8月は月初めが土曜日に当たるという珍しい巡り合わせとなり、5つのイベントが開催された。架空のトロフィーの行方を決めるにあたり、候補となるハイレベルなパフォーマンスには事欠かない1カ月だった。
ベオグラードと上海で開催された国際イベントが月の最初と最後を飾り、その間にはMeta APEXでのイベント、フィラデルフィアでのナンバーシリーズ、そしてサクラメントへの再訪が組まれ、計64試合が行われた。そのうち14試合がサブミッション、33試合がノックアウトで決着し、中には年末の各賞をめぐる議論に加わってきそうなパフォーマンスもいくつかあった。
それでは早速、月間レポート8月号で、この1カ月にオクタゴンで披露された傑出したパフォーマンスを振り返っていこう。
ブレイクアウト・パフォーマンス:ソン・ヤドン(UFCファイトナイト上海)
ソン・ヤドンが中国で開催されたイベントのメインイベントを鮮烈な形で締めくくったのは、今年に入ってこれが2度目だった。しかし今回は、多くの人々が想定していた限界を突き破り、バンタム級のタイトル戦線の中心へと一気に躍り出る勝利となった。
ジョンソンがこの技を決めるまでの流れは、マゴメドフのときとは異なっていた。シャポリンのバックを取ったジョンソンの位置がやや高くなり、ブラジル人ファイターに前方へ振り落とされるという、戦術上のミスから生まれたものだった。その重みと勢いでシャポリンも前方へ倒れ込み、着地するとジョンソンの方へ体を向けてトップポジションを確保しようとした。しかし、“インナーG”ことジョンソンは右腕をシャポリンの頭上から回し、両脚と腰を使ってその体を反対方向へひねり、タップを引き出した。
今後、この技を狙う選手はさらに増えていくだろう。総合格闘技のトップレベルで月に一度は見られるほど一般的な技にならない限り、オクタゴンで成功させれば、月末の賞を争う有力候補になることは間違いない。
特別賞:ステファニー・ルシアーノ vs. マリーナ・スパシッチ、ボグダン・グラッド vs. デニス・ブズキャ、ギュニョン vs. ミロシュ・ヤニチッチ、ロバート・ヴァレンティン vs. ドゥシュコ・トドロヴィッチ、サルキルド vs. マテウス・ガムロット、ジェレマイア・ウェルズ vs. ムフトベク・オロルバイ、ダスティン・ストルツフス vs. マンスール・アブドゥル・マリク、クリス・パディーヤ vs. ナスラット・ハクパラスト、アンソニー・ウィント vs. テランス・チャットマン、鶴屋怜 vs. ケヴィン・ボルハス、アンドレ・リマ vs. ナムスライ・バトバヤル
サブミッション・オブ・ザ・マンス:UFC史上2度目のスコティッシュ・ツイスターを決めたチャールズ・ジョンソン(UFC 330)
今年6月、ムルタザリ・マゴメドフがメルシック・バグダサリアンからタップを奪い、UFCのファンにスコティッシュ・ツイスターを初めて披露した。フェザー級マッチの第1ラウンド序盤、同じくコンテンダーシリーズ出身のバグダサリアンがトップポジションに回ろうとしたところで、マゴメドフはその片腕を頭と首の上から抱え込んだ。この珍しいフィニッシュは極めて印象的で、マゴメドフは6月のサブミッション・オブ・ザ・マンスに選ばれただけでなく、トーマス・ガーバシが選ぶUFC.comの上半期アワードでも首位に輝いた。そして、フィラデルフィアで開催されたUFC 330では、ジョンソンがUFC史上2人目となるスコティッシュ・ツイスターを成功させた。ショートノーティスで組まれたエドゥアルド・シャポリンとの見応えある1戦で、最終ラウンド開始から96秒後にタップを奪っている。
ジョンソンがこの技を決めるまでの流れは、マゴメドフのときとは異なっていた。シャポリンのバックを取ったジョンソンの位置がやや高くなり、ブラジル人ファイターに前方へ振り落とされるという、戦術上のミスから生まれたものだった。その重みと勢いでシャポリンも前方へ倒れ込み、着地するとジョンソンの方へ体を向けてトップポジションを確保しようとした。しかし、“インナーG”ことジョンソンは右腕をシャポリンの頭上から回し、両脚と腰を使ってその体を反対方向へひねり、タップを引き出した。
今後、この技を狙う選手はさらに増えていくだろう。総合格闘技のトップレベルで月に一度は見られるほど一般的な技にならない限り、オクタゴンで成功させれば、月末の賞を争う有力候補になることは間違いない。
特別賞:ステファニー・ルシアーノ vs. マリーナ・スパシッチ、ボグダン・グラッド vs. デニス・ブズキャ、ギュニョン vs. ミロシュ・ヤニチッチ、ロバート・ヴァレンティン vs. ドゥシュコ・トドロヴィッチ、サルキルド vs. マテウス・ガムロット、ジェレマイア・ウェルズ vs. ムフトベク・オロルバイ、ダスティン・ストルツフス vs. マンスール・アブドゥル・マリク、クリス・パディーヤ vs. ナスラット・ハクパラスト、アンソニー・ウィント vs. テランス・チャットマン、鶴屋怜 vs. ケヴィン・ボルハス、アンドレ・リマ vs. ナムスライ・バトバヤル
ノックアウト・オブ・ザ・マンス:ション・ジンナンとの対戦で輝きを放ったジュリア・ポライシュトリ(UFC上海)
こうした形でのフィニッシュは、レオン・エドワーズがカマル・ウスマンからタイトルを奪った一撃をはじめ、これまで何度も目にしてきた。それでも、見るたびに思わず声を上げ、興奮せずにはいられない。今回の一撃がさらに鮮烈だったのは、ポライシュトリが離れようとしたションを捉え、その動きも相まって一段と強烈なフィニッシュになったからだ。
第1ラウンド前半を通して、前に出て攻撃を仕掛け、より有効な打撃を当てていたのはポライシュトリだった。ションも打ち合いに応じ、何度も自らの打撃をヒットさせていたものの、コンテンダーシリーズ出身のポライシュトリは前進を続け、中国人のベテランを追い詰めていった。ションはオクタゴン外周に引かれた黒いラインの外側へ押し込まれ続け、動きを制限されていた。ポライシュトリがこの攻撃を繰り出したのは、まさにそのときだった。ションが体勢を低くし、フェイントを使ってスペースをつくろうとする中、ポライシュトリは低い位置から左手を軽く伸ばすと、注意を引くように右手を突き出し、間髪を入れずに右のハイキックを放った。
これは見事なフィニッシュであり、ポライシュトリの評価を大きく高めるパフォーマンスだった。ただし、“サイコ”ことポライシュトリにとって重要なのは、次戦でこの勝利をさらなる飛躍につなげることだ。UFCではここまで勝利と敗北を交互に重ねてきたが、その流れを断ち切るのにこれ以上ないタイミングがあるとすれば、上海でションの意識を彼方へ吹き飛ばした今だろう。
特別賞:レカ vs. アレキサンダー・ポペック、ミロシェヴィッチ vs. ヘイリー・カワン、オリヴェイラ vs. オーバン・エリオット、ウルビナ vs. ヴラスト・チェポ、スターリング vs. ヤン・ブワホビッチ、マイルズ・ジョーンズ vs. ジアニ・ヴァスケス、タイ・ミラー vs. ビリー・レイ・ゴフ、ヤーディエ・デル・ヴァイエ vs. ダレン・エルキンス、ルーカシュ・フェルナンド vs. ハファエル・トビアス、ジェイリン・ターナー vs. カウエ・フェルナンデシュ、ドンテ・ジョンソン vs. エリック・マコーニコ、ジュディス vs. ジェイスラ・シャヴィス、メデロス vs. メイソン・ジョーンズ、サンティアゴ vs. ローレンス・ルイ、ヌッツィ vs. シャオ・ロン、ハサン vs. ニルソン・ロハス、リュウ vs. レヴィ・ホドリゲスJr.、ゴミス vs. ヤン・シャオナン
ファイト・オブ・ザ・マンス:グレゴリー・ロドリゲス対アンソニー・ヘルナンデス(UFCファイトナイト・サクラメント)
8月に行われた64試合のうち47試合がフィニッシュ決着だったことを考えると、ファイト・オブ・ザ・マンスの候補となる試合は決して多くない。この賞が必ずしもフルラウンドを戦い抜いた試合に贈られるわけではないが、選出に値するには、少なくともある程度は試合が続く必要がある。今回の栄誉に輝いたのは、サクラメントでメインイベントを飾ったロドリゲスとヘルナンデスの1戦だ。“ロボコップ”ことロドリゲスがユナニマス判定で勝利し、“フラッフィー”の異名を持つヘルナンデスに2連敗を喫させるとともに、ランキングでも相手を追い抜いた。
激しさと泥臭さが入り交じる見応えのある戦いだったが、個人的にこの試合をファイト・オブ・ザ・マンスに選んだ理由は、ランキング上位の相手と過酷な5ラウンドを戦い抜けるのかという、ロドリゲスに向けられていた数々の疑問に答えを示したからだ。試合前は、ブラジル人ファイターのロドリゲスにとって最大の勝機は序盤でのフィニッシュにあるというのが大方の見方だった。チャンピオンシップラウンドに入れば、消耗したロドリゲスをヘルナンデスが追い立てる展開になると、多くの人が予想していた。しかし、実際はそうならなかった。ロドリゲスは第4ラウンドをジャッジ全員から、第5ラウンドを2人から支持され、連勝を4に伸ばした。
圧倒的なパワーと優れたグラップリングを兼ね備えたロドリゲスは、以前からミドル級で注目を集める存在だった。そして今回、豊富なスタミナとハイペースな戦いで知られる相手と、25分間にわたって激しく戦い抜けることを証明した。年末まで残り4カ月となる中、34歳のロドリゲスはミドル級のダークホースとして、侮れない存在になったと言える。
特別賞:カロル・フォロ vs. ジジ・カヌート、ジエゴ・フェヘイラ vs. ビリー・クアランティロ