日本時間5月15日(日)、ブラジル・パラナ州クリチバにあるアレナ・ダ・バイシャーダで行われたUFC198のレリミナリーファイト(前座試合)後半戦の試合レポート。
ウェルター級 5分3ラウンド
デミアン・マイア vs. マット・ブラウン
日本時間2016年5月15日(日)にブラジルのクリチバで開催されたUFC 198のプレリミナリーファイトのメインイベントではウェルター級6位のデミアン・マイア(プロ通算戦績23勝6敗)と同級8位のマット・ブラウン(プロ通算戦績22勝14敗)が激突した。試合は3ラウンドに渡り、マイアがその脅威のグラップリング・テクニックでブラウンを圧倒。何度となく訪れるピンチを凌ぎ続けたブラウンを試合時間残り29秒で仕留めたマイアは、試合後のインタビューで「準備は出来ている。タイトル戦をやらせてくれ、俺の夢なんだ」と同級へのタイトル挑戦権を要求した。
マイアのテイクダウンを警戒し、両手を下げて構えるブラウンに対し、豊富にジャブを突きながら距離を詰める。マイアは二度目のアテンプトでタックルを成功させると立ち上がろうとするブラウンを捉え、残り時間3分20秒にはその背後に飛び乗るとすぐにブラウンを世界最高とも評される自身のグラップリング・ゲームに引き込んだ。背後から何度となくフェイス・ロック、そしてアームバーを狙うマイアに対し、ブラウンは金網に相手を押しつけるように座り込み、自身の胴が伸ばされないように賢く防御し続ける。残り時間が少なくなり、マイアの強引なアームバー狙いに対し、ブラウンがトップを奪ったところで第1ラウンドが終了した。
切られることを前提としたダブルレッグ・タックルで飛び込んだマイアはそのまま相手を金網際まで押し込むと、シングルレッグに切り替えすぐに相手のバックを奪う。しばらくは金網に額をつけてテイクダウンを拒んでいたブラウンだったが、小外掛けでバランスを崩され、ガッチリとマイアにバックを奪われてしまう。残り時間2分30秒、金網際から相手を引き離したマイアが背後から強烈なパンチを振るってチョークのチャンスを伺うが、ブラウンはなんとか金網にマイアを押し付けようと試みている。残り時間10秒でマイアがアームバーを狙うとブラウンはやはりトップを奪い、数発の細かいパウンドを落とす。
遠い間合いからタックルで飛び込んだマイアが、テイクダウンにはこだわらずに引き込みの素振りを見せるがブラウンは付き合わない。さらにタックルに飛び込んできたマイアの引き込み際に、ブラウンが2発の左を命中させる。引き込むマイアに対し、即座にトップを奪いに躍りかかったブラウンだったが、これはマイアの罠。すぐにディープ・ハーフガードからのシングルレッグでトップを奪い返されると、三度そのバックを許してしまう。強引なフェイスロック狙いを諦め、しばらく背後からパンチを放ち続けたマイアが、ついにその左腕をブラウンの喉元に滑り込ませ渾身の力で締め上げる!これまで何度もマイアの攻撃をしのいできたブラウンだったが3ラウンド4分31秒、敵地ブラジルが大歓声を上げる中、ついにタップを許した。
2012年1月にクリス・ワイドマン戦後にウェルター級に転向したサンパウロの英雄マイアは、ウェルター級では8勝2敗。現在5連勝中と説得力のある活躍を続けている。
ミドル級 5分3ラウンド
チアゴ・サントス vs. ネイサン・マーコート
開始早々からサウスポーにスイッチしたサントスが多彩で豪快な左のキックを振り回す。経験豊富なマーコートはしっかりとこれらをブロックしながら、得意の右を時折繰り出し、テイクダウンの機会を伺っている。残り時間2分、マーコートが前に出たところにサントスの左が直撃し崩れ落ちたマーコートだったがここはすぐに立ち上がる。しかしサントスはすぐに距離を詰めると、金網を背負ったマーコートに左ハイキックを一閃!これで相手の動きを止めると、ガードを固めるマーコートに左右の連打を叩き込む。するとそのうちの一発の左がマーコートの後頭部を捉え、マーコートは突っ伏すようにマットに崩れ落ちた。
元Strikeforceウェルター級王者のネイサン・マーコートをわずか3分39秒にKO葬ったブラジルのチアゴ・サントスはこれでUFC戦績3勝0敗。その通算戦績を13勝3敗と戦績を伸ばした。一方、コロラドの古参兵ネイサン・マーコートは37勝16敗2分けとなった。
ライト級 5分3ラウンド
フランシスコ・トリナウド vs. ヤンシー・メデイロス
サウスポーのトリナウドは即座に組み付き相手を金網に押し込みしぶとくテイクダウンを狙い続ける。首相撲の得意なメデイロスは涼しい顔でこれを受け止めると、時折小さな打撃を織り交ぜながら逆にテイクダウンを仕掛けて見せる。ともにポジションを進めることができず、残り時間2分ほどでメデイロスが距離をとって攻防をスタンドに戻す。5.5インチのリーチ差を活かし、戦前は「打ち合いをする気はない」と語っていたメデイロスが距離を取って戦うかと思われたが、トリナウドの思い切りのよい飛び込みを制することができず、その強烈な左ストレートが面白いようにメデイロスの顎先に吸い込まれる!腰がおち、バックペダリングを繰り返しながらも必死の応戦を見せるメデイロス!レフリーのダン・マグリオータがいつストップに飛び込んでもおかしくはない、といった状況に陥るも、メデイロスはなんとかラウンド終了まで持ちこたえた。
前ラウンドに猛攻を見せたトリナウドは距離を取って呼吸を整えている。一度はパンチで距離を詰めたトリナウドだが決定的な形は作れない。メデイロスはフロントキックを織り交ぜトリナウドのスタミナを削りにかかる。大きく口を開けて苦しそうなトリナウドは時折鋭い左右のパンチで飛び込むが、メデイロスはそれらを意に介さずに豊富に手数を繰り出し前に出る。残り時間10秒でメデイロスの右がきれいにトリナウドを打ち抜き、トリナウドが両膝をついたところでラウンドが終了した。
オーソドックスのメデイロスに対し、その外が取りたいトリナウドだがなかなかその機会が訪れない。パンチを被弾することを厭わず前に出るメデイロスに対し、トリナウドはジリジリと下がりながら相手の隙を探っている。ラウンド中盤、意を決したトリナウドが飛び込むと、その左オーバーハンドがメデイロスを直撃!フラフラと後退するメデイロスにトリナウドが襲い掛かるとKO決着を期待し会場が湧き上がる。金網際で何度となくトリナウドの左右を被弾し、崩れ落ちるメデイロス。トリナウドは即座に追い打ちのパウンドと共に襲い掛かるがメデイロスは長い手足を折り曲げしっかりと防御しながら、絶妙なタイミングでスタンドへと脱出してみせる。ふらつくメデイロスを見た誰もが、フィニッシュ決着を予想したであろうこの一戦だったが、なんと終盤のスクランブルでメデイロスがトップを奪い返してみせたところで終了した。
判定は29-26、30-27、30-26でトリナウド。地元ブラジルでその連勝を6と伸ばしたフランシスコ・トリナウドは通算戦績は20勝4敗。ライト級の頂点へと向かって着実にその歩を進めている。対するハワイのメデイロスは驚異的な打たれ強さと折れない心で見るものすべてに強い印象を残すも、12勝4敗1ノーコンテストとなった。
バンタム級 5分3ラウンド
ジョン・リネカー vs. ロブ・フォント

リーチ差を有するフォントが時折サウスポーにスイッチしながら前に出る。フライ級からバンタム級へと階級を上げてきたリネカーはジリジリと下がりながらも距離が詰まると強烈な右ボディをめり込ませる。会場のファンが大歓声で後押しすると、リネカーはべた足で真正面からフォントを追い始め、オクタゴンの中央を支配し始める。リネカーはボディ打ちからの左フックや右のオーバーハントを振り回し、フォントはジャブの手数も減ってしまう。残り時間1分40秒にはリネカーのアウト・ローで転倒するが、フォントはすぐに立ち上がる。しかしリネカーの圧力は一向に緩まず、その後フォントがリネカーの圧力に屈するような形で下のポジションを奪われてしまう。
2ラウンドに入るとリネカーはフォントの前足のふくらはぎをローキックでしつこく痛めつける。1分ほど経過するころには再びリネカーがオクタゴンの中央に陣取り、フォントはジャブが伸ばせない。ラウンド中盤、金網を背にしたフォントがなんとかリネカーの圧力から逃れようと、左右にステップを繰り返すが、リネカーはどっしりと構えて豪快な左右のパンチを振り回し、ローキック、そしてハイキックも織り交ぜる。ラウンド終盤に入ると両者はともにテイクダウンを試みるが、それが成功することは無く、攻防はスタンドのまま続けられた。
フットワークとジャブでリネカーを押し戻そうとするフォントだが、リンカーは前に出るフォントの前足に強烈なローキックを数発叩き込み、その後得意のボディ打ちですぐに攻防の主導権を握る。金網を背にしたフォントがリネカーの強烈なボディで思わず頭を下げるとがら空きの顔面にリネカーの強打が吸い込まれる。剛腕と共に突進するリネカーの圧力に対し、フォントは引き込むように下のポジションを受け入れながらも致命打は許さない。試合終了間際にはリネカーは打ち合いを要求し、フォントもこれに果敢に応じようと試みたが、フォントはその最後のチャンスも活かすことは出来なかった。
ジャッジの判定は30-27、29-28、30-26で地元ブラジルのジョン・リネカーを勝者として支持。フライ級時代にはたびたび減量に苦しんだ“ハンド・オブ・ストーン”ことリネカーはバンタム級転向後は2連勝。その通算戦績を27勝6敗と伸ばした。対するニュー・イングランド出身のロブ・フォントはUFC初黒星を経験。その戦績を12勝2敗とした。