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堀口盤石! ベルファストでバガウティノフを圧倒

日本時間2016年11月20日(日)に北アイルランド・ベルファストにあるSSEアリーナで開催されたUFCファイトナイト・ベルファストのプレリミナリーファイトの試合レポート。

 フライ級 5分3ラウンド
堀口恭司 vs. アリ・バガウティノフ



「もっともっと上を目指して、チャンピオンシップを目指して頑張ります」
日本時間2016年11月20日(日)に北アイルランド・ベルファストにあるSSEアリーナで開催されたUFCファイトナイト・ベルファストのプレリミナリーファイトでロシアの実力者、フライ級8位のアリ・バガウティノフを盤石の30-27で退けた日本の軽量級エース、同級4位の堀口恭司は笑顔で語った。

狙い通りのKO勝利とはならなかったものの、全てのラウンドで打撃、距離、そしてレスリングでも優位に試合を進めた堀口は、この勝利でUFC戦績7勝1敗、通算戦績も18勝2敗と伸ばし、再度のフライ級王座挑戦へとつながる大きな一歩を進めた。

サウスポーのバガウティノフはやや後重心で構え、堀口の出方を伺っている。1ラウンド残り3分15秒、堀口の右膝を受け止めたバガウティノフが一度はテイクダウンを成功させるが堀口はここを無傷で立ち上がるともろ差しの状態で相手を金網に押し付ける。左の膝蹴りと右の小内刈で相手の意識を正面に散らすと、すかさず相手の脇をくぐって相手のバックに回り込む。堀口はコツコツとパンチを入れながらコントロールを伺うバガウティノフがうまく体を入れ替えテイクダウンを成功させたが、堀口はここも無傷で攻防をスタンドに戻しラウンドを終えた。

豪快な後ろ回し蹴りから組み付いてきたバガウティノフを堀口は突き放す。残り時間3分10秒、距離を詰めた堀口がショートレンジで左前腕を相手の顔面に直撃させると、そこから連打で距離を詰めバガウティノフを金網に押し付ける。これをなんとか振りほどいたバガウティノフが強烈なミドルで前に出るが堀口はうまく回り込み、主導権は渡さない。残り時間1分15秒、距離を詰めた堀口がもろ差しから相手を前に崩し、バックを狙いながらコツコツとパンチを落とすがバガウティノフはこれを振りほどく。

至近距離での猛烈な打撃戦からバガウティノフが両足タックルに飛び込むが、堀口は丁寧に相手の脇をさしあげ相手を突き放す。巧みなフットワークでバガウティノフの攻撃を誘う堀口に対し、バガウティノフは打撃にこだわらずテイクダウンに飛び込むが、堀口はたやすくこれを振りほどく。残り時間10秒、動きの落ちたバガウティノフが距離をとろうとすると、堀口はすぐに距離を詰めると相手を金網に押し込み試合を終えた。

なお、この結果ロシアのアリ・バガウティノフは14勝5敗となっている。

ミドル級 5分3ラウンド
マグナス・セデンブラッド vs. ジャック・マーシュマン

序盤の打ち合いでボクシングスタンスから前に出たマーシュマンが左フックでダウンを奪い、追い打ちに距離をつめるとセデンブラッドが両足タックルでこれを切り返す。貴重なテイクダウンを成功させたセデンブラッドは休みなくヒジとパウンドを落とし続けマーシュマンの顔面にカットを刻み込む。下からサブミッションを狙うマーシュマンだが、セデンブラッドは巧みに距離をコントロールしながら無数にパウンドを落とし続ける。

リーチの劣るマーシュマンは時折ボディを織り交ぜながら、返しの左フックでセデンブラッドの顔面を狙う。セデングラッドも丁寧にジャブで距離をはかり、時折ロー、そしてヒザも織り交ぜるがマーシュマンは手数を緩めず前に出続ける。マーシュマンの打撃を嫌がったセデンブラッドが両足タックルに飛び込むと、これを振りほどいたマーシュマンが左右の連打で猛然と前に出る!大歓声に後押しされながら、マーシュマンはふらつくセデンブラッドに左右のパンチで追いすがると立て続けに3発のパンチを叩き込み、倒れ込んだ相手に鉄槌の連打を振り下ろし、2ラウンド3分32秒にレフリーのリオン・ロバーツのストップを呼び込んだ。

UFCデビュー戦を見事な逆転TKO勝利で飾ったジャック・マーシュマンは21勝5敗、マグナス・セデンブラッドは14勝5敗となった。

ライト級 5分3ラウンド
ケビン・リー vs. マゴメド・ムスタファエフ



昨日の計量で険悪な雰囲気となった両者の一戦が始まると、ムスタファエフが猛烈なミドルキックをリーに叩き込む!その猛烈な打撃音に場内がどよめくがリーは落ち着いてその蹴り足を捉えるとムスタファエフを金網に押し込み相手のギロチンに合わせてテイクダウンに成功させる。丁寧に攻防をスタンドに戻したムスタファエフがダイナミックなキックを振り回し、相手の組み付きにあわせてスピニング・バックフィストも命中させるがリーはこれも意に介さずテイクダウンを成功させる。一度はマウントまでポジションを進められたムスタファエフだったが、ここもスペースを作って立ち上がる。相手を押し込むリーは表情を変えずにムスタファエフを高々と抱え上げてマットにスラム!さらにポジションをバックまで勧めたところで第1ラウンドが終了した。

ムスタファエフの打撃をよく見てリーが一発でテイクダウンを成功させるが、ムスタファエフは難なく立ち上がる。相手のサイドキックを被弾しつつも、リーはすぐに距離を詰めると片足タックルで相手をマットに倒すとそのバックを奪いチンロックを食い込ませる。しかしリーは相手がこれをこらえると、無理をせずに攻防をスタンドにもどし、再び即座に両足タックルでムスタファエフをマットに寝かしつける。丁寧にポジションをサイド、マウント、そしてバックへと進めたリーは再びその右腕を相手のアゴに巻き付けジリジリと締め上げる!最後までタップを拒絶したムスタファエフが意識を失ったこととを見て取ったレフリーのリッチ・ミッチェルが両者の間に入って試合の終了を宣告、時間は2ラウンド4分31秒だった。

圧倒的なテイクダウン能力を披露し戦績を14勝2敗と伸ばしたモータウンの天才ことケビン・リーは「これはこの階級で最強のレスラーだ。誰だって思いのままにテイクダウンできるぜ。コナー・マグレガーだってこのアリーナのマットに背中をつけることになる」と観客を挑発。盛大なブーイングを浴びながら会場を後にした。なお、対戦相手のマゴメド・ムスタファエフは13勝2敗と戦績をおとした。

女子ストロー級 5分3ラウンド
アンナ・エルモス vs. アマンダ・クーパー



クーバーは前後左右に脚を動かしながら、豊富に左右を繰り出すが、エルモスは細かく頭を揺らしながらジリジリと前に詰め続ける。エルモスは右ストレートを狙っているのか、しきりに頭を左にずらす素振りを見せるが手数は少なくクーパーの手数の多さが印象に残る。しかし、残り時間1分20秒、不用意に正面にでながらワンツーから右ローキックに繋げたクーパーの顔面を、エルモスの狙いすました右ストレートが貫くとクーパーは真後ろに崩れ落ちる。このピンチをガードで凌いだクーパーが、攻防をスタンドに戻したところで第1ラウンドが終了した。

第2ラウンドが始まると、エルモスは距離を掴んだのか、クーパーのワンツーのうち終わりにも右ストレートを合わせ始める。両者のローキックが交差し、スリップしたエルモスにクーパーが襲いかかると、エルモスはこれをタックルで切り返しすぐにハーフガードまでポジションを勧めた後、数発ヒジを落とした後に距離を取って攻防をスタンドに戻す。立ち上がったクーパーが両足タックルで飛び込むと、これに成功。エルモスのオモプラータをつぶしてポジションをマウントまで進めると、アームバーを狙ったところでラウンド終了のブザーがなった。

これまでのスコアはイーブンと思われる両者だが、最終ラウンドが始まるとクーパーが積極的に前に出る。エルモスもジャブの手数を繰り出しジリジリとクーパーを押し戻すが、両者はともに決定打が得られない。残り時間30秒、退がりながらのカウンターからクーパーが両足タックルに飛び込むと、これを成功させて試合を終えた。

一進一退のこの女子ストロー級の一戦をジャッジは30-27、29-28、そして29-28でアマンダ・クーパーの勝利と評価。クーパーはこの勝利で3勝2敗、アンナ・エルモスは3勝2敗となった。

ヘビー級 5分3ラウンド
ジャスティン・レデット vs. マーク・ゴッドビアー



ボクサーのレデットに対し、積極的にローキックを繰り出すゴッドビアー。するとレデットはすぐに距離を詰めるとたやすくテイクダウンを成功させる。立ち上がろうと背中を見せたゴッドビアーのバックを狙う素振りを見せたレデットは相手の足関節狙いを押しつぶすと、今度はしっかりとそのバックを奪取。すぐさまその右腕を相手の首元に巻きつけると、1ラウンド2分16秒で試合をフィニッシュさせた。

「初めて試合でテイクダウンできたよ」と笑いながら明かした米国テキサス出身のジャスティン・レデットはこの勝利で8勝0敗1ノーコンテストと無敗記録を更新。地元テキサスでスーパーボール・ウィークエンドに開催されるUFCへの出場を熱烈アピール。一方、英国のヘビー級マーク・ゴッドビアーは11勝3敗となった。

ウェルター級 5分3ラウンド
ザック・カミングス vs. アレクサンダー・ヤコブレフ



至近距離に進み出たカミングスをやりにくそうにキックで押し戻そうと試みるヤコブレフ。カミングスは左のオーバーハンドを狙い上がら細かく右手を揺らし続ける。ヤコブレフは左右にサークリングを繰り返しながら時折ワンツーで前に出るものの、カミングスはすぐに距離を詰め、相手に金網を背負わせ続ける。

インターバル中のセコンドの指示通り、手数を増やしたカミングスが強烈な右ローを繰り出すと、これを被弾したヤコブレフはバランスをくずしてマットに倒れ込む。慌てて立ち上がったヤコブレフを一度は金網に押し込んだカミングスだがこだわらずに距離を取ると、すぐにジャブ、そして左のオーバーハンドで圧力をかけ続ける。なんとか流れを変えようと、残り時間1分10秒で両足タックルに飛び込んだヤコブレフをカミングスは投げ捨てるようにマットに叩きつけると即座にサイドポジションを奪取!間髪入れずに相手の右腕を捉えると、電光石火のストレート・アームバーでヤコブレフからタップを引き出した。

昨日の計量ではウェルター級のリミットをオーバーするなどコンディションに不安をみせたザック・カミングスだったが、蓋を開けてみれば見事なパフォーマンスでアレクサンダー・ヤコブレフを圧倒。2ラウンド4分2秒でサブミッション勝利を記録すると、その戦績を20勝5敗と伸ばすことに成功した。なお、ヤコブレフはこの結果23勝8敗1分けとなっている。

女子バンタム級 5分3ラウンド
マリオン・レノー vs. ミラナ・ドゥディエバ



レノーが広めのスタンスで鋭いジャブをちらしながら丁寧に距離を測っている。ラウンド中盤過ぎにレノーの蹴り足をとらえたドゥディエバがテイクダウンに成功するが、レノーは体を丸めて果敢に下からサブミッションを狙ってスペースを作ると立ち上がることに成功。呼吸を整えながらジャブを突いていたレノーが連打とともに相手を金網におしこんだところで第1ラウンドが終了した。

運動量の豊富なレノーが横に出たいドゥディエバの正面に回り込みながらジャブで手数を稼ぐと相手を金網に押し付ける。しかしドゥディエバは相手の一瞬をつく払腰でレノーをマットに投げ捨てる!すぐに立ち上がったレノーはうまく体を入れ替えると、相手を金網に押し込みながら、ヒジ、そしてボディへのヒザで相手を痛めつける。ボディへのヒザでドゥディエバの頭が下がるとレノーはすぐさまその顔面をヒザで突き上げ、ドゥディエバは防戦一方だ。

重たい右を振り回してレノーを押し戻そうと試みるドゥディエバだが、レノーとのスピードの差は明白だ。豊富なジャブで相手を下がらせたレノーはドゥディエバの背後に回り込むと、その首をひねるようにテイクダウンを成功させる。すぐにフルマウントを奪取したレノーは容赦のないパウンドとヒジを落とし続け、3ラウンド3分3秒、レフリーのグラント・ウォーターマンのストップを呼び込んだ。

前戦では判定に苦しんだレノーは、その戦前の言葉通り果敢にフィニッシュを狙い続けた結果、見事なTKO勝利を記録し7勝4敗。「これまで3回あなたと戦いたいと口にしたけど、この対戦要求は公式なものよ。ベチ・コヘイア、私とダンスしましょう」と女子バンタム級9位のベチ・コヘイアに対戦要求を突きつけた。一方ロシアのミラナ・ドゥディエバは11勝5敗と戦績を落とした。

バンタム級 5分3ラウンド
ブレット・ジョーンズ vs. クァク・グァンホ



積極的に右のローキックを繰り出すグァンホが相手の右にまわりこみながら、果敢に右を狙うとジョーンズはこれを片足タックルで切り返す。金網に背をつけしつこく立ち上がってくるグァンホを押し込みながら何度もテイクダウンをしかけたジョーンズが、6度目のテイクダウンでいに相手の背中をマットにつけると、サイドポジションで押さえ込みながらコツコツと右のヒジを落とし続けた。

右に回るグァンホの顔面をジョーンズの右アッパーが捉えると、グァンホは一瞬動きが止まる。さらに右のストレートで相手を下がらせるとジョーンズは両足で相手を金網に押し付け、今度は1度目のアテンプトでこれを成功させる。しかしグァンホはすぐに金網に背をつけると立ち上がり、攻防をスタンドに戻すと打撃で流れをつかむかに見えたが、ジョーンズは重たい右、そして意表をつく右の飛びヒザ蹴りなどで試合の主導権は渡さない。更に残り時間1分でジョーンズは再びテイクダウンを成功させた。

打撃で前に出るグァンホの打撃をがっちりガードを固めて防御するジョーンズが残り時間4分、タイミングをはかって両足タックルを一発で成功させる。しばらく相手のフルガードの中でパウンドを落としていたジョーンズが2分ほどでポジションをハーフガードまで進めるが、グァンホもここは丁寧にガードに戻すと攻防をスタンドに戻すことに成功する。さすがにここまでの無数のテイクダウンで疲れの見えるジョーンズだったが、らすと10秒はグァンホの打撃の連打をしっかりとガードを挙げて凌ぎきった。

30-27の盤石のユナニマス判定を収めたブレット・ジョーンズはこれで無敗の13勝0敗。対するグァク・グァンホはプロ初黒星を喫し、9勝1敗となった。

ウェルター級 5分3ラウンド
チャーリー・ウォード vs. アブドゥル・ラザク・アルハサン




開始早々から至近距離で激しく打撃を交換する両者だが、首相撲からの離れ際の右アッパーを皮切りに、アルハサンの猛烈な右のストレートが何度もウォードの顎先に吸い込まれる。アルハサンの強打を意に介する風もなく果敢にその左右でこれを迎え撃っていたウォードだったが、6発目の右を被弾し両膝を落とすと、その立ち上がり際を再び右で打ち抜かれ、ついに金網際に倒れこんだ。時間は1ラウンド35秒だった。
この勝利でUFCデビューのアブドゥル・ラザク・アルハサンはその無敗記録を7勝0敗と伸ばし、地元アイルランドのチャーリー・ウォードは3勝2敗となった。