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青写真 - ディアス vs. コンディット

土曜の夜にラスベガスで開催されるUFC 143のメインイベントで行なわれるUFCウェルター級暫定王者決定戦。マイケル・ディサントがディアス対コンディットを分析。

大ヒット作品"グラジエーター”でその後の自身のキャリアを決定付けることになるマキシマス役で登場したラッセル・クロウの有名な台詞がある。そしてその台詞はPPV放送が始まる直前のカメラには映らない瞬間にUFCリング・アナウンサーのブルース・バッファーが幾たびか群集に問いかけてきた言葉だ。

Are
you not entertained? - 「楽しくないのか?」

その質問は剣闘士の戦いの数分後、静まり返った群集たちに叫ばれた。

私は今週の土曜日の夜にマンダレイ・ベイ・イベント・センターでニック・ディアスとカーロス・コンディットの対戦が結末を迎えた時、バッファーも、そして他の誰もその質問を群集たちに尋ね無いことを保証しよう。間違いない。

この試合はアクション溢れる試合が好きなファンの誰にとっても絶対的に美味しいマッチアップだ。最初のほんの数分間で険悪な結末を迎えることも確かに有りうる話だ。しかしこのマッチアップはそうはならないだろうことを暗示している。全ての兆候が、両者がアザを作り、流血しながらの濃密な成功の一瞬を楽しむ一進一退の激闘を示している。

私の言いたいことを誤解しないで欲しい。私はそこには明らかな本命があると考えているが、両者にとって試合に勝利するために番狂わせが必要だとは思えない。確かにこの文章には矛盾があるが私の知ったことではない。彼らの戦いが私の真意を説明するだろう。

ほとんどの人がディアスの勝利を予想している。私はその考えに同意する。この男はジョン・フィッチの16連勝以来、ウェルター級では最も印象的な連勝記録のど真ん中に立っている。フィッチの連勝記録と違うところは、ディアスのフィニッシュ能力や観客の肝を冷やす能力に関して疑問を持っている者は誰もいない、と言うところだ。カリフォルニア州ストックトン在住のディアスは対戦相手の精神と肉体を粉砕するためにデザインされた不屈のスタイルと共にフルスロットルで闘うのだ。

それは2008年以来、歴代最高の偉大なファイターBJ
ペンやフランク・シャムロックを含む対戦相手となった全てのファイター達を圧倒してきたスタイルだ。彼はこのスポーツで最高のボクシングと石の様なアゴを持ち、無限のスタミナと高いレベルのグレイシー柔術を組み合わせている。悪い組み合わせではない。

しかし甘い考えは捨てよう。コンディットははるかに爆発力のあるファイターだ。もしこの試合が1ラウンド、ノックアウトで終了するならば、勝者としてその手を挙げられるのはディアスではなくコンディットになるだろう。コンディットは11連勝中と言うわけではないが、彼の最近の成功はディアスが経験してきたものと比べて決して見劣りすることはない。

コンディットは最近の13試合のうち12試合に勝利している。唯一の敗北はマーティン・カンプマンに喫したスプリット判定での敗北で、間違いなく酷い結果だった。凄く控えめに言っても、その判定は非常に物議をかもした。最近の2試合ではキム・ドンヒュンとダン・ハーディを苦もなく1ラウンドでノックアウトし勝利している。前者はその試合まで無敗を誇ったファイターだった。後者は世界チャンピオンシップに挑戦し、そのほんの6ヵ月後にコンディットと対戦した。

二人は土曜の夜に負傷した王者ジョージ・サンピエールへの第1挑戦権を公式に持つ派生的なタイトルであるUFCウェルター級暫定王座を賭けて相見える。正しく言うならば、土曜日の試合はこの地球上で2番目に優れたウェルター級は誰なのか、と言う質問に明確に答える試合なのだ。

レフリーのスティーヴ・マザガッティが試合開始の合図をしたとき、ディアスはどの試合でも彼がすることをするだろう。この険悪な顔つきのグラディエーターはオクタゴンの中心にアグレッシブに陣取り、両手を異様に高く、おそらく目線よりも高く掲げながらその攻撃を開始する。

ディアスは彼の敵にその拳で何度も触り続けることに集中しながらサウスポーに構える。彼は強い打撃には拘らないだろう。拘れば、時間がかかり、標的を失う可能性が増えてしまう。その代わり、しばしば相手の左手をいやらしく触る鋭い右のジャブが彼の距離を作り出すだろう。

彼はジャブを何度も何度も往復させ、アザをつくり、出血を誘い、そして相手を混乱させる。それらのパンチはまるで片手でのコンビネーションのように短い間隔で繰り出される。しかし彼は片手のストライカーからは程遠い。ディアスは彼の右足がコンディットの前足となる左足の外側に正しく位置するや否や、左ストレートを、きわめてまっすぐな左を放つだろう。

時折彼はジャブの後に左を単独で放つ。しばしばその後には返しの右フックが続くことになる。彼はその2種類の打撃を組み合わせてリードの攻撃に用いるだろう。ポイントとなるのは対戦相手を圧倒し、混乱させるために、そのコンスタントな砲撃を70%程度の威力で放ち続け、相手の体力とカーディオを削りとることだ。

時間がたつにつれてディアスは右のアウトローを蹴ることにより右ストレートも当て始める。左右のハイキックもちりばめるかもしれない。もしコンディットがスタンドの攻防で何か成功するならば、ディアスはオーソドックス・スタンスに構えをスイッチし、彼の昔ながらのサウスポー・スタンスの時と同じパターンのボクシングを展開するかもしれない。彼の右ストレートは左ストレートほどの良さはない。対照的に彼の左ジャブと左フックはサウスポー・スタンスの時の右のパンチと同じではないものの遜色のない威力がある。

コンスタントに繰り出される攻撃のひとつにディアスの挑発がある。彼は前屈みになり、まるで相手に自由に攻撃させるチャンスを与えるがごとく、アゴを突き出し両手を広げる。ディアスは自分に驚異的なディフェンス能力があることを知っており、相手のミスを誘い彼がカウンターを取ることができるように餌をまくことが目的なのだ。もし相手が躊躇すれば、ディアスは広々と広げた両手からひっぱたく様なフックを繰り出す。

これらは元ストライクフォース王者が相手よりも優れたファイターだと言うことを見せ付けるためにデザインされた動きだ。それはまるで、お前が俺を傷つけるために出来ることなど何もない、と彼が叫んでいるようでもある。俺は無防備だがお前の顔に判子を押すのは朝飯前だ!と。

ディアスが仕掛けるマインド・ゲームは物理的な挑発だけではない。彼のゲームの多くの部分が自分を盛り上げ、そして相手を怒らせる辛らつな言葉を用いたものだ。

前者はしばしばカンフル剤として機能する-ディアスの場合もっと適切に言えば、試合開始から終了までの安定したアドレナリンの噴出だ。後者は対戦相手により不用意な、力んだ打撃を繰り出させる。どちらのミステイクもディアスのペタペタ攻撃をより効果的にするものだ。

したがって悪意に満ちた挑発が蛇口からほとばしる水のごとく流れ出る。個人的な侮辱に次ぐ侮辱の砲撃が行われ、その後に続くのは止むことを知らないパンチの集中砲火、という訳だ。

このうんざりするような攻撃は精神的にも肉体的にも真にタフなファイターだけが持ちこたえることができるものだ。ディアスはコンディットはそういったファイターの一人だとは考えていない。もっとも私はコンディットがその意見に同意しないことには確信がある。

ディアスのようにコンディットもまた素晴らしいアゴと立っても寝ても問題なく、深い燃料タンクを持った獰猛でアグレッシブなファイターだ。まるで瓜二つに聞こえて来るではないか。この二人は実際のところ彼らが似ているのと同じくらい異なったファイター達だ。

コンディットは肉体的により強いファイターだ。彼は高い割合の速筋群を身に纏い、他のウェルター級のファイター達の顔色を嫉妬で変えさせる様な方法でその爆発力を見せ付けてきた。ディアスは完璧なタイミングとテクニックでノックアウトを作り出す。コンディットはそれを爆発的なスピードとパワーでやってのけるのだ。

またコンディットはさらに「当たって砕けろ」的な闘い方をするファイターだ。彼は凶戦士のごとく、恐れを知らないスタイルで闘うことを望んでいる。全てのディアスの攻撃は計算され、そしてコントロールされているものだ。ディアスが乱れることは決してない。ディアスは決してディフェンスを怠らない。

何が言いたいかって?これらの二つの特色-驚異的な爆発力と保証された反撃にさえあえて直面する攻撃的性向-は、もちろん、ファイターが攻防のさなかに遂行できるスタンドの技術を持っているものと仮定すれば、ニック・ディアスをスタンドで撃破するレシピそのものだと言うことた。

カーロス・コンディットはスタンドもグラウンドもまるでピーナッツバターとジェリーのコンビネーションのように見事に組み合わせて見せる。

"ザ・ナチュラル・ボーン・キラー”はこのスポーツで最もバランスの取れたファイターだ。彼はその戦績の中に27のプロでの勝利のうち、彼は13個のノックアウト勝利と13個のサブミッション勝利を記録している。この記録はスタンドの攻防に傾倒する以前の元ミドル級王者でもあるリッチ・フランクリンを髣髴とさせる。

コンディットの打撃はかなり直線的ではあるが非常に効果的だ。彼はムエタイ流の遊びのないオーソドックススタイルだ。彼はスタンドではディアスより多彩で、キック、ヒジ、そしてパンチとヒザを組み合わせるが、これはディアスが大いにボクシングに集中した攻撃を用いるのとは正反対だ。そして彼はそれらのどの打撃でも試合を終わらせることができる。一発に賭けるスタイルとは概してことなるスタイルだ。コンディットはよりコンビネーションを多用するストライカーだが、彼にはワンパンチKOをやってのける活力にも満ちている。ダン・ハーディに聞いてみると良い。

グランドでのコンディットは彼のブラジリアン柔術の帯が想像させるよりもはるかに創造的なファイターだ。彼のガードの中で相手が恐怖を覚えることはないが、一度トップポジションやバックポジションを奪えば彼はモンスターへと変貌する。

彼のグラウンドでの洞察力はこの試合に関しては無関係だ。彼はBJJのスキルという意味においてはディアスと比べた場合同じ次元にすら達していない。コンディットがサブミッションで勝利するかどうかは先に意識を刈り取る打撃を命中させて、ディアスを瞬間的に無防備な状態にする事ができるかに掛かっている。

コンディットはそのことには大して注意を払っていないだろう。彼はディアスをサブミッションでしとめるためにラスベガスにやって来るのではない。彼はディアスを完璧な形であれ、カットであれ、ノックアウトしに来るのだ。そして彼がそのことなら可能だと信じていることを私は確信している。

ディアスであれ、他のどのファイターであれ、目に映らないということはない。コンディットにとって勝利への大きな鍵はディアスを後に退がらせることだ。コンディットは強引にいく必要があるだろう。ディアスとはいえ何もせずにカウンターが取れるわけではない。さもなくばディアスは正にBJ
ペンにしたように彼を手数で圧倒するだろう。コンディットは試合をフィニッシュするカウンターを当てるかもしれない。それはどんな試合でも起こりうることだ。ただそれはポール・デイリーの様なさらに大きく爆発的なストライカー達と対戦し、彼らをそのつむじ風のような連続攻撃で窒息させてきたディアスの戦歴を見るときわめて起こりにくいだろう、と言うだけのことだ。

一方、もしコンディットが先手を取って打って出れば2006年の中盤にニック・ディアスに対してKJ
ヌーンズだけが成し得たことを行なうチャンスがある。

ヌーンズはディアスをパンチで打ちのめした。プロボクサーと二束のわらじを履くヌーンズは巧に角度を取り、そして常に先手をとって正確でキレのあるパンチを放ち続けた。ディアスはヌーンズとの始めての対戦では、先手を取ることができずにリズムに乗ることができなかった。しかしヌーンズと再戦したディアスは、典型的なディアス流で王者からベルトを剥ぎ取ることに成功した。彼は試合の始まりから終わりまで強引に行った。コンディットは土曜日の夜にその轍を踏むわけには行かない。

コンディットにとって勝利への2つ目の鍵となるのは金網際でのダーティ・ボクシングを駆使したディアスとのクリンチの攻防だ。ディアスには眉毛に沿って簡単にカットしてしまうと言う歴史がある。それは誰もが知るところのことだ。ディアスは2008年に過剰な傷跡の繊維を取り除き、眉毛の下の骨を削り取る手術を受けることでこの問題を解消する助けとしようとしている。その直後の試合ではそれは助けになったようだった。しかしその後のペン戦では彼の眉毛からは出血があり、再び傷跡の繊維が癒着し始めていることを窺わせた。コンディットは果たしてそれが事実なのかを見出す必要がある。

私はこの試合が歴史的一戦になるだろうと心底信じている。コンディットがその激闘を生き残るのか?彼がディアスの驚異の11連勝に終止符を打つ男になるのか?

私の意見では、そうなるとは思い難い。技術のある爆発的で攻撃的なストライカーがディアスをスタンドで粉砕する最高の選択肢ではあるが、それは依然として勝利への見込みの薄い道のりだ。

ディアスに勝利する為の絶対的にベストな方法は素晴らしいサブミッション・ディフェンスを持つ有力なレスラーが彼を金網に押し込み、テイクダウンをしてそこに釘付けにすることだ。コンディットはそういった男ではない。だから私はディアスだと予想する、おそらくは判定、遅いラウンドのレフリーストップの線も捨て切れない。


クイック・ファクト

ニック・ディアス

•  28歳
•  27勝7敗
1ノーコンテスト
•  最近の11戦のうち9戦で相手をフィニッシュ
•  最近の5戦では5勝0敗
•  最近の10戦では10勝0敗
•  11連勝中
•  タイトルマッチでは4勝1敗
(Strikeforceで4戦、Elite
XCで1戦)
•  一本負けは一度もない
•  元Strikeforceウェルター級王者
(UFCに復帰するためにタイトルを返上、タイトルを奪われたことはない)
•  ファイト・オブ・ザ・ナイトを獲得
(UFC
137でBJ
ペンを相手に3-0の判定で勝利)
•  98日ぶりの試合
•  キャリア最長の試合をしなかった期間は315日

カーロス・コンディット
•  27歳
•  27勝5敗
•  最近の5戦では4勝1敗
•  最近の10戦では9勝1敗
•  メジャーなタイトルマッチでは4勝0敗
(全てWECで行なわれた)
•  KO負けはなし
•  プロで32戦を行い判定までもつれたのは3戦のみ
(判定に限れば1勝2敗)
•  最近の3戦全てでファイトナイト・ボーナスを獲得
•  ノックアウト・オブ・ザ・ナイト
(UFC
132でキム・ドンヒュンに1ラウンドKO勝利)
•  ノックアウト・オブ・ザ・ナイト
(UFC
120でダン・ハーディに1ラウンドKO勝利)
•  ファイト・オブ・ザ・ナイト
(UFC
115でローリー・マクドナルドに3ラウンドTKO勝利)
•  217日ぶりの試合
•  キャリア最長の試合をしなかった期間は269日