日本時間2017年1月29日(日)に米国コロラド州デンバーにあるペプシ・センターで開催されたUFCファイトナイト・デンバー大会メインカードの試合レポート
ウェルター級 5分3ラウンド
ドナルド・セラーニ vs. ホルヘ・マスヴィダル
「この外側には偽物のメディアばかりじゃないか。俺が本物のファイターだ。誰かがやられるところを見たいなら、俺に注目しろ」
日本時間2017年1月29日(日)に米国コロラド州デンバーにあるペプシ・センターで開催されたUFCファイトナイト・デンバー大会のセミ・メインイベントで、ウェルター級5位の強豪ドナルド・セラーニをほぼ一方的な試合内容で2ラウンド1分で粉砕した同級12位のホルヘ・マスヴィダルは吐き捨てるようにそう語った。
マスヴィダルは今夜のセラーニ戦で勝利したことにより、直近の試合で7勝3敗の戦績を記録したことになるが、この3つの敗北はいずれも極めて僅差のスプリット判定によるもので、その判定に納得をしていと公言してはばからないマスヴィダルにとって、前回の試合で勝利し実現した待望のビッグマッチでの圧倒的な勝利すらも、その鬱積した気分を晴らすには十分ではなかったように見える。
しかし本戦での対戦相手セラーニは、通算戦績32勝8敗1ノーコンテスト、ライト級ではタイトル戦まで上り詰め、ウェルター級転向後も3連続KO勝利を記録した紛れもない“本物のファイター”だ。そんな両者の対戦とあって、一進一退の攻防になるだろうと見る向きもあった本戦だったが、ふたを開けてみれば多くの予想を覆す一方的な試合展開となった。
互いにスタイルのよく似た両者はアップライトに構えると、中間距離でキックとパンチで攻略の糸口を探りあう。セラーニがやや手数で上回るが、マスヴィダルがパンチの精度で上回り、じりじりと前に出始める。フロントキック、そしてアウト・ローで距離を取ったセラーニが残り時間2分で両足タックルを見せるがマスヴィダルはなんなくこれを振りほどく。残り時間1分、セラーニが細かなフェイントからのパンチでマスヴィダルを崩しにかかるがマスヴィダルは崩れない。マスヴィダルのパンチが的確にセラーニの顔面をとらえ、これを嫌がったセラーニが強引にミドルを繰り出すが、マスヴィダルはその蹴り足をキャッチすると、猛烈な左右のパンチでセラーニを殴り倒す!体の伸び切ったセラーニにマスヴィダルがパウンドの連打で襲い掛かり万事休す、かと思われたところで第1ラウンド終了のブザーが鳴った。
マスヴィダルが中間距離からの圧倒的な精度のパンチでセラーニを下がらせる。コーナーの指示通り、頭を振りながらパンチ、そしてキックを繰り出すセラーニだがマスヴィダルは圧力を弱めない。セラーニが左ミドルでマスヴィダルを押し戻そうとすると、これをブロックしたマスヴィダルは左、そして右のパンチで応戦。この右がセラーニの顎先を捉えるとセラーニがよろめくように崩れ落ちる!距離を詰めたマスヴィダルはガードを固めて立ち上がるセラーニに左右のパンチを繰り出し続け、2ラウンド1分00秒にレフリー、ハーブ・ディーンのTKOによるストップを呼び込み、その戦績を32勝11敗と伸ばした。
ヘビー級 5分3ラウンド
アンドレイ・アルロフスキー vs. フランシス・ガヌー
オクタゴンの中央に陣取るガヌーの周囲を回りながら、アルロフスキーは細かくローを散らしてパンチへつなげるチャンスを伺っている。開始後1分25秒、アルロフスキーが左ローから右オーバーハンドへとつなげると、ガヌーはこれを左フック、そして返しの右フックで迎え撃つ。この二発目の右がまともにアルロフスキーの側頭部を打ち抜くと、アルロフスキーが真下に崩れ落ちる!すぐにフォローのパウンドを繰り出すガヌーに対し、カメの状態で動きの止まったアルロフスキーを確認したレフリーのアダム・マルティメスが試合の終了を宣告、時間は1分32秒だった。
ヘビー級7位のアンドレイ・アルロフスキーを見事なTKOで粉砕したフランス在住のカメルーン・ファイター、フランシス・ガヌーは試合後に「前回の試合の勝利後にトップ10の誰かとやりたいと発言したら、UFCは俺に元王者という最高の相手を用意してくれた。次なるステップに繋がるこの試合に勝利で来てとてもハッピーだよ」と自身のパフォーマンスを振り返った。UFC登場以来5戦5勝、5フィニッシュ勝利と圧倒的な強さでヘビー級ランキングを駆け上がるガヌーはこの勝利でプロ通算戦績を10勝1敗と伸ばした。一方、2014年のUFC復帰以来、一時は4連勝を記録した元UFCヘビー級王者のアンドレイ・アルロフスキーだったが25勝14敗1ノーコンテスト。4連敗となったアルロフスキーは苦しい立場に追い込まれた。
フェザー級 5分3ラウンド
アレックス・カサレス vs. ジェイソン・ナイト
サウスポーのカサレスの左ミドルをキャッチしたナイトが金網に突進するが、カサレスはしっかりとこれを受け止め押し戻す。すぐに両者はオクタゴンの中央で激しく打撃を交換。ナイトは右ストレートを主軸にジャブ、そして多彩なキックを散らすがカサレスは大きなヘッドムーブでナイトの強打を避けつつ、リーチの長い打撃でこれに応戦する。残り時間35秒、カサレスのローキックをキャッチしたナイトが右ストレートを命中させるとカサレスは尻餅をつき後退。一気に圧力を強めたナイトはコンビネーションから胴タックルで組み付くと、カサレスを高々と釣り上げマットに叩きつける!さらに背後に回ったナイトのリアネイキッドチョークをカサレスが凌いだところで第1ラウンドが終了した。
リーチのある前蹴りで距離を作り直すカサレス。カサレスは伸びのあるストレートをナイトに叩き込むがナイトは意に介さずにパンチと共に前に出る。残り時間3分30秒、両者が偶発的に組み合いにもつれこむと、ナイトが豪快な払い腰から強引にトップポジションを奪取。ナイトはカサレスの足を払ってサイドに回り込むと、間髪入れずにバックを奪取。相手を4の字ロックでコントロールしたナイトは相手の背後から強烈なヒジを振り下ろす!頭をずらして必死のディフェンスを見せるカサレスだが、ナイトはチョーク、ヒジ、そしてパウンドと攻撃の手を緩めない。残り時間1分、ついにカメのポジションで動きの止まったカサレスの首にナイトはその左腕を滑り込ませるとがっちりと締め上げる!これまで何度もナイトのチョークを振りほどいたカサレスだったが、ついにナイトの猛攻にたまりかね、2ラウンド4分21秒にタップを許した。
試合後に「コリアン・スーパーボーイとやらせてくれ。奴を軽く見ているとかそんな話じゃない。奴はぱっと出てきてとんでもない試合をやっている。俺も彼と同じく金や名声ではなくとことんやりあうためにここにいる。俺とスーパーボーイとの試合はとんでもない試合になるだろう」と試合後には“コリアン・スーパーボーイ”ことチェ・ドゥホに対戦要求を突きつけたジェイソン・ナイトはこれで19勝2敗。対戦相手のアレックス・カサレスは12勝10敗1ノーコンテストとなった。