
日本時間18日(月)にボストンで開催されるUFCファイトナイトのダロン・クルックシャンク戦を前にして、ポール・フェルダーは追いつめられた状況ではないかとの質問にはそっけない態度を見せた。
「これがオレの最後のファイトになるっていうなら、忘れられない一戦になるだろう。オレが言いたいことはそれだけ。オレが終わったなんてふざけるな。勝敗に関係なく、この試合が終われば、誰もオレがやめることは望まないはずだよ」
ポール・フェルダー対ダロン・クルックシャンクはUFCファイトパスにて放映! アーリープレリムは日本時間18日(月)午前8時スタート!
これ以上に正直でうそ偽りない話はないだろう。
ちょうど1年前、フェルダーにとっては何もかもが最高の状態だった。UFC 182のダニー・カスティーリョ戦で強烈なKO勝利を挙げ、たちまちライト級の“注目のファイター”となった。デビュー後、UFCで10連勝と完ぺきなスタートを切り、まさにスターファイターになろうとしていたのである。自分の意見をはっきりと口にし、ハンサムでエンターテインメント性あふれる戦いを見せるフェルダーは競争の激しい階級において、急激にランキングを駆け上るチャンスを与えられようとしていた。
その後、戦績を10勝2敗としたフェルダーは2連敗を喫した状態でUFCファイトナイト・ボストンのアーリープレリムでクルックシャンクと対戦する。
昨年7月、フェルダーは自身と同様にムエタイを得意とするエジソン・バルボーザ戦でパンチとキックの激しい応酬を交わす死闘を演じた。その結果、両者にはファイト・オブ・ザ・ナイトの名誉が与えられたが、フェルダーの連勝記録はストップ。再び勝ち星を重ねたい思いにかられたフェルダーはバルボーザ戦のわずか6週間後、元TUF(ジ・アルティメット・ファイター)優勝者でベテランのロス・ピアソンとの一戦に挑むも、スプリット判定で連敗を喫した。
この2連敗を振り返り、フェルダーはこう語っている。
「あの2試合は勝ったと思っていただけに、本当にがっかりした。力の限りを尽くしたのに、勝利が奪われた。ノックアウトされるとか、むかつくようなチョークやアームバーでサブミッション負けを食らうとか、そういうことであれば“やられた”って思うよ」
「でも、(自分が負けたような試合は)後味が悪い。スプリット判定と際どい判定での敗戦だったから自分を責めた。“何が足りなかったんだ? どこできっかけを逃した?”ってね。あの2戦に関しては何度もノックオウトを取ったしフィニッシュもあったのに、なぜああいう結果になった? なぜヤツらに勝てなかった?」
UFCという総合格闘技界における最高峰の舞台に立つようになった今、フェルダーは競争の激化を素早く正しく指摘する一方、周囲に持ち上げられたことでUFCを目指した初心の道を踏み出し、試合前の準備に変化が生じたことを素直に認める。
「連勝している時は“これからも進歩するし、やるしかない”と考えてしまう。オレはあっという間にUFCの最前線に押し出されたようなもの。2試合も戦えば、みんながオレのことを“次のダレソレになれるファイターだ”と話していた。その影響に身を任せてしまったら、うぬぼれも少し出てきてしまったんだ」
「今はそういうことから一歩下がっているし、フィラデルフィアに戻って、前にトレーニングをしていた人たちと一緒に取り組んでいる。BMFランチや(ドナルド)セラーニとか、そういう人たちともトレーニングを続けているけど、自分らしくいられるところに戻るってことが大事なんだ。今の自分は暴れたくてたまらない野蛮人みたいな気分さ。試合が待ち切れない」
フェルダーが『Twitter(ツイッター)』を通じて発信したメッセージを考えれば、希望通りの対戦カードを手に入れたと言えるだろう。
「ダロン・クルックシャンクに1月はどういう予定かって、愛想良く聞いたんだ。そうしたら試合が決まった」と笑うフェルダーは「クルックシャンクのツイッターを見て彼が対戦相手を探しているのを知っていたからね。それで“一緒に戦って金儲けをしようぜ。ファイト・オブ・ザ・ナイト獲得を目指そう。チョロい仕事だろ。あんたとオレなら10秒で終わったとしてもエキサイティングな一戦をやれる”と言ったんだ」と続けた。
「彼みたいなファイターと一戦を交えたいと思っていたんだ。2連敗をした後で、どんなヤツか知られていない相手は嫌だった。そいつには絶対に負けるわけにいかなくなるからだ。オレがピンチに陥っているのは間違いないしね。ダロンに負けたとしても、少なくとも、彼はUFCで経験があるから知られている。正直に言って、あっちも2連敗中だし派手な試合になると思うな」
変わった方法ではあるが、フェルダーは2014年終盤の状況に戻ったようだ。カスティーリョ戦でスピニングバックフィストがさく裂する前の頃、熱狂の嵐が起き、際どい判定負けで後味の悪い思いをし、何も感じられなくなってしまう前の状況である。
奇妙なことに、今のフェルダーは2014年終盤頃に戻ったように見える。ダニー・カスティーリョ戦でスピニングバックフィストがさく裂するよりも前、熱狂の嵐が起き、際どい判定負けにより後味の悪い思いをして何も感じられなくなってしまうよりも前の頃だ。
「覚えているかどうか分からないけど、去年の今ごろはボストンでジョニー・ケースとの対戦が予定されていたんだ。ところが、その対戦カードがなくなって代わりにダニーと対戦した。だから、アイルランド出身の人たちに特別な愛情を持っているボストンの観衆の前で戦うチャンスが、もう1度与えられたことになる。新年のスタートとしては最高だ」
そうボストン開催の試合について語るフェルダーは「すべてが正しいと感じているし、楽しい一戦になるに違いない」と締めくくった。