日本時間2016年3月20日(日)にオーストラリアのブリスベン・エンターテインメント・センターで開催されたUFCファイトナイト・ブリスベン大会メインカードの試合レポート
日本時間2016年3月20日(日)にオーストラリアのブリスベン・エンターテインメント・センターで開催されたUFCファイトナイト・ブリスベン大会のセミ・メインイベントで、ウェルター級で快進撃を続ける連戦男、ニール・マグニーと、かつてキューバの柔道代表選手としてシドニー・オリンピックを沸かせたヘクター・ロンバードが対戦した。
試合開始直後にロンバードの猛打を被弾し窮地に陥ったマグニーは、冷静な試合運びと驚異的な回復力で1ラウンド終盤から反撃を見せ、そして3ラウンド46秒でこれまでのプロ41戦で一度もフィニッシュされたことのないロンバードを相手にマウントからのパウンドの連打によるフィニッシュ劇を披露した。
見事な勝利で戦績を18勝5敗と伸ばしたコロラドのマグニー(現ウェルター級9位)の今後のトップランカー達との対戦の実現を心待ちしたい。対する現ウェルター級13位のヘクター・ロンバードはプロ通算戦績を34勝5敗1分け2ノーコンテストとなった。
リーチにして9インチの不利を強いられるロンバードは試合が始まると即座にサウスポーに構えながら強引に距離を詰める。マグニーは一度はうまく回り込んで距離を取ることに成功したが、ロンバードは再びマグニーに歩み寄ると強烈なオーバーハンドを振るいながら距離を詰め、至近距離からのパンチを連打!この中で右のオーバーハンドを被弾したマグニーがマットに崩れ落ちるとロンバードは即座に相手に覆いかぶさり重たいパウンドの連打を振り落とす!大砲の様なパウンドの嵐にさらされながらも動き続けるマグニーは残り時間1分30秒で攻防をスタンドに戻すことに成功、どうにか最初の大ピンチを凌ぎ切った。その後のタックルは潰されたマグニーだったが、残り時間が30秒前後から鋭いジャブ、低い軌道のローキックで反撃を試みた。
相手の右に回り込みながらのマグニーの左ジャブが動きの落ちたロンバードの顔面を刻む。ロンバードが距離を詰めるとマグニーはすぐに首相撲に切り替え、ヒザ蹴りを数発と繰り出すとうまく相手を振り回し距離を取り、至近距離での攻防には付き合わない。残り時間3分30秒、相手の首相撲に対して強引に組み付き、もろ差しを作ったロンバードだったがマグニーはこれを振りほどく。マグニーはすかさずジャブで相手を削りにかかるが、このジャブをほとんど棒立ちで浴びながら繰り出したロンバードの左ストレートがマグニーを後方に吹っ飛ばす!すかさずカバーに入りトップを奪ったロンバードだったが、マグニーはロンバードの足関節技狙いにタイミングを合わせて上のポジションを奪い返すとすかさずマウントポジションを奪取!間髪入れずに三角締めで引き込み、アームバー、そして再びマウント・ポジションからのパウンドで一方的にロンバードを攻め立てる。残り時間1分、パウンドを嫌がり腹這いになったロンバードを完全に伸ばしたマグニーが背後からパウンドを連打!ロンバードは頭をカバーするだけで動くこともままならない!いつストップがかけられても不思議はない状況に追い込まれたロンバードだったが、ほぼ1分間に渡り一方的にパウンドの連打を浴びながらも、試合は続行され第2ラウンド終了のブザーまで生き延びた。
第3ラウンドが始まると、ダメージの少なさを誇示するような軽やかな足取で、マグニーはすかさず距離を詰めるとパンチの連打から右ヒジを命中、さらに両足タックルでロンバードから容易くテイクダウンを奪って見せる。間髪入れずにマウント・ポジションを奪うと相手をマウント・トライアングルの形に捉え、パウンドの連打を振り落とす。為す術のないロンバードを見て、レフリーのスティーブ・パーセヴァルが今度は即座に両者の間に割って入り、3ラウンド46秒で試合の終了を宣告した。
ライト級 5 分3ラウンド
ジェイク・マシューズ(155lbs/70.31kg) vs. ジョニー・ケース(155lbs/70.31kg)
ゆったりとオクタゴンの中央で構えるケースに対してマシューズは前後左右に動きながら、時折右のストレートで飛び込むが、ケースは構えをスイッチしながらじりじりとマシューズに圧力を強めてゆく。マシューズの飛び込みよく見ながら、ケースは鋭いコンビネーションを繰り出すが、マシューズの強気は崩せない。残り時間2分30秒、金網際まで詰められたマシューズがタックルに飛び込むと、ケースは右わきを刺して簡単にこれを潰すと攻防をスタンドに戻す。時折マシューズの重そうな右がケースを捉えるがケースは圧力を弱めない。残り時間1分20秒、大きく前に出たマシューズに対して打ち合いに応じたケースが離れ際の大ぶりの左を被弾!顔色の変わったケースが怒りに満ちた表情で猛然と距離を詰めると、セコンドのエリック・デル・フィエロから「ディフェンス!」と叫び声が上がる。この声で落ち着きを取り戻したケースが相手の踏み込みに、軸をずらしながらの左ストレートを叩き込んだところで第1ラウンドが終了した。
第2ラウンドが始まると、ケースは再びリラックスした様子で距離を詰めると鋭いコンビネーションを繰り出し始める。タフなマシューズは金網沿いに大きく右に回りながら飛び込みの機会を伺い、残り時間3分30秒で繰り出したミドルを命中させるとケースが一瞬ダメージを受けた素振りを見せる。即座にマシューズに組み付きダメージの回復を図るケースをマシューズは三角絞めに捉える。ケースはしっかりと胸を張ってこれを逃れると、鋭いパウンドを振り落とす!すぐに暴れて立ち上がろうとするマシューズを、ケースは横亀、そしてハーフとポジションを変えながらコントロールし、コツコツとパウンドを落とすが残り時間1分でマシューズが攻防をスタンドに戻すことに成功する。残り時間30秒、再びマシューズのミドルに明らかに嫌がる素振りを見せたケースがタックルで飛び込み、テイクダウンに成功したところで第2ラウンドが終了した。
小さくグローブを合わせて最終ラウンドを開始した両者だが、マシューズのミドルを警戒したケースはやや圧力が弱まったように見える。マシューズはフロントキック、ミドルキック、そしてパンチで徹底的にケースのボディを狙っと見せかけ、残り時間2分40秒で左のフックをケースの側頭部にクリーンヒット!すかさずタックルに飛び込むケースだがマシューズアはしっかりとこれを潰して距離を取る。残り時間1分40秒、打撃戦を避けてマシューズを金網に押し込んだケースだったがボディへのヒザ蹴りを嫌がり相手の足を不用意に取りに行ったところで腹固めの様な状態からバックを奪われてしまう。がっちりと相手をコントロールしながらチョークを狙い続けたマシューズは3ラウンド4分45秒、ついにケースを腹這いに伸ばすとがっちりとチョークを食い込ませ、ライト級の実力者からタップを引き出した。
今大会の最年少ファイター、21歳の豪州ファイター、ジェイク・マシューズはケースの連勝を12でストップするとともにUFC戦績4勝1敗、通算戦績は11勝1敗となった。対するアイオワのジョニー・ケースは22勝5敗と戦績を落とした。
ミドル級 5分3ラウンド
ダニエル・ケリー(186lbs/84.37kg) vs. アントニオ・カルロスJr.(186lbs/84.37kg)
オリンピックに4度の出場経験を誇る、オーストラリアの柔道ファイター、ダニエル・ケリーに対してカルロスJr.はすぐに両足タックルに飛び込むと難なくこれを成功させる。立ち上がろうとするケリーからしっかりとバックを奪ったカルロスJr.は四の字フックで相手の胴体を背後から締め上げながら、じっくりとフィニッシュの機会を伺っている。やや高い位置でバックをとり、時折パウンドを織り交ぜながらチョークを狙ってくるカルロスJr.に対し、ケリーはしっかりと首を守っている。残り時間10秒、残り時間を見てリスクを取る判断をしたカルロスJr.がアームバーにケリーを誘うが、ケリーががっちりと両手をクラッチさせてこれを守り切ったところで第1ラウンドが終了した。
第2ラウンドが始まるとケリーは乱暴な左右を振り回し、カルロスJr.に襲い掛かる。距離が詰まるとカルロスJr.は両足タックルを試みるが、ケリーはしっかりとバックステップでこれを嫌い、スタンドでの攻防をキープする。残り時間4分、カルロスJr.の飛び膝蹴りが命中するがケリーはひるまない。ケリーがじりじりと前にでてカルロスJr.の左手を右手でつかむと、空いた左手でストレートを叩き込む。残り時間2分30秒、タックルに飛び込んできたカルロスJr.をしっかりとがぶって潰したケリーが横亀の態勢からパンチを振るうと場内から歓声が上がる。カルロスJr.はこれを嫌って立ち上がり、攻防をスタンドに戻す。タックルに飛び込み立ち上がろうとするケリーの背後に飛び乗ったカルロスJr.だが、ケリーを完全にはコントロールできずに前に落とされてしまう。カルロスJr.が一旦距離を取るため後ろに下がろうとした際に、右の足首を捻ってしまい、これを誤魔化すように引き込みを試みる。ケリーはこの誘いには乗らず、両者が再びスタンドで距離を取る中第2ラウンドが終了した。
組み付きたいカルロスJr.が相手を押し込みながら繰り出した膝蹴りがケリーの下腹部を直撃したため、いったん中断された攻防はすぐに再開される。再開後に組み付いてきたカルロスJr.をすくい投げで跳ね上げたケリーは直後のカルロスJr.のタックルを潰すと、そのまま横亀からパウンドを連打!カルロスJr.は何とか引き込み態勢を立て直そうとするが、ケリーの猛烈なパウンドの嵐は止まらない!一度はハーフガードにポジションを戻したかに見えたカルロスJr.だったが、その後もパウンドを浴び続け、うつぶせになり動きが止まったのを確認したレフリーのグレッグ・クレンジャスが試合の終了を宣告、3ラウンド1分36秒の出来事だった。
燃え盛るような闘争本能で、見事な逆転勝利を記録したオーストラリアのミドル級ダニエル・ケリーは戦績を11勝1敗と伸ばし、戦前は有利と予想されていたTUFブラジルシーズン3優勝者のアントニオ・カルロスJr.は6勝2敗と戦績を落とした。
ミドル級 5分3ラウンド
ジェームス・テフナ(205lbs/92.99kg) vs. スティーブ・ボッセ(204lbs/92.53kg)
剛腕ストライカー、ボッセの打撃を意に介する風もなく、オクタゴンの中央を陣取ったテフナはリラックスした構えから伸びのある打撃を繰り出してゆく。一度大きく回り込んで距離をとったボッセは距離を詰めるとテフナのジャブに合わせて相手の横に回り込むながら、右のショート・フック、そして続くショート・ストレートをテフナの顎先に叩き込む!糸が切れた人形のように横に崩れ落ちるテフナを見て、レフリーのマーク・ゴダードが即座に試合の終了を宣告。時間は僅か52秒だった。
これで11勝2敗となったカナダのライトヘビー級の有望株、スティーブ・ボッセは11勝のうち、実に9勝をKOで記録と驚異のフィニッシュ率を誇っている。一方連敗脱出を賭け、地元オーストラリアでの一戦に臨んだジェームズ・テフナだったが2013年5月のグローヴァー・テイシェイラ戦から数えてこれで5連敗。通算戦績も18勝9敗となってしまった。
女子ストロー級 5分3ラウンド
ベック・ローリングス(116lbs/52.62kg) vs. ハム・ソヒ(115lbs/52.16kg)
サウスポーのハムは、長身でオーソドックスに構えるローリングスに対し、まずは右手を前に突き出し距離感をつかみにかかる。ローリングスはやや近い距離に構えまっすぐのパンチを主体にハムを突き放しにかかるが、ハムはじりじりと前進する。時折ローリングスの飛び込みながらのまっすぐのパンチが命中するシーンも見られるが、ハムは相手が飛び込むと軸をずらしてスピードのあるコンビネーションを繰り出してゆく。ローリングスの陣営からは「前にでろ!と指示が飛ぶが、ハムは圧力を緩めずそれを許さない。ラウンド終盤に一瞬組み合いの攻防になったが、ここもすぐにローリングスが振りほどき、1ラウンドは終始スタンドの攻防が展開された。
ローリングスがジャブを細かく前につき前に出るが、ハムは即座に横に回り込み立て直す。時折ローリングスが連打と共に突進するが、ハムは回転の速いパンチの連打でそれらを押し戻す。残り時間3分、ハムのミドルが音を立ててローリングスのボディにめり込むが、直後のフロント・キックをつかんだローリングスがテイクダウンに成功。ハムは相手をがっちりとクローズド・ガードに捉えると、下からアームバー、そしてオモプラッタを狙う。その後のスクランブルからしばらくバックを奪われたハムは、うまく体をよじるようにトップを取り戻すと、残り時間1分でスタンドを攻防に戻すことに成功した。残り時間30秒、ハムがローリングスに突進し、金網際でテイクダウンを狙うがこれは不発。距離をとったハムが再びミドルを命中させたところで第2ラウンドが終了した。
ラウンド・インターバルでは両陣営から「相手の外をとれ」と指示が出た模様だが、ハムの圧力に負けたローリングスが遠い距離から苦し紛れのタックルに飛び込むと、ハムは相手の背中をまたぐようにアームバー、そしてリバース・トライアングルを狙う。なんとか上体を引き抜き、数発パウンドを落とした後に距離を取ったローリングスだが、スタミナを消費しすでにかなり苦しそうだ。ハムがコンビネーションで突進すると両者は金網際でテイクダウンの攻防へともつれ込む。長身のローリングスに頭で顎を押し上げられたハムは金網にくぎ付けにされ、有効な攻撃が繰り出せない。残り時間40秒、一度は首相撲で相手を振りほどいたかに見えたハムを、ローリングスが再び執念で金網に押し込む中、最終ラウンドの終了を告げるブザーが鳴った。
全体を通じてハムの圧力が見られた女子ストロー級戦だったが、ジャッジは30-27、30-27、29-28で地元ブリスベン出身のローリングスを勝者として判定。ローリングスはこの勝利で7勝4敗となった。一方韓国の実力者、ハム・ソヒはUFCでの初めての連勝は達成ならず。16勝7敗と戦績を落とした。