカウンターを狙うが、その攻撃は単発だ。サンチェスがパンチで距離を詰めるとその巻き込むようなフックが何度もスミスの後頭部を捉え、スミスはふらつくがサンチェスはペースを変えずに出入りを繰り返す。
金網に相手を押し込みたいスミスは要所で強引に前に出るが、サンチェスは巧みに回り込み、素晴らしいタイミングと角度の飛び込みからコンビネーションを繰り出し続け、スミスの顔面を朱に染め上げる。残り時間90秒、サンチェスの足も止まり始めるが、スミスが前に出てくると豊富なキックとダイナミックな左右のパンチでスミスを押し戻す。
ラウンド開始早々、この試合初めてテイクダウンを狙ってスミスが突進したが、これを振りほどいたサンチェスがその離れ際に豪快な右のオーバーハンドを命中させ、スミスからノックダウンを奪う。スミスはすぐに立ち上がり、タイミングを測ると再び両足タックルでとびこむが、サンチェスはすぐに体を入れ替え相手を振りほどく。サンチェスの足も完全に止まっているが、左目の塞がったスミスも距離が詰められない。ジリジリと距離を詰めながら、逆転の強打を狙うスミスを、サンチェスは要所での鋭いパンチと左右への回り込みで最後までいなし続けてみせた。
判定は30−27のユナニマスでアンドリュー・サンチェス。終盤はスタミナに課題も見えたサンチェスだったが、その戦績はこの勝利で10勝2敗。一方、レスラーからストライカーへとその戦い方に変化を見せたトレバー・スミスだが、その戦績は14勝7敗となった。
フェザー級 5分3ラウンド
チアゴ・トラトール vs. シェーン・ブルゴス
中央に進み出たブルゴスがジリジリと距離を詰めながらカウンターを狙い相手のパンチを誘うが、トラトールはこの誘いには乗らず、胴タックルから背後に回り込む。ブルゴスは落ち着いて腰を金網で隠しながら時間をかけてこのポジションから脱すると、残り時間2分30秒に相手を振りほどくと、再びジリジリと前進を再開する。ブルゴスのカウンターを警戒し、多彩な打撃とテイクダウンを織り交ぜるトラトールだが、ブルゴスはカウンターの左フックを狙い続け、その手数はやや少ない印象だ。
金網際まで相手を追い込んだブルゴスが右ショートから左フックへと繋げノックダウンを奪うが、トラトールはすぐに立ち上がる。左ガードを下げて相手のジャブを誘うブルゴスの左が次第にトラトールの顔面を捉え始め、残り時間3分、立て続けに左フックを命中させるとトラトールが崩れ落ちる!ブルゴスが数発パウンドを落とした後にスタンドを要求すると、トラトールは即座にこれに応じて果敢にその左右の拳を繰り出すが、ブルゴスの前進は止まらない。ローキックを嫌がり引き込んだトラトールを立たせたブルゴスが圧力を一層強めて会場から大声援を引き出す中、第2ラウンドが終了した。
強烈な左に加え、カウンターの右も狙い始めたブルゴスの打撃に対し、トラトールはいよいよ手詰まりになり始める。タックルを潰され、引き込みにもスタンドを要求されるトラトールは覚悟を極めたかのように渾身の左右のパンチでブルゴスとの打撃戦に応じると、なんとブルゴスがこれを嫌がり胴タックルからテイクダウンを成功させる。ブルゴスはすぐに距離を取って攻防をスタンドに戻し、両者は激しくパンチを交換をしながら試合の終了を迎えた。
ジャッジはこの一戦を30−26、29-28、そして29−27でシェーン・ブルゴスの勝利と評価。”ハリケーン”のニックネームそのものの猛烈な打撃能力を披露したUFCニューカマー、ブルゴスはその無敗記録を8勝0敗と更新し、相手のトラトールは20勝6敗2分け1ノーコンテストとなった。
ライト級 5分3ラウンド
フランキー・ペレス vs. マルク・ディアケイジー
やや遠目の間合いから強烈なキックを交換していた両者だが、試合開始後80秒、ディアケイジーがペレスの蹴り足をつかむと相手をマットに押し倒し、パウンドのチャンスを伺い始める。ペレスはしっかりと相手のポスチャーを崩しながらスペースを作ると一度は立ち上がるが、ディアケイジーは相手に食らいつき、ペレスをスープレックスでマットに投げつける。ペレスはすぐに立ち上がったが、パンチで距離を詰めたところで再びディアケイジーに組み付かれテイクダウンを奪われた。
第1ラウンドはトップポジションをキープし続けたディアケイジーだが、第2ラウンドが始まるとペレスが運動量で上回り始める。オーソドックスで前に出ながら豊富なフェイントで崩しにかかるペレスに対し、ディアケイジーは時折スタンスをスイッチしながら、相手の飛び込みにカウンターを狙う。しかし残り時間2分40秒、コンビネーションで距離をつめ、胴タックルに持ち込んだペレスがボディロックからのテイクダウンを成功させるとガードの中からの鋭いヒジでディアケイジーの額にカットを刻み込む!ハーフまでポジションを許しながらも、なんとか立ち上がったディアケイジーは立ち上がり際にヒザも被弾し苦しげな表情を見せる。
オクタゴンの中央に陣取るディアケイジーが冷静にカウンターを狙う。残り時間3分30秒、ディアケイジーがペレスのローキックをキャッチしテイクダウンに繋げると、ペレスのコーチ、マーク・ヘンリーからは「休むな、金網に行け!」と指示が飛ぶが、ペレスはこれに反応できない。ディアケイジーは上手く体力をセーブしながら時折パウンドを落とし、残り時間90秒、ペレスが立ち上がるとその背後に回り込み相手に反撃の糸口を与えなかった。
2ラウンドこそペレスに主導権を許したものの、英国のマーク・ディアケイジーはその高いファイトIQを駆使した巧みな試合運びを見せ、29-28のユナニマス判定で勝利。ディアケイジーはこれでプロ通算戦績11勝0敗。最終ラウンドの不用意なローキックにより大きな代償を支払う結果と鳴ったフランキー・ペレスは10勝3敗と戦績を落とした。
ミドル級マッチ 5分3ラウンド
キース・ベリシュ vs. ライアン・ジェーンズ
アップライトな構えからコンパクトなパンチでジェーンズが距離を詰める。ベリシュも豊富に左右を繰り出し相手を押し戻そうと試みるが、左に回り込みながらのジェーンズの左ショートが頻繁にベリシュの顔面を捉え続ける。残り時間2分15秒、ベリシュの右のオーバーハンドがジェーンズの肩越しに相手のアゴを捉えるが、ジェーンズはすぐに体制を立て直すと豊富な左右のパンチ、そして豪快な前蹴りでベリシュを突き放す。
第2ラウンドに入っても、ジェーンズの左のジャブと左フックが攻防の流れを支配する。ベリシュのパンチも時折相手の顎先を捉えるが、ジェーンズは圧力を弱めない。
最終ラウンド開始そうそう金網に押し込まれたベリシュの下腹部にジェーンズの膝蹴りが命中し、試合は少々中断される。攻防が再開されると一瞬前に出たベリシュだが、ジェーンズはすぐに豊富な手数でこれを押し戻し、相手の顔面にパンチを集めてベリシュに後退を余儀なくさせる。不用意に前にでるジェーンズをベリシュは両足タックルで尻もちをつかせるが、ジェーンズはすぐに立ち上がる。テイクダウンを織り交ぜながら、背後に回り込んだベリシュを振り落としたジェーンズが相手のガードの中からコツコツとパウンドを落とす中、試合の終了を告げるブザーが鳴った。
ジャッジの判定は29-28でライアン・ジェーンズを勝者として支持。豊富な手数と的確な左のパンチでキース・ベリシュを苦しめ続けたライアンが自身のUFCデビュー戦に白星で華を添えると、その戦績を9勝1敗と伸ばすことに成功。一方、2014年以来、ようやくオクタゴンへの復帰を果たしたキース・ベリシュだったが、その戦績は5勝1敗1ノーコンテストとなった。
女子バンタム級 5分3ラウンド
ジュリアナ・リマ vs. J.J.アルドリッチ
オクタゴンの中央に陣取るアルドリッチがサウスポーからのワンツーでジリジリとリマを追い続けるが、リマは左に回り込みながら右のストレート、右のハイキックで距離を測る。残り時間3分30秒、リマがコンビネーションで距離を詰めるとアルドリッチを首相撲に捉え、鋭い右ヒザを突き上げる。アルドリッチはこれを振りほどくが、リマは一旦距離を取るとタイミングを測り胴タックルで突進し、粘るアルドリッチをひねるようにテイクダウンテイクダウンしてみせる。リマは無理にパスガードを狙わず、時折強烈なパウンドを落とし、そしてアルドリッチの立ち上がりに際に再び右ヒザを叩き込む。
セコンドの指示通り、アルドリッチはキックの蹴り足を早く引き戻し、リマに蹴り足を掴ませない。ラウンドの序盤はアルドリッチがシャープな左ミドルとワンツーを主軸に流れを掴みかけたが、リマは胴タックルでアルドリッチに組み付くと、細かな打撃とテイクダウンを織り交ぜ、優勢を印象づける。残り時間30秒、体を入れ替えリマを金網に押し付けたアルドリッチが重たいヒザをリマにめり込ませる。
アルドリッチがポイントを挽回しようと圧力を強めるが、左に回り続けるリマを捉えられず、逆に左ミドルの蹴り足を捕まれ金網に押し込まれてしまう。一度はこれを振りほどいたアルドリッチだが、すぐにリマはコンビネーションから両足タックルに繋げると、たやすくテイクダウンを成功させる。アルドリッチが立ち上がったところでリマのヒザ蹴りがアルドリッチの下腹部に命中し、試合は中断を挟んでスタンドから再開された。一層手数を増やし前に出続けるアルドリッチだが、リマは丁寧に相手の右に回り込みながら、自身も鋭い打撃を繰り出しアルドリッチを寄せ付けなかった。
判定は30−27のユナニマスでジュリアナ・リマ。ショート・ノーティスでこの一戦に望んだJ.J.アルドリッチを相手に主導権を握り続け、戦績を9勝4敗と伸ばした。なお、UFC黒星発信となったアルドリッチはこれで4勝2敗となっている。