日本時間2016年11月13日（日）に米国ニューヨーク州ニューヨーク市のマディソン・スクエア・ガーデンで開催されたUFC 205セミメインイベントの試合レポート。
ウェルター級タイトルマッチ 5分5ラウンド
タイロン・ウッドリー vs. スティーブン・トンプソン
日本時間2016年11月13日（日）に米国ニューヨーク州ニューヨーク市のマディソン・スクエア・ガーデンで開催されたUFC 205のセミメインイベントで、これまで7連勝と快進撃を続けてきたスティーブン・トンプソンを相手に、UFCウェルター級王者のタイロン・ウッドリーは互いに見せ場を作った5ラウンドの激戦を戦い抜くと、マジョリティドローで自身初めてとなる王座の防衛を成功させた。
試合終了直後はスプリット判定勝利とコールされたものの、ジョー・ローガンによる試合後インタビューの最中にマジョリティドローと試合結果の一部が修正される珍事が発生。その後、改めてローガンにより第4ラウンドに打撃を効かせた後、サブミッションを狙った判断について問われたウッドリーは「スペースを作って強い打撃行くべきだった」と言葉少なく振り返った。
金網に手をつきうつむきながら自身のパフォーマンスへの悔しさを滲ませた王者とは対照的に、敗れたトンプソンは試合後に「俺が勝っていたと思うけど、どうでもいいさ。もう一度やろうぜ、この場所、ここ、マディソン・スクエア・ガーデンでな」と力強く語りファンの喝采を浴びた。
両手を低く、そしてゆったりと広げるように構えたトンプソンがオクタゴンの中央に陣取り、ウッドリーの左右への動きに合わせてスタンスを左右にスイッチする。なかなか前に出られないウッドリーだったが、残り時間2分50秒、トンプソンの不用意なローキックをキャッチすると、そのまま突進してトップポジションを奪取。ハーフガードで密着しながらコツコツとパウンドを落とす。脇を刺されたトンプソンは無理をせずに相手の頭部を引き付け、残り時間30秒でポジションをガードに戻すものの、ウッドリーがガードに飛び込みながらパウンドを落とすとこれを被弾。ラウンド終了のブザーが鳴った時にはその鼻梁からおびただしい出血が見られた。
1ラウンド同様のゆったりとした構えでじりじりとプレッシャーをかけるトンプソンがパンチのコンビネーションで距離を詰めるとウッドリーが即座に胴タックルで組み突き相手を金網に押し付ける。トンプソンは相手の手首をうまくコントロールしながら体を入れ替えると、中盤過ぎに距離をとることに成功、再び中間距離でプレッシャーをかけ始める。上体を起こされたウッドリーがパンチを放つと、トンプソンは上半身のスウェーだけでこれをかわしながら鋭いジャブを相手に叩き込む。ウッドリーがパンチを繰り出しながら強引に前に出たところで第2ラウンドが終了した。
これまでとは変わってウッドリーがオクタゴンの中央をとる時間が増え始めるが、トンプソンは巧みに回り込んで金網を背負わない。挑戦者は次第に圧力を強めると、開始後90秒ごろにはウッドリーを下がらせ始め、散発的ながらも的確なパンチをウッドリーに命中させる。残り時間1分、ウッドリーの重たいカーフキックがトンプソンのバランスを崩すがトンプソンはすぐに体勢を立て直すと、これまで通り、細かなフェイントと的確なパンチでトンプソンを押し戻す。残り時間数秒でウッドリーがパンチの連打で飛び込むが、これは決定打とはならなかった。
ジリジリと前に出始めるウッドリーのジャブにトンプソンが見事な右のカウンターを合わせてみせる。しかしウッドリーは果敢に距離を詰めるとコンビネーションを繰り出し始め、ウッドリーのパンチが次第にトンプソンを捉え始める。ラウンド中盤に至近距離でのウッドリーの右が立て続けにトンプソンを捉え、トンプソンがふらつきながら後ずさる！トンプソンがウッドリーをパンチで押し戻そうと試みると、またもやウッドリーの右ストレートがトンプソンを直撃！頭の下がったトンプソンの首をギロチンに抱えたウッドリーが渾身の力で締め上げるが、トンプソンは腰を上げてこれをディフェンス。ラウンド終了間際に首を引き抜いたトンプソンが猛烈なパウンドを連打して、ポイントの挽回を図る。
すぐに距離を詰めたトンプソンが鋭いジャブとストレートでウッドリーに圧力をかけ始める。トンプソンのトレードマーク、後ろ回し蹴りがウッドリーを襲うが、ウッドリーはしっかりとこれをブロック。何度も飛びこむウッドリーだが、トンプソンはダメージを感じさせない素晴らしい反応を見せ、ウッドリーに入らせない。最後までトンプソンが圧力をかける中、一進一退のウェルター級タイトル戦が終了した。
ジャッジの判定は47-47、47-47、そして48-47（ウッドリー）だった。なお、この結果王者ウッドリーは16勝3敗1分、トンプソンは13勝1敗1分けとなっている。